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ペットを飼っている家で利用すべき塗料とは?

目次

    ペットは床や棚、壁などの塗料を舐めることがありますし、床に寝転んだりと、人以上に家の素材に直接触れる機会が多くなります。

    最近では、アレルギーを持つペットも多くなっているので、体に悪影響がある塗料はできるだけ避けなくてはなりません。それだけでなく、塗料は耐久性、メンテナンス性、安全性などを考慮する必要があります。

    ここでは、塗料の役割や種類、特徴、ペットを飼っている家に利用すべき塗料を紹介します。

    塗料の役割

    塗料

    塗料の役割とは何でしょうか?

    木材や金属、コンクリートなどの素材の表面は、時間とともに変化します。

    それは水や湿気、紫外線などの光線、温度変化、摩擦、加圧、塩分、酸、アルカリ、薬品、虫、腐朽菌、カビなど、物理的なものから化学的なもの、生物的なものまで、広範囲の様々な原因によって起こります。

    こういった素材の変化に対して、塗膜によってコーティングしたり、有効成分を浸透させることで素材を保護したりすることで、素材の美観を保つのが塗料の役割です。

    工事現場では温度や湿度の調節ができないこと、周囲の状況により制約を受けることもあり、工場で塗装された製品を使用するケースも増えています。

    天然塗料の種類、特徴

    天然塗料

    ペットを飼っている住宅内に塗料を塗ろうと思った時には、塗料を選ばなくてはなりません。では、塗料にはどのような種類と特徴があるのでしょうか。

    日本では昔から、漆や渋柿などの塗料が使われてきましたが、対候性が低く、施工も難しいのが欠点でした。

    しかし、最近では合成樹脂塗料の危険性を危惧して、自然素材の塗料も見直されています。愛ペットと飼い主双方の健康のためにも、天然塗料も検討してみましょう。

    天然樹脂塗料の代表的なものとして漆があります。

    漆の木の樹液が主成分であり木部に使われます。主に高級家具、美術工芸品に用いられている塗料です。アルカリや油に強く、硬く、光沢があり、美しく仕上がります。

    常温・多湿で乾燥させるので仕上げまでに時間がかかることと、対候性が悪く、手入れに時間がかかります。家の家具や調度品などに利用するのがよいでしょう。

    カシュー塗料

    塗膜外観や性能が漆によく似ていますが、漆ほど扱いが難しくなく、かぶれることも少ない塗料です。

    木部に使われ、内装や大型家具に用いられます。耐水性、耐薬品性に優れており、安価かつ乾燥が早いという点でも、便利な塗料です。ただ、対候性は悪く、光沢もありません。

    壁や床などに利用することができますし、様々な色のものが用意されているので、インテリアに合わせて利用することができます。

    柿渋

    渋柿の実を熟成させて採取した液を利用した天然素材の塗料です。漆よりも安価で、昔から庶民の間で用いられてきた塗料です。

    木部の内装材に使われることが多く、壁や床、天井、ドアなど、幅広い箇所に利用できます。

    安全性が高い塗料であり、ペットを飼っている家にもおすすめですが、数回塗装しなくてはならないことと乾燥までに時間がかかるため、手間と時間がかかります。

    色は茶系であり、ベンガラなどの砥の粉などと混ぜて使うこともあります。

    油ワニス

    ワニスは樹脂を溶剤に溶かしたものです。油ワニスとは、松ヤニやダンマル、コパル、セラックなどの天然樹脂を植物性の溶剤に溶かしたもののこと。

    油ワニスには光沢があり、床や壁、家具などに利用できます。乾燥時間は遅くなりますが、耐候性と耐水性に優れた塗料です。

    天然オイル

    自然素材から採取できるオイルは、塗料としても利用できます。

    桐の木から採取できる桐油、亜麻の花から採取した亜麻仁油などがあります。

    また、亜麻仁油を煮たものはボイル油と呼ばれます。これは殺菌作用があり、リノリウムの材料にも使われます。

    天然オイルは乾燥は遅いですが刷毛さばきがよく、耐久性に優れています。鋼鉄や木材などの構造物の屋内外塗装に利用できます。

    天然のロウ

    自然素材から採取できるロウは、塗料としても利用できます。

    カルナバヤシの葉の裏から採取したロウや、イボタロウムシの分泌物から採取できるイボタロウ、ハゼの実から抽出できる木ロウ、蜜蜂の巣から抽出した蜜ロウなどがあります。

    こういったロウはワックスとして利用することができます。木部の床や家具に塗ることで、撥水性を持たせることができますし、木を味わいのある色合いにすることができます。

    ペットにおすすめの天然塗料:アレスシックイ

    アレスシックイ

    ペットを飼っているお家におすすめの天然塗料としては、「アレスシックイ」があります。

    アレスシックイは、大手塗料メーカーである関西ペイントが開発した自然塗料です。漆喰を刷毛やローラーで塗装できるように塗料化して、漆喰の良さを活かしながらも施工性を上げています。

    表面が多孔質であることから、消臭・抗菌・抗ウイルス・結露防止が期待でき、ワンちゃんを飼っている住宅におすすめの塗料です。

    アレスシックイについては、関西ペイントのページで詳しく解説していますので参考にしてください。

    合成樹脂塗料の種類、特徴

    合成樹脂塗料

    天然塗料は対候性に乏しかったり、施工も難しかったりします。そういった問題を解決したのが、合成樹脂塗料です。

    樹脂と化学物質によって、対候性、施工性、コストにも優れた合成樹脂塗料が実現されたのです。現在では合成樹脂塗料でも安全なものがたくさん開発されていますので、利用を検討するのがよいでしょう。

    油性ペイント

    植物性、動物性の油脂が原料の合成樹脂塗料です。

    安価で塗りやすく、肉付きよく仕上がるのが特徴。密着性・耐衝撃性・対候性に優れています。ただ、耐薬品性が低く、アルカリに弱いため、コンクリートの塗装には向かない塗料です。

    また、乾燥が遅くニオイが残ることがデメリットといえます。臭いに敏感なペットのいる家には向かない塗料でしょう。

    オイルステイン

    油溶性の着色剤です。木部の着色と木目を生かす仕上げに用いられます。床や家具などに利用することが多いです。

    オイルステインには透明性があり、木地に塗料が浸透し、木目が鮮やかで自然な風合いに仕上がります。仕上げは、拭き取りやワックス、ワニスなどを使用します。

    染料を使ったものが多くあり、ボイル油にオイルペイントを混ぜ合わせて作る場合もあります。

    ウレタンワニス

    ウレタンワニスとは、ポリウレタン樹脂を配合した樹脂塗料のこと。

    塗膜が硬く、耐水、耐摩耗性に優れ、光沢や半光沢などの表現ができる高級な塗装です。

    あらかじめ調合された1液と、塗料液と硬化剤を混ぜる2液のタイプがあります。1液タイプは木製の床に使われることが多く、2液タイプは棚、框、カウンターなどに利用されることが多いです。

    塗膜は厚みがあり、滑りにくくすることも可能なので、ペットを飼っている床で利用するのもよいでしょう。

    クリアラッカー

    ラッカーとは、ニトロセルロースを主成分に天然樹脂、合成樹脂、可塑剤を加えたものです。

    透明な仕上がりになるので、木工家具や室内の巾木、建具などに利用されることが多いです。

    乾燥も早く塗装にかかる時間が短いのがメリットですが、耐水性は劣るので床などには不向きといえるでしょう。

    合成エマルションペイント

    「エマルション」とは「乳液」という意味であり、エマルションペイントは水に溶解しない乳液状の塗料です。合成エマルションペイントには、アクリル系の1種と水性の2種があります。

    1種は耐水性、耐熱性、耐摩耗性、保色性に優れているので、浴室やキッチンなどにも利用できます。コンクリートにも塗装ができます。

    2種は有機溶剤を含まないので、ほぼ無臭で安全です。安価で多くのタイプがあり、壁や天井などにもよく利用されています。

    合成エマルションペイントは無臭なのでペットを飼っている住宅で利用するのにもよいでしょう。ただ塗料がはがれやすいというデメリットもあるので注意が必要です。

    塩化ビニル樹脂エナメルペイント

    塩化ビニル樹脂エナメルペイントは塗膜性能に優れ、壁面や金属などの耐薬品塗料として使われてきました。

    塗膜に塩素を含むため防カビ性が高く、浴室・厨房・地下室・壁面・天井に使われることが多いです。

    耐水性、耐アルカリ性にも優れているので、ペットによる汚れにも強いといえます。近年は使用されるシーンが減ってきているようです。

    UV塗料

    UV塗料は紫外線を照射することで硬化する樹脂塗料です。それによって「紫外線硬化塗料」とも呼ばれます。

    乾燥が早くて硬く、家具や扉材などに使用されることが多いです。

    VOC対策の環境配慮塗料として、有機溶剤の配合量が少ないので安心です。

    ペットにおすすめの合成樹脂塗料:ガイナ

    ガイナ

    ペットを飼っているお家におすすめの合成樹脂塗料としては、「ガイナ」があります。

    ガイナは日進産業が開発した塗料であり、JAXAがロケットの先端を熱から守るために開発した断熱技術を応用しています。

    高い断熱性があり、室内の温度の上昇を抑えるだけでなく、温度を下げるのも防ぎます。騒音やニオイにも対応するので、ペットを飼っているお家に最適の塗料です。

    ガイナについては、日進産業のページで詳しく解説していますので参考にしてください。

    まとめ

    ペットを飼っている家での利用におすすめの塗料と注意すべき塗料を紹介してきました。

    塗料を選ぶときには、ペットの粗相や汚れに強いか、ニオイがないか、安全か、素材に合ったものか、色味などを考慮しましょう。

    室内や家具、ペット小屋など、塗る場所に合わせて塗料を選ぶようにしましょう。

    この記事を書いたペットとの暮らしの専門家

    勝部 千尋

    「書く・聴く・伝える」
    執筆&犬猫お悩み相談『毛玉生活』運営
    ライター/犬猫相談員

    経歴

    静岡県沼津市出身/京都芸術大学卒

    大学卒業後、オーストラリアにワーキングホリデーと...

    エリア:東京都

    愛犬家住宅コーディネーター