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愛犬の部屋を増築する主な方法は?費用や部屋づくりのポイント・注意点

目次
    「愛犬が安心して過ごせる専用スペースを作ってあげたい」と思う飼い主さんは多いはず。
    増築工事などで部屋を増やす、あるいは既存スペースの一部を活用したいとお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

    特に家の中で多くの時間を過ごす室内犬にとっては、安全で生活しやすい居場所を確保することはとても大切ですよね。

    本記事では、犬のための部屋を増やす主な方法と費用相場、環境づくりの注意点、快適空間にするためのポイントをご紹介します。

    【はじめに】増築の定義について

    愛犬のための部屋づくりのお話しをする前に、まずは「増築」の定義について簡単に触れておきましょう。

    「増築」とは、建物の床面積を増やす工事のことを指し、たとえば、建物の外側に新たな部屋・サンルームを追加する工事が該当します。

    一方で「今ある部屋の一部を仕切って、ペット専用のスペースを設ける」場合は、床面積が変わらないため増築にはあたりません。

    ただし本記事では、実際に床面積を増やす「増築する場合」と「既存スペースの活用(間仕切りを設置するなどの方法)で愛犬のための部屋を増設する場合」の両方のパターンについて、解説していきます。

    犬のための部屋を増築・増設する方法と費用

    犬のための部屋を増築・増設する方法と費用
    愛犬のための部屋を増やす主な方法と、それぞれの費用の目安は次のとおりです。

    既存の部屋に間仕切りを設置してペットコーナーを作る

    既存の部屋を活用し、壁やパーテーションで仕切る方法です(床面積を増やさないため「増築」には該当しません)。

    集合住宅では「増築」は現実的ではないため、こちらの方法を検討するとよいでしょう。

    かかる費用は10〜25万円程度、開閉式のドアを設置する場合は総額15〜50万円が目安です。

    新設したスペース内にエアコンや照明などの設備を追加する場合は、電気工事費が別途必要になります。

    比較的手軽で工期も短いため「まずは試しに小部屋を作ってみたい」という方にもおすすめの選択肢です。

    1部屋を増築する

    庭や敷地内に新たに1部屋を増築する方法は、しっかりとした独立スペースを確保できるため愛犬の快適性を重視したい方に適しているでしょう。

    1階部分に増築する場合、費用は4〜6畳ほどの広さであれば110〜330万円程度が目安です。

    構造の設計や確認申請が必要になるケースがあるため、施工業者との事前相談が重要です。

    サンルームを増築する

    サンルームを増築する
    サンルームは、自然光がたくさん入り、明るく開放的な空間を作れるのが魅力です。

    愛犬の遊び場や日向ぼっこスペースとして重宝しやすいでしょう。

    増築費用は、広さなど設計次第ですが、おおよそ30〜100万円ほどかかります。

    簡易的な「テラス囲い(元からあるテラスやウッドデッキなどの部分を活用し、アルミフレーム・ガラス・ポリカーボネートなどのパネルで囲む、サンルームよりも簡易的な空間)」であれば、施工費は70万円以内で済む可能性が高いですが、断熱性や気密性はサンルームと比べると、やや劣ってしまうでしょう。

    換気扇や遮光カーテンといったオプション工事も行う場合は、その分の追加コストが発生します。

    <おすすめの建材>
    LIXIL「ガーデンルームGF

    ライフスタイルや敷地条件などに合わせて仕様を選択でき、愛犬と一緒に過ごせる「おうちリゾート」を実現します。

    オプションのバリエーションが豊富で、ご近所からの目隠し対策となる腰壁も設置可能。
    空間づくりの幅が広がります。

    【価格(工事費・配送費・消費税別)】681,000円(※開口部/正面・左右側面:テラスサッシ)

    増築する場合の注意点

    部屋やサンルームを「増築」する際には、注意点があります。

    特に念頭に置いておきたいのが「確認申請(建築確認)」の有無です。

    増築面積が10㎡を超える場合、もしくは防火・準防火地域に該当する場合には、原則として確認申請が必要です。

    申請時には図面の作成や行政への届け出が必要となり、費用は数万〜十数万円程度かかります(自治体や施工面積により異なります)。

    確認申請は、一般的には建築士などの有資格者に書類作成・申請を代行してもらうため、その依頼料も15〜30万円ほど必要です。
    確認申請を行う可能性がある場合は、建築士が在籍している施工業者に相談するとスムーズです。

    また床面積が増えると固定資産税が上がるため、ご不安な場合は事前に自治体の窓口で確認しておくことをおすすめします。

    犬の専用部屋を増築・増設する際のポイント

    犬の専用部屋を増築・増設する際のポイント
    犬の専用部屋を作る際には、快適で健康的な空間にするため、次の点を配慮・工夫しておきましょう。

    ニオイ対策をしておく

    犬が過ごす部屋では、湿気やトイレなどのニオイがこもりやすくなるため、対策が不可欠です。

    消臭スプレーなどのグッズを活用する方法も有効ですが、壁材に消臭効果のあるタイプの物を採用すると、より伸びやかに過ごしやすくなるでしょう。

    特におすすめの壁材は、水拭きできるLIXILの「エコカラットプラス」です。

    <おすすめの建材>
    LIXIL「エコカラット(プラス)

    調湿・脱臭機能があり、ペットのニオイだけではなく生活臭を軽減する効果も期待できます。

    空気中に漂う有害物質(ホルムアルデヒド・トルエンなど)をしっかり吸着・低減するため、フレッシュで安心できる空間にしたい場合にも向きます。

    デザイン性が高いため、おしゃれな部屋に仕上げたい場合にもイチオシです。

    【価格】13,900円〜/㎡

    <おすすめの建材>
    関西ペイント「アレスシックイ」 

    自然素材である漆喰(しっくい)をベースとした、内装用の塗料です。

    優れた消臭・抗菌・調湿機能を兼ね備えています。

    一般的な漆喰は左官工事の技術が問われますが、アレスシックイは比較的施工が容易で、取り入れやすい商品です。

    気になるペットのニオイを解決する工夫の仕方は?

    壁や柱を噛む・引っかく場合は保護する工夫を

    壁や柱を、噛んだり爪で引っかいたりすることが多い場合は、保護しておけると安心です。

    壁を保護する方法としては「腰壁(腰の高さ程度までの壁材)」の設置を推奨します。

    おすすめは、大建工業の商品「ハピアウォール」。
    表目の強度が強いため傷や汚れがつきにくい素材です。
    「ハピアウォール」を手掛ける大建工業の魅力やおすすめの商品

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    床は滑りにくく、掃除しやすい素材にする

    愛犬の足腰になるべく負担がかからないよう、床材は慎重に選びたいところ。

    一般的なフローリング材などは滑りやすいため、関節に悪影響を及ぼすリスクがあるため避けるとよいでしょう。

    理想的なのは、滑りにくく、かつ掃除がしやすい素材です。

    防水性や耐久性があり、汚れ・ニオイもつきにくい床材を選べば、衛生面も保ちやすいでしょう。

    <おすすめの建材>
    大建工業「ワンラブフロアV」 

    表面に特殊な仕上げを施すことで、小型犬の肉球でも滑りにくく配慮された、ペット用のフローリング材。

    傷や汚れに強く、変色や色あせしにくいのが特徴です。 

    手入れが簡単なため、きれいな床を保ちたい場合にも適しています。

    【目安価格 】39,800円/約1坪

    電源コードなどの危険な物はなるべく隠す

    部屋にある電源コードや小物類の扱いにも注意が必要です。

    特に好奇心旺盛な子犬などは、コードを噛んで感電してしまうおそれがあります。

    電源コードはコードカバーやモールでしっかりと隠し、なるべく床に出さないようにしましょう。

    観葉植物や掃除道具など、誤飲やケガにつながりそうな物は置かない(どうしても置きたい場合は、犬の届かない高さや収納の中にしまう)など、できる限り対策することが大切です。

    寒さ・暑さ対策も大切(エアコン・床暖房など)

    健康を守るうえで、夏場の熱中症や、冬場の冷え込みには注意しましょう。

    暑さ対策にはエアコンが基本ですが、できれば風が直接当たるのを避け、室内の温度を一定に保ちやすい機種や位置も工夫できると理想かもしれません。

    冬場の寒さ対策としては、足元から暖まる床暖房もおすすめです。

    エアコンと異なり、毛や埃が舞いにくく、フィルター掃除の手間がない点もメリットと言えます。

    サンルームを増築する場合は、夏は高温に、冬は極端に寒くなる傾向があるため、さらに対応策を講じておく必要があります。

    断熱サッシや遮光ブラインドを設置するなど、工夫してあげましょう。

    <おすすめの建材>
    リコシス「マンション断熱工法(AIB工法)

    マンションで暑さ・寒さ対策をしたいときに適した建材です。

    既存の石膏ボードなどを解体することなく、新たに断熱パネルを貼ることで断熱性能を高められます。
    標準施工期間は2日のため、短い工期で断熱リフォームをしたい場合にもおすすめです。

    【価格(税抜)】モデルプラン(3LDK・専有面積61.36㎡・芯々)中間階中住戸:90万円、中間階角住戸:130万円

    <おすすめの建材>
    アルシステム「プリマヴェーラ

    電気式の床暖房システムのため、空気が汚れる心配がなく、火災リスクの不安もありません。

    ペットの毛やホコリが舞いにくく、アレルギー対策としても有効です。

    安全性が高いためペットにも優しく、省エネ性もあるため経済的であることもうれしいポイント。

    【価格(税抜)】「プリマヴェーラ・ネオ」「プリマヴェーラ・ティノ」の場合:255,400円/6畳

    温湿度管理や換気をしやすい環境を作る

    温湿度管理や換気をしやすい環境を作る
    温湿度が極端に変化すると、犬の体調に悪影響を及ぼす可能性があるでしょう。

    エアコン・除湿器・加湿器などでコントロールしやすい環境を整えておくことも大切です。

    サーキュレーターを併用すると、空気を循環させやすくなります。

    部屋の窓に網戸がない場合は、換気しやすいよう設置することも検討しましょう。

    <おすすめの建材>
    セイキ販売「リリーブ

    こちらは、玄関ドア用の通風スクリーン・網戸として販売されているものですが、ベランダにも設置可能です。

    一般的な網戸では愛犬が脱走してしまいそうな場合に、増築・増設する部屋のベランダに「リリーブ」を取り付けるとよいでしょう。

    金属製のパネルを採用しているため、強風や引っかき傷への耐性があります。

    【価格(税抜)】87,900円(Vタイプ・アルミパンチングの場合)

    防音・遮音対策もしておくと安心

    愛犬の鳴き声が外に漏れたり、あるいは外からの音で愛犬が興奮したりしないよう、防音・遮音対策もしておきたいところです。

    壁に吸音パネルを取り付ける、窓を二重窓に変更するなどの方法があります。
    二重窓は防音だけでなく、断熱対策としても有効です。

    <おすすめの建材>
    エンデバーハウス「パーフェクトバリア吸音パネル」 

    高密度のポリエステルを100%使用した吸音材です。

    取り付けが簡単なので、DIYに慣れていない方でも扱いやすいです。

    柔らかい素材で、愛犬が触れても安全な点も魅力。

    シンプルなカラーや、ポップな色やデザインも選べるため、落ち着いた空間にしたい方にも、可愛らしく仕上げたい方にも最適です。

    【価格(税込)】17,760円(4枚セット)/72,840円(10枚セット)

    ペットドアを設置するのも◎

    新しい部屋と、隣接するリビングなどに愛犬が行き来できるよう、ペットドアを設置しておくと便利でしょう。

    脱走や誤侵入を防ぐためには、ロック機能付きのタイプを選ぶと安心です。

    ペットドアのメリット・デメリットは?おすすめのドアもご紹介
    おすすめのペット用ドア5選!選び方、注意点も解説

    愛犬専用部屋の作り方は、以下の記事でも詳しく解説しています。あわせて参考にしてみてください。
    愛犬の専用部屋は必要?部屋づくりのポイント
    大型犬を室内飼いするために必要な準備と室内環境

    愛犬が快適に使えるスペースを作るために

    愛犬が快適に使えるスペースを作るために
    犬のための部屋づくりは、見た目や使いやすさだけでなく、安心して過ごせる環境にすることが大切です。

    今回ご紹介した内容を参考に、ニオイや温湿度対策、安全面までしっかり配慮した空間を計画してみてください。

    リフォームや増築工事を行う際には「愛犬家住宅コーディネーター」の資格を持つ業者に相談すると安心です。

    増築する場合は、建築士のいる会社を選ぶと、手続きや設計も効率的に進められるでしょう。

    愛犬がのびのびと過ごせる、快適で楽しいお部屋ができあがるといいですね。
     
    この記事を書いたペットとの暮らしの専門家
    AMILIE編集部
    愛犬・愛猫とくらす住まいの専門誌『AMILIE(アミリエ)マガジン』を年2回発行。
    ペット愛好家のみなさまに住まいの情報を日々発信中!