• 公開日時:
  • 更新日時:

【獣医師監修】猫の関節炎のサインとは?ジャンプしない・寝てばかりの原因と自宅ケアを解説

この記事は広告を含みます。
詳しくはプライバシーポリシーをご覧ください。

目次
    この記事を書いた人
    葛野 莉奈

    獣医師。動物病院、会員制電話相談動物病院などを経て動物病院を開院。

    興味がある分野は、皮膚科や産科、小児科。12頭の犬、3匹の病院猫と生活する。

    人間と同様に猫も関節炎によって、動いた際の違和感や痛みで大きな負担を感じる場合があります。

    立体的な運動を好む猫にとって、関節炎は思うように運動ができないストレスにもつながります。

    本記事では、猫の関節炎で見られる症状や原因、動物病院を受診する目安、治療方法や住環境の工夫について解説します。

    猫の関節炎とは?関節に炎症や痛みが起こる病気

    猫の関節炎とは?関節に炎症や痛みが起こる病気

    猫は高いところに上ったり飛び降りたり、空間を立体的に使って遊ぶことを好む生き物です。

    そんな猫によく見られるのが、関節に痛みや違和感が起こる関節炎というトラブルです。関節に炎症が起こるため、痛みや違和感につながります。

    加齢に伴って発症しやすい「変形性関節症」は、関節軟骨の変性や関節の変形が起こる疾患で、高齢猫の7割以上に見られる可能性があるとされています。

    ただし、猫種特有の体形が関係する場合もあり、高齢の猫だけに発症する訳ではありません。

    ジャンプをしなくなる、寝ている時間が増える、触られることを嫌がるなどの行動変化に気づくことが早期発見につながります。

    猫の関節炎で見られるサイン・症状

    猫の関節炎で見られるサイン・症状

    猫の関節炎のような運動器の異常は、痛みや違和感による行動の変化として現れることが多いです。

    • 高い場所へ上ることを嫌がる
    • ジャンプを嫌がる
    • 排せつの失敗が増える
    • 触れられることを嫌がる
    • 警戒心が強くなる
    • 怒りっぽくなる
    • 寝ている時間が増える

    挙げた変化は一部ですが、初期に現れることが多く、気づきやすいサインです。進行すると、歩き方や筋肉のつき方に変化が現れる場合もあります。

    関節炎の特徴として、体重などによる関節への負荷で痛みが強くなる傾向があります。そのため、発症部位によって痛みを感じる姿勢やタイミングが異なります。

    高い場所に上らない・ジャンプをためらう

    関節炎の痛みや違和感により、キャットタワーなどの高い場所に上ったり、ジャンプして降りたりすることを避ける猫も多いです。

    上る運動や下りる動作の最中に痛みを感じた経験から、避けているのかもしれません。

    特に降りる際には体重の負荷がかかりやすく、関節の違和感を感じやすい傾向があります。

    一見、問題なく上り下りできているように見えても、痛みを感じる場合があります。動作をためらう様子があれば注意が必要です。

    寝ている時間が増え、遊ぶ時間が減る

    関節に痛みや違和感を感じている場合、猫が動くことを避けるようになる場合もあります。

    その結果、筋力の低下などが起こり、遊ぶ時間も減り、寝ている時間が増えるという悪循環が起こることもあるでしょう。

    特に中高齢の猫の場合、このような行動変化を加齢のせいにしてしまいがちです。

    痛みや違和感が原因で活動量の低下が起こり得ることを知っておきましょう。

    トイレや毛づくろいなど日常の行動に変化が見られる

    関節炎によって少しの段差を越えたり、体をひねったりする動作が負担になることがあります。

    その結果、トイレの縁をまたぎにくくなって排せつの失敗が増えたり、体ををひねれず毛づくろいの頻度が減って被毛の状態が悪くなったりする場合もあります。

    また、これまで触れられることを好んでいた猫が嫌がるようになったり、怒りっぽくなるなどの変化として見られる場合もあるでしょう。

    日常生活の中の小さな変化も、関節炎による痛みや違和感が関係している可能性があるので、注意が必要です。

    猫が関節炎になる主な原因とは

    猫が関節炎になる主な原因とは

    どんな猫でも起こり得る関節炎ですが、原因はさまざまです。

    加齢や肥満、滑りやすい床、高い段差など体の問題や住環境が、関節に負担をかけるものとして挙げられ、原因につながっている場合が多いでしょう。

    具体的にはどのようなものが負担となるのでしょうか。

    加齢による関節への負担

    年齢を重ねると、関節のクッション材となる関節液の減少や軟骨の変性などが起こり、関節に負担がかかりやすくなります。

    あわせて筋力の低下なども起こるため、着地時の衝撃の緩和が難しくなり、関節への負担が増す場合もあります。

    痛みや違和感など、加齢に伴う体の変化に合わせて猫自身が動きを控えるとは限らず、知らないうちに症状が進行することもあるため注意が必要です。

    肥満による関節への負担

    体重が増えると、四肢だけでなく背中や腰などの関節にも負担がかかる危険性があり注意が必要です。

    関節炎の予防や発症後の負担軽減対策として、体重管理もとても大切です。

    関節を守るために筋肉量を維持することも大切ですが、肥満を予防することはより大切です。

    体重測定の習慣化と、スキンシップの一環として体の肉付きを確認する習慣をつけましょう。

    滑りやすい床や高い段差のある住環境

    猫の体だけでなく、生活環境も関節に負担をかけ、関節炎の原因の一つとなり得ます。

    滑りやすい床や高い場所への昇降、ジャンプが多い、トイレの縁が高いなど、小さな事かもしれませんが毎日の動作により負担となる場合があるでしょう。

    猫の動線を見直し、無理なジャンプや着地を減らすことなどが大切です。

    また若いころは問題がなくても、加齢とともに環境の見直しが必要となる場合もあるでしょう。

    猫の関節炎が疑われるときの受診目安

    猫の関節炎が疑われるときの受診目安

    病院が苦手な猫も多く、受診のタイミングは難しい問題といえるでしょう。

    しかし、経過観察をしすぎると、症状が悪化する危険性があるため注意が必要です。

    また、愛猫の負担を早期に軽減するために、関節炎が疑われる場合は、できるだけ早めに適切なタイミングで受診しましょう。

    受診の目安についてお話しします。

    歩き方やジャンプに変化がある場合は相談する

    日常生活の中で、足をかばうようなしぐさや段差を避ける行動、ジャンプや着地の失敗などがある場合、関節に痛みや違和感が生じている可能性があります。

    こうした変化に気づいたら、早めに関節の状態や痛み・違和感の程度を獣医師に確認してもらうことが大切です。

    受診時に、歩き方やジャンプなどを再現することが難しい場合もあるため、動画で撮影しておくと違和感を獣医師と共有しやすいでしょう。

    痛がる・食欲が落ちる・動かない場合は早めに受診する

    今まで触れさせてくれていたのに、触ると激しく鳴く、急に動かなくなる、食欲や排せつに変化が見られる場合は、関節炎以外の病気やけがが隠れている可能性もあります。

    疾患の種類やけがの状態によっては致命的な問題にもつながり得るため、できるだけ早めに受診しましょう。

    猫はぎりぎりまで我慢しやすい生き物です。

    猫のストレスなどを考慮して様子を見がちですが、実はぎりぎりまで我慢をしていて症状が進行している可能性もあるため、様子見をすることは危険です。

    早めに受診することを心がけることが大切です。

    猫の関節炎の検査と治療方法

    猫の関節炎の検査と治療方法

    猫の関節炎で一番大切なことは、原因を究明したうえで、違和感や痛みを軽減することです。

    動物病院では、そのために問診や触診、画像検査などで猫の状態を把握し、適切な治療を選択します。

    ここでは具体的な検査内容と治療方法を紹介します。

    問診・触診・画像検査で状態を確認する

    猫の関節炎を診断するうえで、飼い主さんからの情報は重要です。

    動物病院では、触診や歩行の確認によって異常が見つかる場合もありますが、緊張や興奮から普段の症状が現れないこともあります。

    家庭での様子を動画で撮影して診察時に共有できると、状態の確認がしやすく診断の参考になります。

    関節炎や他の運動器疾患との鑑別のために、画像診断を行うこともあるでしょう。

    痛み止めや注射、サプリメントを使うことがある

    猫の関節炎の場合、完治することを目標に原因にアプローチするのではなく、痛みや違和感をコントロールしながら生活しやすくすることが治療方針となることが多いです。

    症状に応じて、痛みや炎症を抑える内服薬や注射薬、関節をサポートするサプリメントなどを使用するケースが一般的でしょう。

    ただし、必ず獣医師から処方されたものを使用し、自己判断で人間用の痛み止めを与えることは避けましょう。

    副作用や体調不良などにつながり危険です。

    また、治療とあわせてさらに負担を軽減するために、生活環境の見直しも行うと有意義です。

    猫の関節炎で家でできるケアと住環境の工夫

    猫の関節炎で家でできるケアと住環境の工夫

    猫の関節炎は、投薬などによる痛みの管理に加え、住環境を見直すことで関節への負担を軽減できます。

    滑りにくい床材やステップの設置、使いやすいトイレへ変更することで、関節への負担をぐっと減らしやすくなるでしょう。

    具体的にどんなことをすると負担を軽減できるのかご紹介します。

    滑りにくい床にして足腰への負担を減らす

    猫は運動や遊びが大好きな生き物です。急に部屋中を勢いよく走り回ることもあるでしょう。

    フローリングなどの滑りやすい床は、関節に負担をかける場合があります。

    よく走る場所やジャンプする場所には滑りにくい床材を選んだり、マットやカーペットを敷くことがおすすめです。

    ステップやスロープでジャンプの負担を減らす

    猫は高いところを好み、立体的に動くことが好きな生き物です。

    ソファやベッド、窓辺、キャットタワーなどをお気に入りの場所にする傾向があります。

    しかし、高い場所への昇降は関節への負担となりやすいため、スロープやステップを置くと負担を軽減しやすいでしょう。

    より負担を軽減するために、急な段差ではなく、低い段差をいくつか用意するのがおすすめです。

    寝床・水飲み場・トイレを移動しやすい範囲に配置する

    関節炎を発症している猫にとって、寝床や水飲み場、トイレまでの移動距離が長いと負担になる場合があります。

    移動が最低限ですむように、生活に必要な場所を近くに配置し、移動の負担を軽減しましょう。

    配置する際に、段差の有無や無理な体の動きが必要な動線を避けることも大切です。

    体重管理と無理のない運動を続ける

    猫の肥満は関節への負担を増やすため、体重管理による肥満の予防や筋肉量の維持が大切です。

    ただし、痛みがある猫に無理な運動をさせるのは逆効果。関節炎を悪化させる可能性があります。

    食事量や運動量などを獣医師と相談しながら調節するよう心がけましょう。

    猫の関節炎に関するよくある質問(FAQ)

    猫の関節炎に関するよくある質問(FAQ)

    猫の関節炎はよく見かける疾患であると同時に、飼い主さんから多くの質問を受ける疾患でもあります。

    関節炎は致命的な問題につながりにくいですが、痛みや違和感は愛猫の大きな負担となりQOLを低下させます。

    疑問に感じやすい点について解説します。関節炎について理解を深めましょう。

    猫の関節炎は治りますか?

    関節炎による痛みや炎症は、投薬やサプリメントの使用などで緩和させることが可能です。

    しかし、すり減ってしまった軟骨や、変形してしまった関節を元に戻すことは難しい場合があります。

    痛みや違和感を感じている場合に、投薬を行なって負担を軽減する方向性で治療を行うことが一般的です。

    軟骨のすり減りや関節の変形を最低限に抑えられるよう、変化に気づいたら早期に受診をして治療やケアをスタートすることや、負担のかかりにくい生活へと見直すことが欠かせません。

    猫がジャンプしなくなったら関節炎ですか?

    猫がジャンプしなくなった原因は、必ず関節炎に直結するわけではありません。

    体力の消耗や疲れやすさ、全身状態の悪化など、背後に他の重大な疾患が隠れている可能性もあります。

    自己判断で関節炎と決めつけず、すみやかに受診するよう心がけましょう。

    どんなトラブルであっても、早期発見および早期治療が大切です。

    猫の関節炎に人用の痛み止めを使ってもよいですか?

    関節炎によって、痛みや違和感がある場合、痛み止めを使用する場合もありますが、必ず獣医師による診断や投薬指示が必要です。

    人間用の痛み止めの場合、猫には使用すべきではない成分が含まれている場合や、用量の調節が難しい場合があり、服用後に体調変化や副作用につながる危険性があります。

    自己判断で使用せず、まずは動物病院へ相談しましょう。

    まとめ|猫の関節炎は小さな行動の変化に気づくことが大切

    関節炎は致命的な問題にはつながりにくいですが、痛みや違和感が続くことや、思うように運動ができないことは猫にとって大きな負担となり、QOLを低下させます。

    言葉を話せない猫にとって、痛みや違和感を訴えることは難しく、飼い主さんが小さな行動の変化に気づくことがとても大切です。

    関節炎が疑われる場合は、早期に負担を軽減できるよう、小さな変化に気づいたらすぐに受診することを心がけましょう。

    この記事を書いたペットとの暮らしの専門家
    葛野 莉奈

    獣医師。動物病院、会員制電話相談動物病院などを経て動物病院を開院。

    興味がある分野は、皮膚科や産科、小児科。12頭の犬、3匹の病院猫と生活する。