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人間の4倍のスピードで歳をとっていく猫は、11歳頃から本格的なシニア期に入ります。
好奇心旺盛で元気いっぱいだった頃は、飛んだり跳ねたりしていた愛猫も、だんだんと年老いてき、気付けばわずかな段差でも上りづらそうにしている……。
加齢を止めることはできませんが、少しでも愛猫が元気で暮らせるように「スロープ」を設置してみましょう。
今回の記事では、スロープの重要性やおすすめのアイテムについて解説します。
物作りが好きな飼い主さん向けに、ご自宅で簡単にDIYできるよう「スロープの設計図」もご用意しましたので、ぜひ参考にしてみてください!
シニア猫にとって段差が危険な理由
筋力が低下し、足腰が弱くなったシニア猫にとって、段差は危険です。加齢に伴い「関節や筋肉の痛み」「視力や聴力の低下」「心臓や循環器系への負担」などの身体的な変化や不調が表れます。
段差の上り下りが負担になったり、段差の高さや距離感をうまく測れずに、バランスを崩して転倒やケガをしてしまったりする恐れがあるのです。
シニア猫にスロープを作ってあげる4つのメリット
スロープで段差を解消して得られる、4つのメリットを解説します。身体への負担を軽減し、家の中での事故やケガを防げる
スロープで段差を解消すれば、シニア猫の関節や筋肉にかかる負担を軽減でき、無理なく上下運動ができるようになります。スムーズな移動が可能になり、段差による転倒などのケガのリスクを減らせるでしょう。
猫の「動きたい」気持ちを後押しでき、健康維持にもつながる
シニア猫は、自分の衰えを自覚しておらず、高いところへ登ったり走ったりするなど、これまでと同じように動きたがります。スロープによるバリアフリー化で、猫の「動きたい!」という気持ちを後押ししてあげましょう。
猫自身が「自分が思ったとおりに移動できる」という経験は、老化によってできなくなったことへの不安感やストレスを和らげ、自信につながります。
高齢だからといって寝たきりになっていては、どんどん筋力が落ちていくばかりなので、筋力の低下を抑え、健康を維持するためにも身体を動かすことは重要です。
(これは人間にも当てはまりますね。)
自発的に動ける環境づくりが、愛猫の元気な老後を支えてくれます。
トイレへの抵抗感を防げる
加齢に伴い、トイレの段差が上りづらくなります。移動が困難になると、トイレに行くこと自体にストレスを感じてしまい、トイレを我慢してしまう恐れも……。
トイレ行けずに粗相をしてしまったり、我慢し続けて膀胱炎になってしまったりする危険性があります。
スロープがあれば、今までどおりスムーズにトイレに行けるようになり、トイレへの抵抗感を防げます。
飼い主さんの負担軽減にもなる
ジャンプできなくなったり段差を上れなくなったりと、自由に動けなくなったシニア猫は、飼い主さんが抱きかかえて移動させてあげる場面も多くなるでしょう。ペットの介護は、飼い主さんにとっても大きな負担がかかります。
スロープによって猫が自分で移動できるようになれば、飼い主さんの負担の軽減につながります。
図面で解説!シニア猫のためのスロープの作り方
ここからは、シニア猫用のスロープの作り方について、イメージ図をもとにご紹介します。※この設計図は、寸法の目安を示したもので、あくまでイメージ図です。
天井高は住宅の標準的な2,400㎜で「猫が腰窓から外の景色を眺めるためのスロープ」という想定で作成しました。
材料
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材料はすべて、ホームセンターで揃う木材の規格サイズで設定しています。
床面には必ず、滑り止め加工を施しましょう。
市販の「滑り止めシート」のほか、コルクマットやカーペットなどもおすすめです。
スロープの側面には、猫がスロープの上から落下しないように、側板を設置します。
DIYのポイント
兎にも角にも、愛猫が「安全」に上り下りできるスロープにするのが大前提です!猫が乗っても揺れたり傾いたりしないよう頑丈に固定しましょう。
勾配は、シニア猫でも上りやすいよう15度以下が目安です。
上りたい目的地の高さにもよりますが、勾配が緩やかになればなるほど、スロープは長くなります。
直線のスロープにすると、とても長くなってしまうので、適宜折り返し地点(踊り場)を設けて全体的なサイズを調整しましょう。
また、猫の脚が挟まったり、つまずいたりしないように、足元の隙間ができないように設置するのも大切なポイントです。
市販で手に入る段差解消アイテム
「DIYはなかなか敷居が高い……」という方は、市販で手に入るアイテムで段差を解消してあげましょう。※表示価格は2024年11月現在のものです。
画像引用:にゃんこスロープ| 猫用トイレ| ペット用品の通販サイト ペピイ(PEPPY)
トイレの段差を解消してくれるスロープです。
メッシュの滑り止めシートで、滑りにくく上りやすく、足腰に負担がかからない緩やかな勾配です。
ダンボール製なので、丈夫で軽いのも嬉しいポイント。
にゃんこスロープ
価格 | 2,200円(税込) |
メーカー | ペピィ |
素材 | ダンボール、PCV、クロロプレンゴム |
重量 | 555g |
サイズ | 幅 40cm × 奥行 40cm × 高さ 11cm |
標準体重 | ~15kg |
▶購入はこちらから
画像引用:シニアにやさしい広々ステップ(犬用・猫用) - ペット用品の通販サイト ペピイ(PEPPY)
ベッドなど、高さがある段差の解消に便利なステップ(階段)です。
幅と奥行きが広いので、1段1段しっかり上れます。
カバーは丸洗い可能。
踏み外しても安心な硬めのクッション仕様で、足腰の負担を軽減します。
シニアにやさしい広々ステップ
価格 | 12,100~15,400円(税込) |
メーカー | ペピィ |
素材 | カバー:綿65%、ポリエステル35% 中身:ポリウレタンフォーム |
重量 | 2段:3.3kg 3段:6.6kg |
サイズ | 2段:幅 45cm × 奥行 56cm × 高さ 18cm 3段:幅 45cm × 奥行 84cm × 高さ 27cm |
標準体重 | ~15kg |
▶購入はこちらから
スロープ以外でもできる、シニア猫のための安全対策
スロープやステップの設置以外でもできる安全対策を3つご紹介します。滑り止めマットやコーティング剤を活用する
画像引用:ピタッと吸着タイルマット スクエア| 犬用マット・カーペット| ペット用品の通販サイト ペピイ(PEPPY)
住宅の床にはフローリング材が用いられるのが一般的ですが、硬い床材は足腰の弱ったシニア猫にとって負担になります。
歩いていて滑ってしまったり、関節を傷めてしまったりする恐れがあるため、滑り止めマットや、フローリングそのものを滑りにくくするコーティング剤の使用がおすすめです。
滑りにくいペット専用のカーペットには「 ReFace Tile(リフェイスタイル) 」 や「 LOBOFLOR(ロボフロア) ナチュラルズ 」などがあります。
柔らかい床材を設置する
段差から降りる際に身体に伝わる衝撃を少しでも和らげられるよう、床材は柔らかい素材のものが最適です。たとえば、クッションフロアなどが挙げられます。
クッションフロアとは、その名のとおり「クッション性に優れたシート状の塩化ビニル素材の床材」です。
じゅうたん(カーペット)やラグなども衝撃を和らげてくれますが、毛足が長いものだと猫の爪が引っ掛かる恐れがあるので、注意しましょう。
行動範囲を限定してあげる
家の中のさまざまな場所へ自由に行き来できる環境は、若い猫にとっては刺激が多く楽しいものです。しかし、シニア猫にとっては、思わぬ危険にさらされる恐れがあります。
段差によるケガや転倒だけでなく、視界が悪くなった状態で、思ってもいなかった場所に入り込んでしまう……などのリスクがあるのです。
視力や聴力、筋力が衰えたシニア猫には、広い空間での移動はストレスになります。
「リビングだけ」など行動範囲をあえて限定して、ケガや転倒のリスクを最小限に抑えましょう。
動ける範囲が小さくても、猫にとって安心・安全と思える空間であれば「自分のテリトリー」として認識し、リラックスして過ごせます。
具体的な方法は、次のとおりです。
・トイレや給餌・給水場所、遊ぶ場所をまとめる ・キッチンや階段などの危険な場所には、柵を設けてスペースを区切る など |
若い頃の愛猫の姿を見ている分「狭いスペースだとかわいそう」と思われる飼い主さんもいらっしゃるかもしれません。
むしろ、シニア猫にとっては、トイレなど必要な場所へのアクセスが楽になるため、行動範囲が限定された方が快適に暮らせます。
シニア猫に合ったお部屋のレイアウトについては、下記の記事で詳しくご紹介しています。
<関連記事>
高齢のシニア猫にとって寝床が重要な理由!おすすめのベッドや部屋のレイアウトをご紹介
まとめ:シニア猫が安心して過ごせる環境をつくってあげよう
シニア猫のためのスロープの設置についてご紹介しました。愛猫が老後を健やかに過ごせるように、できるだけ自力で動ける環境づくりが大切です。
スロープやステップで段差を解消し、猫にとって快適なバリアフリー住宅を目指しましょう!
スロープのDIY図面も、ぜひ参考にしてみてくださいね。
この記事を書いたペットとの暮らしの専門家