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【専門家監修】犬は眩しさを感じる?目を細める7つの理由や病気のサインを解説

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    この記事を書いた人
    舘 明奈
    動物看護師統一認定機構認定 動物看護師・ペットケアアドバイザー等多数資格保有
    (パピヨン/男の子)
    「なんだか最近うちの子が“しょぼ目”をしている気がする…」

    愛犬の眩しそうな表情にこのような不安を感じたことはありませんか?  

    犬も人と同じように眩しさを感じることがあります。しかし、犬が目を細める理由はそれだけではない場合も。

    この記事では、認定動物看護師の資格を持つ筆者が「犬が目を細める7つの理由」や「放っておくと危険なケース」「日常でできる眩しさ対策」など、わかりやすく解説します。

    犬が眩しそうに目を細める7つの理由

    犬が眩しそうに目を細める7つの理由
    ここでは、犬が眩しそうに目を細める7つの理由をまとめました。

    眩しさを感じている

    犬も人間と同様に、強い日差しやライトの光の眩しさに目を細めます。

    強い光の刺激で目や頭が痛くなる場合もあるため注意が必要です。

    散歩時は日陰を歩く・室内のライトを明るくし過ぎないなど、眩しさが愛犬のストレスにならないように気を付けてあげましょう。

    ストレスや不安を感じている

    犬がストレスや不安を感じているときに眩しそうに目を細めるのは「自分を落ち着かせようとしているサイン」かもしれません。

    これは「カーミングシグナル」と呼ばれる犬のボディランゲージの一種です。

    主に「嫌だ・怖い・やめて」など、ストレス・不安・緊張を感じたときにカーミングシグナルを使います。

    目を細める以外にも、カーミングシグナルには以下のようにさまざまな行動があります。
    • あくびをする
    • 頭や身体を掻く
    • 口周りや鼻まわりをぺろぺろ舐め始める
    • 身体が震える
    • かたまる
    • パクパクと口を動かす
    • その場から立ち去る
    • 目をそらす
    • 背中を向ける

    カーミングシグナルを理解しておくと愛犬との意思疎通がしやすくなるため、普段からよく観察してみてください。

    相手に落ち着いてもらいたいと思っている

    犬は、他の犬や慣れない人と会った時「ぼくは敵じゃないよ」という意思表示として目を細めることがあります。

    これもカーミングシグナルの一つです。緊張状態にあるため、そわそわと多動になったりまばたきの回数が増えたりすることもあります。

    安心・信頼のサイン

    日向ぼっこ中やクッションで寝そべっているときなど、リラックスした状態で自然に目を細めている場合は「安心・信頼」のサインです。

    飼い主さんが近くにいて一緒にくつろいでいるときや、なでてもらってうれしいときなど、愛情表現として目を細めていることがあります。

    威嚇している

    睨むように目を細めていたら、威嚇して緊張状態になっているサインかもしれません。

    身体や精神が緊張状態にあるため、以下のようなサインが同時に見られることがあります。
    • まばたきが増える
    • 耳を後ろに倒す
    • 口角が上がる
    • うなり声を出す
    • 歯をむき出す

    犬が威嚇しているときは、無理に落ち着かせようとして近づくと噛まれたり引っ掻かれたりするかもしれません。

    威嚇の対象と愛犬の距離をそっと離しつつ、落ち着くまで見守ってあげましょう。

    敵意がない・降参の意思を示している

    「もう戦う気はないよ」という意思を示すために、眩しそうに目を細めることもあります。

    これもカーミングシグナルの一種です。

    飼い主さんに怒られているときに目を細めて顔を背ける場合は、「もうやめて」「怖いよ」という意思の表れかもしれません。

    お互いにストレスを感じすぎないよう、少し距離を置くなどして対応しましょう。

    異物が目に入って違和感や痛みを感じている

    ホコリ・虫・砂・毛・シャンプーなど異物が目に入ったときにも、目を細めたりまばたきが増えたりします。

    異物を取り除くために涙が出る・目の近くを掻く・顔を床や家具に擦り付けるなどのサインが見られることもあるでしょう。

    落ち着くまで見守りつつ、長引く場合は早めに動物病院で診てもらいましょう。

    こんな時は病院へ!犬の目の異常サイン

    こんな時は病院へ!犬の目の異常サイン
    以下のような様子が見られたら、病気やケガが隠れているかもしれません。
    • 目やにが増えた
    • 涙の量が多い
    • 涙やけを起こしている
    • 目が濁って見える
    • まばたきが多い
    • 目を気にして足で掻いたり床やクッションに擦り付けたりする

    おかしいなと思ったら早めに動物病院へ連れていきましょう。

    犬が眩しそうにするのは病気?考えられる目の異常とその症状

    犬が眩しそうにするのは病気?考えられる目の異常とその症状
    前の項で挙げた「異常サイン」に当てはまる場合は、目の病気や異常があるかもしれません。

    ここでは、目の病気や異常が原因で眩しそうに目を細めている場合についてまとめました。

    目の病気やケガ

    眩しそうに目を細めるような症状・サインが見られる目の病気を以下の表にまとめました。
    結膜炎 眼球の白目部分である結膜が、外傷や異物などにより刺激されて炎症を起こす。目の充血や目やにが増える。
    角膜潰瘍 眼球の黒目部分にある角膜に生じた傷から細菌が感染し、ただれを起こす。
    痛みが強く、しょぼしょぼして目を開けられない。
    ドライアイ
    (乾性角結膜炎)
    涙の量が減り、目が乾く。
    原因は、免疫疾患や遺伝性、加齢によるものなどさまざま。
    目の汚れを洗い流してくれる涙が少ないため、感染を起こしやすくなり膿のような目やにが出る。
    緑内障 目の中の水圧(眼圧)が上がり、視覚障害を引き起こす。
    眼球にどんどん水が溜まる状態になるため、目が大きくなったり瞳孔が開いてしまったり、白目が充血したりして目に痛みを伴うことが多い。
    ブドウ膜炎 さまざまな目の病気から併発するケースが多い病気。
    痛みを引き起こし、視覚障害を発症する場合もある。
    虹彩萎縮 瞳孔の大きさを調節している「虹彩(こうさい)」が萎縮してしまう病気。高齢犬に多い。
    目に入ってくる光の量をうまく調整できない
    ため、眩しさを強く感じやすくなる。

    目の病気やケガは治療が遅れると失明のリスクが高まることも。気付いたら自己判断で対処せず直ちに動物病院で診てもらいましょう。

    角膜が刺激されている

    角膜に違和感や刺激があると眩しそうに目を細めることがあります。

    原因として多いのは、逆さまつげマイボーム腺腫(まぶたの脂腺のしこり)です。

    角膜が刺激されている状態では以下のような症状が見られます。
    • 涙が増える・常に流れている
    • 目やにが増える
    • 結膜(白目の部分)が充血する
    • 眩しそうに目を細める

    放っておくと角膜炎結膜炎などにつながり、治るまでの期間が長引くことも。異変を感じたら早めに動物病院で相談しましょう。

    まぶたの異常

    眼瞼内反・外反(まぶたのめくれ)により目の乾燥や刺激が生じると、眩しそうに目を細めることがあります。

    まぶたが内側にめくれていれば「眼瞼内反症」、外側にめくれていれば「眼瞼外反症」です。どちらの場合も目の表面に刺激が加わり炎症を引き起こしやすくなります。

    眼瞼内反・外反ともに原因の多くは先天性です。また、結膜炎・外傷・眼球付近の筋肉や神経の異常や衰えなどが原因で発症することもあります。

    根本的に治すには手術が必要です。まぶたの状態に異常を感じたら、重症化する前に早めに受診しましょう。

    アレルギーによるかゆみ

    花粉症・食物アレルギー・アトピー性皮膚炎などのアレルギーも目のかゆみを引き起こす原因の一つです。

    目のまわりにかゆみがある場合、以下のようなサインや症状が見られます。
    • まばたきが多くなる
    • 眩しそうに目を細める
    • くしゃみ・鼻水・涙・目やにが増える
    • 顔を頻繁に掻く
    • 床や家具などに顔を擦りつける
    • 発疹が出る
    • 目のまわりの皮膚が赤くなる

    アレルギーは、検査をすることで発症の原因となっている物質(アレルゲン)を特定します。

    しかし、アレルギーは根本的に治す方法がほとんどありません。症状を抑える対症療法を根気強く続けていく必要があります。

    適切な方法・通院頻度で治療を続ければ症状を抑えてあげられるため、かかりつけの獣医師さんによく相談をしましょう。

    目の寄生虫感染

    犬の目の寄生虫感染で多いのは「東洋眼虫」という虫です。細い白糸のような形をした線虫で、人に寄生することもあります。

    メマトイというハエの仲間が犬の涙を吸うときにうつす、というのが主な感染経路です。

    目の寄生虫感染時のサインや見た目は以下の通りです。
    • 目の中に白くて細い糸状のモノが見える
    • 目の充血
    • 目を気にして掻く
    • まぶたピクピクさせている
    • 眩しそうに目を細める
    • 涙や目やにが増える

    眼球表面だけではなく、まぶたの裏に寄生している場合もあります。

    異常を感じたら早めに動物病院で診てもらいましょう。

    また、フィラリア症の予防薬を打つことで目の寄生虫感染の予防にもなるといわれています。かかりつけの動物病院で相談してみてください。

    愛犬の目に異常を感じたときの応急処置と対処法

    愛犬の目に異常を感じたときの応急処置と対処法
    目の異常は、誤った対処や放置をすると炎症の悪化や失明につながる可能性があります。

    ここでは、目の異常を感じたときの応急処置と対処についてまとめました。

    無理なケアは控える

    傷や炎症悪化の原因になるため、むやみに目を水で洗ったり市販の目薬を使ったりはしないようにしましょう。

    涙が多い場合は、愛犬が嫌がらない範囲でそっとガーゼやティッシュで吸い取る程度にしてあげてください。

    こびりついた目やにや涙やけが気になっても、ゴシゴシと力を加えて取ろうとするのはやめましょう。

    また、愛犬が掻いたりこすったりしないようにエリザベスカラーやタオルで保護するのがおすすめです。

    様子を見るか迷ったら早めの受診を

    以下のような症状やサインが見られたら、早めの受診がおすすめです。
    • 目やに・涙が多い
    • 目を気にして掻く・擦りつける
    • まばたきが多い
    • 目が充血している
    • まぶたに異常がある
    • 膿のような目やにが出ている
    • 目の周りの皮膚が赤くなっている
    • 眩しくないところでも目を細める

    目を気にして掻いたり擦ったりしている場合は「ダメ」と言っても愛犬にはなかなか伝わりません。

    愛犬がストレスを感じていることをよく理解してあげて、早めに動物病院へ連れて行きましょう。

    散歩中の眩しさから愛犬を守るための対処法

    散歩中の眩しさから愛犬を守るための対処法
    強い日差しは愛犬が目を痛める原因にもなります。

    ここでは、散歩中の眩しさから愛犬を守るための対処法をまとめました。

    日差しが強い時間帯を避けて散歩する

    愛犬との散歩は日差しが強い日中を避けて行きましょう。

    特に日差しが強い夏は、早い時間に日が出てきます。散歩の時間帯は朝は6時台・夕方は19時以降がおすすめです。

    また、雨上がりの地面からの照り返しにも注意しましょう。

    日陰のある散歩コースに行く

    散歩コースを工夫すれば、時間帯の調整が難しい場合でも強い日差しを避けて散歩に行けます。

    木陰や建物の影など、日陰のあるコースを選んでみてください。

    ハットやサングラスなど小物を活用

    犬用のハットやサングラスは、眩しさを軽減すると同時に紫外線対策にもなります。
    キャップクリップサングラス

    おすすめはキャップクリップサングラスです。

    犬用のキャップに付けて使用するサングラスで、日差しの眩しさを軽減し、98%以上の紫外線カットもしてくれます。

    嫌がる場合は無理に使わないようにしましょう。

    愛犬の眩しさを軽減する住まいの工夫

    愛犬の眩しさを軽減する住まいの工夫
    ここでは、眩しさを軽減する住まいの工夫についておすすめの建材を紹介します。

    リフォームシャッター|スマホ連携で遠隔操作もできる

    リフォームシャッター|スマホ連携で遠隔操作もできる
    リフォームシャッターは、既存の窓に後付けできるシャッターです。強い日差しを和らげて室内での眩しさを軽減してくれます。

    スマホで操作できるタイプがあり、飼い主さんが留守でも必要な時にシャッターを遠隔で閉められて便利です。

    留守中の防犯や台風時の飛来物対策にもなります。

    スタイルシェード|使い方自由自在の便利な日差し対策グッズ

    スタイルシェード|使い方自由自在の便利な日差し対策グッズ
    スタイルシェードは、窓の外側につけて日除けをするシェードです。

    窓のブラインドのような使い方はもちろん、上の画像みたいに屋根のように張って日除けをする使い方もできます。ベランダのある家におすすめです。

    眩しいだけじゃない。愛犬が見せている目のサインを正しく見極めよう

    愛犬の「眩しそうに目を細める」という何気ない仕草の背景にはさまざまな理由が隠れています。

    普段から様子をよく観察し、異常を感じた場合は早めの受診を心がけましょう。

    眩しさで目を痛めたり体調を崩してしまうこともあるため、眩しさから愛犬を守る対策をできることから少しずつやってみてください。

    この記事を書いたペットとの暮らしの専門家
    舘 明奈
    動物看護師統一認定機構認定 動物看護師・ペットケアアドバイザー等多数資格保有
    (パピヨン/男の子)