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【獣医師監修】猫が耳をかゆがるのはなぜ?考えられる原因と受診の目安、住環境でできる対策

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目次
    この記事を書いた人
    葛野 莉奈

    獣医師。動物病院、会員制電話相談動物病院などを経て動物病院を開院。

    興味がある分野は、皮膚科や産科、小児科。12頭の犬、3匹の病院猫と生活する。

    耳のかゆみなどの皮膚トラブルは、すぐに命に関わるケースは多くありません。

    しかし、かゆみによる精神的なストレスから、不眠や食欲不振などの問題につながることがあります。

    その結果、愛猫の生活の質が低下したり、体に負担がかかる恐れがあるでしょう。

    負担を早期に軽減するために、日常的に愛猫の観察を行い、発しているサインに気づくことや、予防につながる工夫を取り入れることが欠かせません。

    今回は、猫が耳をかゆがる原因や受診の目安、家でできる対策を紹介します。

    猫が耳をかゆがるときに見られるサイン

    猫が耳をかゆがるときに見られるサイン

    猫が耳にかゆみを感じると、さまざまな変化が見られるようになります。

    言葉が発せない分、これらの行動変化が大切なサインとなり、早期に気づいてあげることが大切です。

    例えば、わかりやすいサインとして、次のようなものが挙げられます。

    • 後ろ足や前足で耳を掻くようなしぐさをする
    • 頭を振る
    • 顔や耳を床や壁にこすりつける
    • 耳や首に傷ができる
    • 耳や首などの周囲の被毛が薄くなったり、切れて短くなる
    • 撫でているときに耳に触れると、後肢の一部が一緒に動く

    普段から愛猫の行動を観察し、スキンシップの一環として体をチェックすることが、異変の早期発見につながるでしょう。

    猫は飼い主さんにべったりすることを好まない個体も多いため、変化に気づきにくい動物ともいえます。

    愛猫の負担をいちはやく軽減するためには早期発見が不可欠であり、原因究明のための検査や投薬治療が必要になることもあります。

    猫が耳をかゆがる主な原因

    猫が耳をかゆがる主な原因

    耳のかゆみは症状の一つであり、その原因を飼い主さんが見た目だけで判断するのは困難です。

    愛猫が耳をかゆがっていると、「早くかゆみを取り除いてあげたい」という気持ちが先走ってしまうかもしれません。

    しかし、耳のかゆみの原因はさまざまであり、原因によって必要な治療が異なります

    また、疾患によっては、ほかの猫への感染を防ぐための配慮が必要です。まずは動物病院を受診し、原因を明らかにすることが大切です。

    ここでは、猫が耳をかゆがる場合の主な原因を紹介します。

    耳ダニによる外耳炎

    多くの猫が一緒に暮らす環境で特に注意したいのが、耳ダニによる外耳炎です。

    耳ダニは感染が広がりやすく、強いかゆみを引き起こすことで知られています。

    多頭飼育の場合、症状のある猫のかゆみを軽減するだけでなく、ほかの猫への感染を予防する必要もあるでしょう。

    猫への治療やケアと同時に、感染を拡大させないために衛生面での配慮も欠かせません。

    マラセチアや細菌性の外耳炎

    感染が関係する外耳炎であっても、すべてがほかの猫から感染するものとは限りません。

    健康な猫であっても、耳の中や皮膚表面に存在する細菌(マラセチアなど)もあり、通常は皮膚表面の免疫機構によって、増えすぎないようにバランスが維持されています。

    しかし、皮膚コンディションの悪化や免疫機構の不安定さにより、もともと存在する細菌が増えすぎることで外耳炎が起こる場合もあります。

    健康な皮膚コンディションを維持することや炎症を抑えること、増殖しすぎた細菌などを減らすことなどが必要です。

    皮膚糸状菌症による耳のかゆみ

    特に猫に起こりやすいのが、耳介と呼ばれる耳の辺縁部分に起こる皮膚糸状菌症です。

    皮膚糸状菌の増殖により、体のさまざまな部位に皮膚炎が起こります。

    患部を掻くことで広がっていくケースも多く、耳介のほか顔周り、前肢の先や後肢の先などにも見られることが多いです。

    免疫力が低下しているときに悪化しやすく、若齢や高齢の猫、風邪の悪化などで全身状態が悪化している猫は、感染が広がりやすい傾向があります。

    アレルギーや免疫の不安定さによる皮膚トラブル

    耳のかゆみは、外耳炎などの耳の中の疾患や、皮膚糸状菌症などの感染性皮膚炎だけが原因とは限りません。猫自身の皮膚のコンディションや免疫状態の不安定さが関係していることもあります。

    例えば、免疫反応が関係する好酸球性皮膚炎や、食物などに対するアレルギー性皮膚炎などによっても、耳のかゆみが起きる場合があります。

    その場合、ほかの部位にも炎症が起こっている可能性があります。

    また、かゆみ止めの投薬だけでなく、食事や生活環境の見直しが必要になることもあるため、動物病院を受診し、皮膚全体の確認や原因と思われるアレルゲンの除去などを検討しましょう。

    猫が耳をかゆがるときの受診の目安

    猫が耳をかゆがるときの受診の目安

    耳のかゆみは、致命的な問題につながる危険性は低いです。

    しかし、かゆみが増すことや続くことで、不眠や食欲不振、元気消失などの問題につながり、QOLの低下や全身状態の悪化などにつながる場合があるため、早期解決が必要です。

    では、どのようなタイミングで動物病院を受診すればよいのでしょうか。

    動物病院を受診したほうがよい症状

    一時的なかゆみで、時間の経過や自己免疫などによって自然に治る場合もあります。

    しかし、以下のような場合は、かゆみの程度が強いことや、一緒に生活する動物や家族に感染が広がる危険性があること、愛猫の体に負担がかかっていることなども考えられるため、早めに動物病院を受診しましょう。

    • 耳を掻く頻度が増える
    • 耳をかゆがるしぐさが激しくなった
    • 頭を激しく振っている
    • 頭や耳を床、壁などにこすりつけている
    • 掻きすぎて耳やその周囲に傷ができている
    • 耳に赤みや腫れがある
    • 耳垢が増加する
    • 耳の周囲に脱毛やフケが見られる

    また、ふらつきなど神経症状を伴う、不眠傾向が見られる、食欲不振に陥っているなど普段と異なる様子がある場合は特に注意が必要です。

    受診前に耳の状態や行動を記録する

    犬はトリミングやケアを定期的に専門家に依頼する機会が多いため、飼い主さんが気づかない異変を指摘してもらえることがあります。

    一方、猫はケア自体を苦手とする個体も多く、家庭でも耳のチェックを行うことは難しいかもしれません。

    若齢のころから、耳のケアやチェックをスキンシップの一環として取り入れ、慣れさせておくことをおすすめします。

    受診前には、耳の状態や汚れに気づいた時期など、気づいたことをまとめておきましょう

    耳垢の状態などを写真に残したり、掻いている様子を動画で撮影したりしておくと、情報を受診時に共有しやすいでしょう。

    猫の健康を守るために見直したい住環境

    猫の健康を守るために見直したい住環境

    耳のかゆみは投薬により治療することはもちろんですが、再発を防ぎ、治療効果が充分に見られるように環境も見直す必要があるかもしれません。

    抜け毛やハウスダストなど、悪化要因になり得るものは除去し、猫が過ごすことが多い場所や猫の触れるものはこまめに清掃し、清潔に保つことが大切です。

    ここでは、猫のための住環境の見直しについて紹介します。

    室内の湿度を適切に保つ

    高温多湿な環境は耳道内の細菌増殖にも関連し、皮膚のコンディションを悪化させる可能性があるでしょう。

    エアコンや除湿機などを活用して、猫が快適に生活できる温度や湿度を維持することが大切です。

    「エコカラット」のような調湿機能のある壁材

    「エコカラット」のような調湿機能のある壁材を取り入れるのも、快適な湿度を保つ工夫のひとつです。

    また、季節によって、温度や湿度を快適に維持する方法も異なります。

    室温計や湿度計を使用し、愛猫が好む場所はどんな状態かを把握する習慣をつけましょう。

    掃除や空気清浄でハウスダストを減らす

    花粉やハウスダストは、猫の体質によってはアレルゲンとなり、免疫反応を引き起こすことがあります。

    また、室内にたまった抜け毛やフケ、ホコリなどが、皮膚の状態を悪化させる要因になる場合もあります。

    愛猫が過ごす環境は、常に清潔に維持することを心がけましょう。

    こまめな掃除や家電などを上手く活用できると衛生面でも配慮することが可能です。

    空気中の花粉・ハウスダストなどが気になる場合は、空気清浄機

    空気中の花粉・ハウスダストなどが気になる場合は、空気清浄機を取り入れて室内の空気を清潔に保つ方法もあります。

    アレルギー検査を行わない場合であっても、耳のトラブルや皮膚コンディションの悪化を繰り返すようであれば、獣医師と相談しながら生活環境を見直してみましょう。

    寝具や猫用品を清潔に保つ

    愛猫が触れる機会の多いベッドやブランケット、お気に入りのクッションなどは、特に衛生面に配慮する必要があります。

    猫種にもよりますが、猫がよく過ごす場所は抜け毛やフケなども落ちやすく、皮膚のコンディションの悪化要因にもなり得るでしょう。

    体質によっては、ホコリやハウスダストなども皮膚トラブルにつながることがあります。

    猫用の寝具や布製品は、こまめに掃除や洗濯を行い、日ごろから清潔な状態を維持できるよう心がけましょう。

    猫が耳をかゆがるときによくある質問

    猫が耳をかゆがるときによくある質問

    耳のかゆみは猫の体や生活に負担をかけるだけでなく、一緒に生活する飼い主さんも心配な気持ちにさせ、生活に大きな影響を及ぼすことがあります。

    愛猫を心配する気持ちや、負担を少しでも早く軽減してあげるために、工夫できることがあればという気持ちはどんな飼い主さんでも共通でしょう。

    ここでは、猫の耳のかゆみに関するよくある質問にお答えします。

    猫が耳をかくのは普通ですか?

    猫が耳をかくしぐさをしたからといって、必ずしも強いかゆみがあるとは限りません。

    自身を落ち着かせるためなどの目的で、かゆみがなくても日常的なしぐさのひとつとして耳を掻くこともあります。

    しかし、次のような様子が見られる場合は、耳にトラブルが起きている可能性があるため、動物病院を受診しましょう。

    • 耳を掻く頻度が多い
    • 声をかけても耳を掻き続ける
    • 耳を掻くほかに、不眠や食欲不振などの体調変化が見られる
    • 耳の赤みや耳垢の異常、脱毛などが見られる

    猫が耳をかゆがるときは耳掃除をしたほうがいいですか?

    猫が耳をかゆがっていると、耳の汚れや炎症が原因なのではという発想に直結しやすいと思います。

    家庭でできる対策として、耳そうじや人用の薬を使用してしまいがちですが、避けましょう。

    程度や原因がわからない状態で耳そうじや自己判断の投薬を行うと、炎症を悪化させてしまう危険性があります。

    まずは早めの受診を心がけ、耳をかゆがる原因の追求および獣医師の指示による治療を優先させましょう。

    炎症の程度に応じて、耳そうじの再開時期や適切な方法などに関して、獣医師の指示を受けてください。

    完全室内飼いでも耳ダニになることはありますか?

    耳ダニは強いかゆみを引き起こすため、屋外で生活する猫に多いというイメージがあるかもしれません。

    愛猫は外に出ないから感染する可能性はないと勘違いしがちです。

    完全な室内飼育でも、新しく迎えた動物や、同居する動物を介して感染してしまう危険性はあります。

    ペットショップやブリーディングの場など、たくさんの犬や猫が集まる場所では耳ダニが存在する可能性があり、感染している犬や猫との接触があれば感染してしまう危険性があるため注意が必要です。

    まとめ|猫が耳をかゆがるときは原因を確認して早めに対処しよう

    耳のかゆみだけでは、致命的な問題につながる危険性は低いですが、かゆみが増すことや持続的なものになることで、QOLを低下させ、不眠や食欲不振などの健康を害する問題につながる場合もあります。

    愛猫の負担を少しでも早く軽減できるよう、早期発見および原因究明のための早期受診を心がけることが大切です。

    また、そのために日常生活の中でスキンシップの一環として、耳のチェックや行動の観察ができる信頼関係を構築することが必要です。

    この記事を書いたペットとの暮らしの専門家
    葛野 莉奈

    獣医師。動物病院、会員制電話相談動物病院などを経て動物病院を開院。

    興味がある分野は、皮膚科や産科、小児科。12頭の犬、3匹の病院猫と生活する。