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猫が入院する時の持ち物・費用・注意点は?ケガや病気を防ぐ方法も解説

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    この記事を書いた人
    永楽陽子
    大学院卒業後、予防医学に関する研究や環境分析に取り組む。元動物病院勤務。(ミックス/男の子)
    ほとんどの猫は、縄張りである家から外に出るのを嫌がります。

    特に、動物病院に行くのが苦手という猫は多いでしょう。

    しかし、ケガや病気などで入院しなければいけないこともあります。

    少しでもストレスを和らげるために役立つアイテムや動物病院の選び方を知っておきましょう。

    この記事では、猫が入院する時の持ち物・費用・注意点について解説します。

    ケガや病気を防ぐための住まいづくりも紹介しますので、ぜひ参考になさってください。

    猫が入院する時の持ち物

    猫が入院する時の持ち物
    猫が入院する時の主な持ち物は、「キャリーバッグ・お気に入りのタオルやオモチャ・トイレ砂」です。

    フードは、症状や食欲に応じて動物病院が用意してくれることが多いです。

    指示された場合を除き、持参する必要はないでしょう。

    キャリーバッグ

    猫を入院させる時は、キャリーバッグを用意しましょう。

    リビングに置くなどして、普段から慣れさせておくのがおすすめです。

    キャリーバッグが必要な理由は、移動時や待合時の安全性を確保するためです。

    嘔吐や下痢をしている場合には、ペットシーツを敷くと掃除がしやすくなります。

    キャリーバッグに愛猫を入れる際は、洗濯ネットを活用すると脱走防止になり、診察もしやすいです。

    猫の動きが制限されるため、爪切りや注射がしやすくなります。

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    お気に入りのタオル

    動物病院では、愛猫は1日から数日を慣れないケージ内で過ごすことになります。

    愛猫のニオイがついたお気に入りのタオルやブランケットがあると落ち着きやすいと言われています。

    動物病院によっては、衛生管理の観点から持ち込み品が制限されることもありますので、事前に確認しましょう。

    また、嘔吐物や排泄物などで汚れてしまった場合、廃棄される可能性もあります。

    お気に入りのタオルはあえて持ち込まず、入院用に新しいタオルに愛猫のニオイをつけておくのもおすすめです。

    お気に入りのオモチャ

    お気に入りのオモチャは、タオルと同様に愛猫が落ち着くのに役立ちます。

    入院中にオモチャで遊べる心理状態にはならないでしょうが、慣れ親しんだニオイにはリラックス効果があると言われています。

    ヒモのついたオモチャは避け、蹴りぐるみのような誤飲しないオモチャを選びましょう。

    動物病院によっては、オモチャの持ち込み不可の場合もあるので確認してください。

    また、タオル同様に、汚れた場合には廃棄される可能性も知っておきましょう。

    トイレ砂

    入院中は緊張のために排泄しない猫も多いです。

    ベッド代わりに、トイレの中に居座る猫も少なくありません。

    しかし、排泄できる方が良いので、普段使っているトイレ砂を持って行くのがおすすめです。

    さまざまな素材のトイレ砂があり、好みに合わないとストレスを感じることもあります。

    動物病院のトイレ砂が何なのかを聞き、家のトイレ砂とまったく違うタイプの場合には持参するといいでしょう。

    使用済みのニオイのついた砂も役に立ちます。

    猫が入院する時の費用

    猫が入院する時の費用
    猫が入院する時の費用については、事前に確認することが重要です。

    猫の医療費は全額自己負担なので、民間の保険に加入しているとしても、想像以上に高額になることがあります。

    支払い時に焦ることがないようにしておきましょう。

    処置の内容による

    入院の費用は、処置の内容によって異なります。

    検査や経過観察のための入院に比べて、重篤な症状や緊急オペなどに伴う入院は高額になりがちです。

    例えば、メス猫の避妊手術は1泊入院をすることが多く、費用は約2〜5万円程度です。

    猫の入院で最も多いのは慢性腎臓病で、1回の入院で4万5,000〜7万円ほどかかると言われています。

    誤飲の処置として消化器官の手術を行う場合には、10万円ほどかかるのが相場です。

    入院日数による

    入院1日あたりの費用が決まっている場合、日数が長くなるほど高額になります。

    猫の入院で最も多い慢性腎臓病は、1回あたりの平均入院日数は4.6日と言われています。

    また、オス猫に多い尿道閉塞は、入院が5日を超えることもあるそうです。

    症状や治療によって、予定よりも早く退院したり、入院期間が延びたりします。

    入院日数がどれくらいになるのかを事前に確認しておくことも大切ですが、想定外のスケジュールになる可能性があることも知っておきましょう。

    猫が入院する時の注意点

    猫が入院する時の注意点
    猫が入院する時は、動物病院の選び方から退院後の過ごし方まで注意が必要です。

    治療の結果に後悔しないためには、獣医さんの方針が飼い主さんの価値観と合う動物病院を選ぶと良いでしょう。

    入院中や退院後には、愛猫の体調だけでなくストレスの管理も重要です。

    動物病院の方針を確認する

    積極的に入院を勧める動物病院もあれば、必要最低限しか入院させない動物病院もあります。

    外科手術や投薬、痛みの緩和に関する方針や治療の必要性をしっかり説明してもらい、納得した上で入院させることが重要です。

    少しでも疑念を抱いた場合は、他の動物病院でセカンドオピニオンも行うのもおすすめです。

    最終的には、飼い主さんが愛猫に関する決定権を握っています。

    動物病院の選択について後悔しないように、しっかりと方針を確認しましょう。

    猫専用の動物病院がおすすめ

    猫の飼い主さんが安心して動物病院を選べるように国際猫医学会が定めた国際基準を満たした「キャットフレンドリークリニック」を選ぶのもおすすめです。

    以下の3つの基準が定められています。
    • 猫の専門性の高い知識と質の高い猫医療を提供すること
    • 猫のストレスを軽減し快適に過ごせる環境であること 
    • 猫と犬の待合室や診察室を分けるなど猫専用の空間があること
    国内にはゴールド取得病院133病院、シルバー取得病院38病院、ブロンズ取得病院3病院があります(2024年5月現在)。

    面会は愛猫の性格による

    ほとんどの動物病院では面会が可能です。

    診療時間内でも大丈夫なのか、休憩時間や診療終了後だけなのかを確認しておきましょう。

    あまり長時間の面会になると、動物病院の業務の妨げになることがあります。

    また、愛猫の性格によっては面会しない方が落ち着くこともあるため、様子を見ながら面会しましょう。

    「なぜ飼い主さんは自分を連れ帰ってくれないのか」と不安に感じる猫もいます。

    動物病院の環境に適応し、治療に専念するためにも、面会が必ずしも良い影響を及ぼすわけではないことを知っておきましょう。

    入院中に亡くなることもある

    健康を取り戻すために入院するわけですが、治療の甲斐なく愛猫が亡くなることもあります。

    体調の急変や麻酔・薬の影響で入院中に亡くなることも珍しくありません。

    飼い主さんへの連絡のタイミングによっては、看取りができない可能性も知っておきましょう。

    入院中に亡くなった場合、自宅で看病した方が良かったのではないかと後悔する飼い主さんもいます。

    入院に際しては、十分に説明を受けておくことが非常に重要です。

    退院後のケアも大切である

    入院中だけでなく、退院後のケアも大切です。

    エリザベスカラーの装着や投薬の期間を守り、獣医さんの指示に従って療養食を与えましょう。

    エリザベスカラーを嫌がる猫は多いですが、術後は傷口を舐めないようにすることが必要です。

    また、内服薬や目薬などの投薬は簡単ではありません。

    愛猫と飼い主さんの双方にとってストレスの多い生活になりますが、困った時には早めに動物病院に相談しましょう。

    上手な投薬の仕方や通院での投薬をアドバイスしてくれます。

    入院を防ぐ住環境のコツ

    入院を防ぐ住環境のコツ
    できることなら入院をせずに済ませたいですね。

    愛猫のケガや病気を防ぐための住まいづくりについてご紹介します。

    猫の習性を理解して、安全で快適な暮らしに整えましょう。

    滑り止めをつける

    猫は平面の動きだけでなく、ジャンプしたりよじ登ったりして上下方向の動きをします。

    猫の肉球は滑り止めの役割を果たしますが、慌てたり失敗したりして足を滑らせることがあります。

    キャットステップや階段には滑り止めをつけるのがおすすめです。

    特にシニア猫のケガには注意しましょう。

    シニア猫は身体能力や認知能力が低下し、ジャンプに失敗しやすくなります。

    また、長毛種の猫は足裏の毛が伸びて滑りやすいです。

    定期的に足裏の毛もカットしましょう。

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    キャットステップ用の滑り止めマット「MYZOO」

    脱走を防ぐ

    猫と暮らす場合は、窓やドアからの脱走予防対策が必要です。

    脱走すると、交通事故や感染症の危険があります。

    猫は意外と力が強く、自力で引き戸を開けることができます。

    窓には網戸のストッパーやフェンスをつけるのがおすすめです。

    また、愛猫が玄関に行けないように、廊下やリビングに脱走防止扉をつけると安全です。

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    <おすすめ建材>
    猫専用の脱走防止扉「にゃんがーど」

    落下を防ぐ

    ベランダやバルコニーからの落下を防ぐ工夫をしましょう。

    猫は高い場所から落ちても平気だと思われがちですが、そうではありません。

    2階の高さでも、着地する場所の状況や猫の身体能力によっては大ケガをしたり亡くなってしまったりします。

    まずは、窓や扉を開けっぱなしにしない習慣をつけましょう。

    脱走防止フェンスを設置すると、換気のために窓やドアを開けても、愛猫は外に出られません。

    また、落下防止ネットを使うと、ベランダやバルコニーに愛猫が出ても安全です。

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    キッチンに入らせない

    キッチンには、包丁や火など猫にとって危険な物がたくさんあります。

    愛猫をキッチンに入らせないための工夫をしましょう。

    ペットゲートを設置したり、キッチンに繋がるドアを閉じたりすると安全です。

    また、愛猫がキッチンに入っても大丈夫なように、危険な物は収納する習慣をつけましょう。

    常温で保管する食品にも注意が必要です。

    例えば、玉ねぎやレーズンを猫が食べると危険です。

    愛猫の手が届かない場所に隠しておきましょう。

    運動不足を解消する

    完全室内飼いの猫は運動不足になりがちですが、運動不足は万病の元です。

    キャットステップやキャットタワーを活用して上下運動を促進しましょう。

    段差を上ったり下りたりするために全身を使ってジャンプするので、運動量が増えます。

    オモチャを使って運動させるのも効果的です。

    猫じゃらしや蹴りぐるみなどさまざまなタイプのオモチャが販売されています。

    お気に入りのオモチャを見つけて、一緒に楽しみましょう。

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    愛猫の健康と安心をサポートする「ねこステップ」
    愛猫の遊び場に最適「猫壁(にゃんぺき)」

    柔らかい床材にする

    1日の大半を過ごすリビングには、愛猫の足腰に優しい素材の床材がおすすめです。

    滑りにくく傷がつきにくいフローリングを選ぶと快適でしょう。

    畳も柔らかくて足腰への負担が少ないですが爪とぎをされやすいので、フローリングの方がキレイに保ちやすいです。

    しかし、一般的なフローリングは水分の多い汚れがしみ込みやすく、爪で傷ついたり滑りやすかったりします。

    フローリング材を選ぶ時は、取り寄せたサンプルや店舗で実際の素材を確認しましょう。

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    入院が必要になったら、信頼できる動物病院を選び、納得できるまで説明を受けた上で入院させましょう。

    症状によっては、何年にも渡るケアが求められます。

    避けられるのであれば、ケガや病気を予防したいですね。

    滑り止めや脱走対策を行うことで、さまざまなアクシデントが予防できます。

    また、運動不足はストレスや体調不良の原因となりやすいです。

    キャットステップやペットゲートで活動範囲を増やし、健康に過ごせるように工夫しましょう。
     
    この記事を書いたペットとの暮らしの専門家
    永楽陽子
    大学院卒業後、予防医学に関する研究や環境分析に取り組む。元動物病院勤務。(ミックス/男の子)