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保護犬を引き取るには、どこへ行けばよいのでしょうか?
なんらかの理由で保護された犬は、地域の保健所や動物愛護のボランティア団体に預けられることになります。こういった場所で家族になりたいと思える犬に出会えたとしても、引き取る前に飼い主には条件が求められます。飼育環境や家族の理解などの条件をクリアしなければ、飼い主として認められないのです。
この記事では、これから保護犬を引き取りたいという方に対して、保護犬を引き取るために必要な室内環境の準備や心構えについて解説します。
保護犬を引き取るにはどこに行けばいい?
保護犬を引き取るには、以下のような地域の保健所や動物愛護のボランティア団体に問い合わせる必要があります。
都道府県の保健所
保健所は地域によって「動物保護センター」や「動物愛護センター」と呼ばれています。
保健所には、捨てられた犬や野良犬が保護されており、収容期間は原則10日前後です。その間に引き取り手が見つからないと、処分の対象になってしまいます。
自治体の中には殺処分ゼロを掲げ、動物愛護のボランティア団体など別の施設へ引き渡しているところもあります。
ボランティア団体
保健所だけでは、犬を保護する場所も人手も足りないため、ボランティア団体が里親探しを手伝っています。
保護犬に必要なケアやお世話を続けながら、適性のある飼い主さんと面談し、無事家族が見つかれば保健所に報告します。
保護犬を引き取る前に知っておいた方がいいこと
保健所やボランティア団体で保護されている犬は、虐待やネグレクト、安易に捨てられるなどして怖い思いをしています。
同じような思いをさせないためにも、保護犬の特徴を事前に知っておきましょう。主な特徴は以下の通りです。
- 年齢や病歴など生い立ちがわからない場合がある。
- ミックス(雑種)が多く、多くは中型犬。
- 特定のものや人を怖がったり、興奮することがある。
必ずしもこれらの条件に当てはまるとは限りませんが、事前に理解しておくことが大切です。
保護犬を引き取る前の準備
保護犬を引き取るには、犬と一緒に生活できる室内環境を整える必要があります。
「捨てられた犬を救いたい」という気持ちはとても大切です。ただ、気持ちが先行して準備が後回しになっていると、後々問題が生じやすくなります。
保護犬を引き取る際の条件として室内で飼えることを前提としているケースも多いので、まずは家の中の壁、床、寝床など室内の飼育環境を整えておきましょう。
壁
過去にしつけられた経験のない保護犬は、慣れない環境での緊張、ストレスなどによって壁紙をかじってボロボロにしてしまうことがあります。
壁に限らず、以下のような事例が起こりうることを心に留めておきましょう。
- 壁紙やふすまを剥がす。
- テーブルやイスの脚を噛む。
- ドアや階段のコーナーを噛む。
- ソファやクッションをボロボロにする。
壁など、噛んだり爪で引っ搔いていいもの悪いものを時間をかけて教えることはできますが、迎え入れてすぐは難しいかもしれません。ボロボロになりそうな壁は、以下のような方法で対策しておきましょう。
耐久性のある腰壁を設置する
腰壁とは、床から人の腰高あたりまで張る、別仕上げの壁のことです。キズや汚れから壁を保護する目的で使用します。
木材やタイルのほかに、手軽に施工できるシート状やパイン材、樹脂製パネルなどバリエーション豊富です。
隙間なく設置しないと、爪など引っかかりケガをしてしまう可能性があるため、施工はプロに依頼します。剥がせる腰壁シートなどはDIY可能です。こちらの記事は猫向けの記事ですが、犬でも参考になると思います。
ペット用の壁紙に張り替える
引っかきキズや汚れだけではなく、消臭効果や抗菌性を期待するなら、ペット用壁紙への張り替えをおすすめします。
抗菌防臭加工されているため、こまめに換気をすれば部屋にニオイがこもりません。汚れも落ちやすいのでお手入れも簡単です。施工費はかかりますが、素材によっては効果が半永久的に続きます。
犬を飼うときにおすすめの壁材などは、「ペットを飼っている家のおすすめ壁材と、その選び方を紹介【完全版】」で紹介しています。
また、保護犬は慣れない環境での不安感やストレスによって鳴いてしまう可能性があります。保護犬を引き取る前に、壁の防音対策について知っておきたい方は下記の記事を参考にしてください。
さらに、壁紙や家具をそのまま食べてしまうと健康に害があるかもしれないので、建材の塗料などにも十分に注意しましょう。保護犬を引き取る前に、害のない塗料について知りたい方は下記の記事を参考にしてください。
床
保護犬は慣れない環境では興奮して家中を走り回ってしまうかもしれません。床が滑りやすいと足腰の関節に負担がかかり、最悪「変形性関節症」や「椎間板ヘルニア」などの病気の原因にもなります。
健康で長生きするためにも、床対策は重要です。床を犬用にアレンジするにはいくつか選択肢があります。
ペットに適したマットやカーペットを敷く
愛犬が過ごすエリアを中心に、ペット用のマットやカーペットを敷きます。毛足が長いと掃除が大変なので、洗えるタイプを選ぶと衛生的です。
ある程度厚みがあれば防音効果も期待できます。ただ、フローリングに比べると掃除は大変です。
保護犬を引き取る前に犬用マットを用意したい方は、「ペット用マットの選び方、おすすめマットを紹介【防滑・防音・使い勝手をチェック】」を参考にしてください。
保護犬を引き取る前に犬用カーペットを用意したい方は、「犬用カーペット8選!カーペットが必要な理由と選び方も」を読んでください。
ジョイントマットを敷き詰める
手軽に滑り止め対策をしたいなら、クッション素材のジョイントマットが安くでおすすめです。
正方形のマットを自分で組み合わせ、床に敷き詰めていきます。厚みのある商品なら、防音効果も期待できます。
ただ、耐久性はそこまでないので、定期的に買い替えが必要です。隙間ができやすいので、間に落ちたペットの毛やホコリを掃除するのは大変かもしれません。
フローリングにペット用ワックスを塗る
ペット用のフリーリングワックスは、犬が舐めても安全な成分でできてきます。
滑り止めはもちろん、キズ防止や耐水性に優れているため、部屋の美観や掃除のしやすさを優先したい方におすすめです。
床の表面をガラス質の被膜で覆うフロアコーティングなら、効果は半永久的に続きます。犬の導線にカーペットやマット、人が行き来するエリアはペット用ワックスなど使い分けるのも良いでしょう。
保護犬を引き取る前に、フローリングワックスを塗りたいという方は下記を参考にしてください。
▶「愛犬にフローリングワックスが必要な理由は?おすすめ商品4選も紹介」
ペット用フローリングやタイルに張り替える
ペット用のフローリングやタイルに張り替えれば、マットやカーペットを敷く必要はありません。
建材そのものに、滑りにくい加工や防水加工が施されているため、フローリングの質感を楽しみながら、家族みんなが気持ちよく過ごせます。
施工費はかかりますが、他の対策方法よりもデメリットは少ないといえるでしょう。保護犬を引き取る前に犬用フローリング、タイルを設置したい方は以下をお読みください。
▶「ペット用タイルのおすすめメーカー4選!【メリット・デメリットも】」
寝床
犬は1日のほとんどを寝て過ごすため、寝床を準備するときは、落ち着ける場所であるかどうかを重視します。以下のようなポイントに注意しましょう。
音が気にならない場所にクレートを設置する
クレートとは、四方が囲われた箱型になっているハウスのことです。持ち運びできるタイプなら、寝床として利用できるだけではなく、通院や災害時にも使えて便利です。
ドアの開閉音や、家電を避けて設置しましょう。中に毛布や犬用ベッドを入れると居心地がアップします。
閉じ込められるのが苦手な犬には無理に使わず、家に慣れてから時間をかけてクレートトレーニングをします。
保護犬を引き取る前に、おすすめのクレートについて知りたい方は、「クレートの役割、選び方とは?子犬も安心のクレート7選も紹介」を参考にしてください。
リビングの一角にサークルやケージを設置する
サークルとケージどちらも、犬専用のスペースを確保する囲いの役割を持ちます。サークルは天井が空いているのに対し、ケージは柵で四方が囲われています。
寝床(犬用ベッドや毛布)から少し離してトイレを設置すれば、トイレトレーニングにも使えて便利です。ただ、クレートと同じく、中に入ってパニックになってしまう犬には丁寧なケージトレーニングが必要です。
おやつなどを用意し、「ここはとても良い場所」と理解できるまで、根気強くトレーニングを続けましょう。サークルやケージの中で落ち着いて過ごせれば、来客時も安心です。
保護犬を引き取る前におすすめのケージについて知りたい方は、「おすすめの犬用のケージ10選【愛犬家住宅が選ぶ】」を参考にしてください。
共有スペースに犬用ベッドを置く
クレートやケージに入るのが苦手な場合は、人との共有スペースに犬用ベッドを用意するのがよいでしょう。夏場は冷感タイプを置いたり、冬場は温かい電気式を置くなど工夫ができます。
犬によっては噛んだり、振り回して遊んでしまう場合もあるため、毛布や使い古しのタオルで様子を見てから用意するのもよいでしょう。
保護犬を引き取る前に、おすすめの犬用ベッドについて知りたい方は、「犬の寝床はどんなものがいいの?おすすめのベッド・ドーム・マットを紹介」を参考にしてください。
保護犬を引き取る前に、おすすめの敷き布団について知りたい方は下記を参考にしてください。
▶「愛犬におすすめのこだわりの敷き布団7選!利用シーンや選び方も解説」
保護犬を引き取る心構えとは?
保健所や動物愛護のボランティア団体は、「最期まで責任を持って保護犬のお世話ができる人」を探しています。
保護犬を引き取るには、何となくの気持ちではなく心構えが必要です。以下のようなことをしっかりと認識しておきましょう。
犬を譲り受けるための条件を知る
里親になるためには、施設や団体が設けるいくつかの条件をクリアしなければなりません。
保護犬は心や体に問題を抱えている場合も多く、成犬がほとんどです。子犬よりもしつけの難易度は上がるため、相応の覚悟が求められます。下記は条件の基本の一例です。
- 終生飼うことができる。
- 毎日世話ができる。
- 長時間の留守番をさせない。
- 家族全員が賛成している。
- 避妊又は去勢手術を受けさせられる。
- 犬を飼うことが許可されている住居である。
- 室内で犬を飼える環境が整っている。
- 年1回狂犬病予防注射を必ず受けさせられる。
- 転居の予定がない。
- 一人暮らしではない。
はじめは安心させる
迎え入れてから2週間程度は、とにかく安心させることが大切です。無理にコミュニケーションを取ろうとせず、今いる場所が安全だと認識させます。
恐怖心や緊張感から逃げ出してしまう犬も多いため、慣れるまではリードにつないでおくなど対策が必要です。譲渡先と積極的に情報交換して、犬の特徴や癖を把握しておきましょう。
まとめ:保護犬を引き取るには環境と心の準備が必要
保護犬の里親になりたいと熱心に希望していても「家族に馴染めない」「言うことを聞かない」などの理由で保護施設に返す人も一定数います。
犬には野生の本能があるため、フレンドリーに見えても、何らかの問題行動があります。吠えたり噛んだりする行動も、本来は生きていくために必要なものです。
保護犬を引き取るには、多くの課題をクリアしていかなければなりません。愛犬の心のケアに取り組むためにも、室内環境を万全に整え、飼い主さん自身が余裕を持つことが大切でしょう。
この記事を書いたペットとの暮らしの専門家