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気になる犬の涙やけ! マルチーズに多い涙やけの原因や対策・ケアについて解説

目次


    きれいな白い被毛がかわいいマルチーズですが、目元が赤茶色に変色してしまう涙やけに悩んだことはないでしょうか?

    涙やけを放置してしまうと、周りの皮膚が炎症を起こし皮膚炎になる可能性があります。

     

    また、毎日目の周りを綺麗にしているのにすぐに汚れてしまう、愛犬が目を気にしている仕草が目立ってきているなどがある場合、他の原因があるかもしれません。

     

    今回は、犬の涙やけになる原因や自宅でできる対策・ケアについて解説します。

    犬の涙やけとは

    涙やけとは「流涙症(りゅうるいしょう)」とも言います。

    犬の涙やけは、通常よりも涙の量が多いことによって目の下の被毛に涙が溢れ、赤茶色に変色してしまうことを言います。

    では、なぜ涙が赤茶色に変色してしまうのでしょうか?

     

    私たち人間も犬も涙は通常であれば透明です。

    犬は目の下に被毛があり、そこに涙が長時間付着して放置してしまうと赤茶色に変色します。

    赤茶色に変化することで、マルチーズのような被毛の色が薄い犬は目立ってしまいます。

     

    涙やけを起こしやすい犬種とは

    涙やけを起こしやすい犬種はマルチーズだけではなく、他にもトイ・プードルやチワワやポメラニアンなどの小型犬や顔が短い短頭種も多い傾向にあります。

     

    涙やけを起こしやすい特徴としては、トイ・プードルやチワワやポメラニアンといった小型犬では生まれつき鼻涙管が細かったり詰まりやすいケース。

    パグやシーズーといった短頭種では、顔の構造上、生まれつき鼻涙管が狭かったり塞がったりしていたりすることが多いようです。目が大きいので目を傷つけやすく、その炎症により涙やけを起こすケースもあります。

     

    また、犬種に関わらずアレルギー疾患の犬は、目に炎症を起こし涙やけになることもあります。
     

    犬の涙やけの原因とは

    犬の涙やけの原因について、考えられるものを解説します。

    目に被毛やゴミなどの異物が入ってしまう

    目に被毛やゴミなどが入ってしまうことによる刺激で涙の量が増加し、涙やけを引き起こすこともあります。

    換毛期の時期は特に、目に被毛などが入りやすくなりますのでその時期に涙やけを起こすケースもあります。

     

    異常なまつ毛の生え方

    犬のまぶたの裏側にまつ毛が生えてしまったり、まつ毛が目に向かって生えてしまうことによるもの。

    まつ毛が直接、目にあたってしまうことによる刺激で涙の量が増加してしまいます。

    犬にとっては痛みや不快感を感じたり、炎症により目の充血や角膜に傷がついてしまい羞明(しゅうめい:目をシパシパさせる仕草)することもあります。

     

    アレルギー

    外部からの刺激によるもので、犬の涙の量が増加してしまいます。

    外部刺激として考えられるものとして、食べ物、花粉、ハウスダストなどがあります。

    アレルギー反応が起こると、目の痒みや炎症により愛犬自身が気にして掻いたり擦ることがあります。その刺激により徐々に炎症が悪化します。

    結果、結膜炎(けつまくえん)や角膜に傷がつく角膜潰瘍(かくまくかいよう)になってしまい涙の量が増加してしまいます。
     

    鼻涙管閉塞(びるいかんへいそく)

    正常であれば犬の涙は目の保護をしてくれる役割があり、目頭にある穴に吸収されて鼻涙管という管をスムーズに通ることができます。その涙は、犬の鼻の穴から出てくる仕組みです。

    鼻涙管が詰まったりその管が狭いことによって、涙の排泄経路に障害が生じて行き場がなくなった涙が目から溢れ出してしまうことを鼻涙管閉塞と言います。

    痛みはなく、涙が目の下の被毛に長時間付着すると赤茶色に変化します。

     

    眼瞼内反症(がんけんないはんしょう)

    眼瞼内反症は犬のまぶたが内側に巻き込む病気で生まれつきのことが多く、犬のまつ毛が目の表面にあたりその刺激により涙の量が増加してしまいます。

    まつ毛が常に目に刺激を与えるので、犬にとっては痛みや不快感を感じたり、炎症により目の充血や角膜に傷がついてしまい羞明(しゅうめい:目をシパシパさせる仕草)することもあります。

     

    マイボーム腺の機能異常

    マイボーム腺とはまぶたの縁にあり、油分を分泌する役割があります。

    犬の目の表面は油分で覆われており、それにより涙を保持したり目を保護してくれています。

    加齢やホルモンバランス、炎症などによりマイボーム腺の機能低下を起こすと、涙を保持できなくなり目の下に流れ落ちてしまうことにより涙やけを引き起こします。

    また、目を保護してくれる涙が保持できなくなるのでドライアイ(乾性角結膜炎)になってしまいます。

    目がゴロゴロする違和感や痛みが生じたり、瞬きすら擦れて角膜に小さな傷が出来てしまっても目を保護する役割の涙が通常よりも少ないので悪化する可能性もあります。

    慢性化すると、角膜にできた傷から潰瘍(かいよう)が進行し、角膜穿孔(角膜に穴があいてしまうこと)やぶどう膜炎に進行し失明する恐れもあります。



     

    おうちでできる愛犬の涙やけ対策やケア

    愛犬の涙やけに対して、おうちでできる対策やケアをご紹介します。

     

    生活環境を清潔に維持する

    犬は私たち人間よりも生活する位置が床に近いため、目に被毛やゴミなどの異物が入りやすいです。特にマルチーズのような小型犬では、大型犬に比べて体高も違い床に近いのでゴミが入りやすいです。

    その刺激により涙の量が多くなったり、目の違和感を気にして掻いたり擦ったりして傷ができるケースもありますので、飼い主さんはこまめに掃除をして清潔な生活環境を維持してあげましょう。

    また、愛犬がいつも使用しているベッドや毛布もこまめに洗濯したり、ソファやラグなども綺麗にしてあげましょう。

     

    空気洗浄機の活用

    目にはみえない花粉やハウスダストに対して、空気清浄機を活用して空気を綺麗にしてあげましょう。

    定期的に空気の入れ替えもしてあげましょう。

     

    空気清浄機はこちらの記事をチェック

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    こまめに目元を綺麗にしてあげる

    愛犬の涙やけの対策として、こまめに涙を拭き取ってあげることも大切です。

    マルチーズのような被毛の薄い犬は特に涙やけが目立ちやすく、飼い主としては気になりますよね。

    目元も綺麗にしてあげる方法としては目はとてもデリケートですので、濡れたコットンやティッシュなどで優しく拭き取ってあげてください。

     

    拭き取った際に、目の下の皮膚が赤く炎症していたり、明らかに痛がるような仕草があれば自宅でのケアはやめて、動物病院を受診しましょう。

    また、拭き取りをスムーズにするために、長毛の子は目周りの被毛をトリミングサロンで短くカットしてもらいましょう。

    目周りのカットはとても危険ですので、自分では行わないようにしましょう。

     

    定期的なブラッシング 

    目の中に被毛が入ってしまうことを少しでも予防するために、定期的にブラッシングしてあげましょう。

    換毛期の時期だけ涙やけになる愛犬は、目の中に入ってしまった被毛や異物が原因の可能性も考えられます。

     

    ホットタオルでのケア

    水で濡らしたタオルを電子レンジなどで人肌程度に温めて、愛犬の目元に優しくあててあげると、鼻涙管の詰まりや通りをよくするためのケアになります。

    その後、目周りを優しく拭き取ってあげてください。

    目の周りを触られるのが苦手な子は怖がってしまうことがあります。その際は中止しましょう。

    また、ホットタオルが熱すぎると火傷する可能性がありますので、注意が必要です。

     

    食事の変更

    食事アレルギーによる皮膚の痒みにより目を掻いたり擦ったりしてしまう子は、アレルギー対応食で対応してあげましょう。

    アレルギー食に切り替える際は、動物病院で一度相談することをおすすめします。

     

    こんな時は、動物病院を受診しましょう

    おうちでのケアをしても改善しない場合は、上記に挙げたような「鼻涙管閉塞(びるいかんへいそく)」や「眼瞼内反症(がんけんないはんしょう)」や「マイボーム腺の機能異常」など、「涙やけの原因となる疾患が考えられますので、動物病院を受診しましょう。

     
    • 目の周りを常に気にして掻いたり床に擦りつけている
    • 目の周りを触ろうとしたら、痛がったり怒ったりする
    • 目が赤く充血したり、目やにが増加したり色が黄緑色に変化している など

    自己判断せずに、まずは動物病院を受診して相談しましょう。

     

    まとめ

    今回は、マルチーズのような小型犬や短頭種に多い犬の涙やけに関して解説させていただきました。

    犬の涙やけに対しておうちでできるケアもありますので、ぜひ試してあげてください。

    ただ、目はとてもデリケートですのでケアしてもなかなか改善しない場合には、動物病院を早めに受診しましょう。

    少しでも今回の記事が皆様のお役に立てたら、幸いです。

    この記事を書いたペットとの暮らしの専門家

    佐藤 綾香

    愛玩動物看護師・ペット栄養管理士・臨床栄養指導 認定動物看護師1級

    エリア:東京都