老猫が熱中症になりやすい理由とは？予防策・初期症状・対処法を解説

老猫と暮らしている方にとって、夏の暑さは心配の種ですね。

若い頃は元気に涼しい場所へ移動できていた愛猫も、年齢を重ねるにつれて体力が落ち、暑さに対応しづらくなっています。

特に気をつけたいのが「熱中症」です。

人間と同じように猫も熱中症になりますが、老猫はそのリスクがとても高く、症状が出た時にはすでに重篤化しているケースも少なくありません。

この記事では、老猫が熱中症になりやすい理由と予防法・初期症状・対処法まで詳しく解説します。

老猫が熱中症になりやすい理由

老猫は、若い猫に比べて体温調節が苦手です。

自力で涼しい場所へ移動しづらく、体力低下や持病の影響で暑さに弱くなっています。

また、水分も不足しがちなので、熱中症のリスクが非常に高まりやすいです。

体温調節機能の低下

猫はもともと寒さよりも暑さに強い動物ですが、老猫になると体温を一定に保つ調節機能が衰えてきます。

汗腺が少ない猫は、暑くても汗をたくさんかいて体温を下げるということができません。

主に呼吸や肉球からの発汗で体温を下げますが、年をとるとその能力が低下し、暑さに対応できなくなります。

老猫は、気温が上昇しても体がうまく反応できず、熱が体内にこもりがちです。

その結果、気がつかないうちに熱中症が進行してしまう危険性があります。

自力での移動が苦手

若い猫であれば、暑くなったらひんやりした床や日陰に移動して体温を下げることができます。

しかし、老猫は足腰が弱っていたり体力がなかったりして、思うように体を動かせないことが多いです。

暑さに気づいても涼しい場所に行けず、その場にとどまって熱がこもってしまうことがあります。

こうした移動の困難さも、老猫が熱中症になりやすい要因のひとつです。

ずっと日向にいる時には、カーテンを閉めたり愛猫を抱っこして移動させたりしましょう。

持病や体力の低下

若い時には病院にかかったことがないほど健康でも、年をとると心臓病や腎臓病などの持病を抱える猫も少なくありません。

慢性疾患があると、体が暑さによるストレスに耐えきれず、熱中症によるダメージがより深刻になってしまう可能性があります。

また、年齢とともに体力や免疫力も落ちるため、一度体調を崩すと回復に時間がかかることも多いです。

飼い主さんには平気な暑さでも、持病のある老猫にとっては命に関わる場合があるため注意しましょう。

食欲・水分摂取の減少

猫も人と同じように、高齢になると食欲が落ち、水を飲む量も自然と減ってしまいます。

その結果、体内の水分量が足りなくなると、脱水状態に陥りやすくなります。

猫はもともと水をあまり飲まない動物ですが、老猫はさらに水分摂取が難しくなるため、夏場は特に注意が必要です。

水を飲まないことで体温調節をしにくくなると、熱中症のリスクが一層高まります。

スープ状のオヤツをあげたり、複数の水飲み場を用意したりして水分補給を促しましょう。

老猫の熱中症を予防するためにできること

老猫を熱中症から守るには、日頃の予防が何よりも重要です。

室温・湿度の管理や水分補給の工夫、快適で安全な環境づくりを心がけましょう。

室温・湿度の管理

一般的に、猫が快適に過ごせる室温は20〜28℃といわれています。

老猫は寒がりなので、夏場の室温は24〜25℃、湿度は50〜60％が目安です。

カーテンやサンシェードを使って遮光したり、除湿機を使ったりしましょう。

留守番中でも部屋が暑くなりすぎないよう、エアコンを使って室温が27℃を超えないよう管理してください。

最近では、ペットカメラ「SpaceCore」などで外出先からエアコンを遠隔操作することも可能です。

水分補給の工夫

老猫が自然と水分補給できるように、複数の場所に新鮮な水を用意しましょう。

猫は場所によって飲む意欲が変わることがあるため、日常の動線上にいくつか置いておくと効果的です。

水だけを飲むのが苦手な愛猫には、水分の多いウェットフードを取り入れるのもおすすめです。

流れる水が好きな猫の場合は、自動給水器を使うと飲水量の増加が期待できます。

無理やり飲ませるのではなく、「飲みたくなる」環境作りがポイントです。

快適で安全な環境づくり

老猫の生活スペースには、風通しがよく涼しい場所を選び、アルミプレートや冷感マットなどで体温を下げやすい環境を整えましょう。

また、段差を減らし移動しやすい高さの家具配置にすることで、体力が落ちたり足腰が弱ったりする老猫でも涼しい場所を探して安全に動き回れます。

真夏にはエアコンが欠かせませんが、穏やかに温度調整ができる全空気式床ふく射冷暖房システム「ユカリラ」なども、老猫が快適な夏を過ごす上で心強い味方になります。

老猫の熱中症の初期症状やサイン

「少し元気がないだけかな？」と見過ごしがちな症状でも、実は熱中症の初期サインの場合があります。

特に注意したいのは、呼吸が荒くなり、口を開けてハアハアとする様子です。

これは「パンディング」と呼ばれ、通常であれば成猫が行うことは多くありません。

さらに、ぐったりして動かなくなる、よだれが多くなるという症状が見られた場合には要注意です。

飼い主さんの早めの気づきが、愛猫の命を守ることにつながります。

老猫の熱中症が疑われた時の対処法

もしも老猫の熱中症が疑われた場合には、慌てずに落ち着いて対処しましょう。

命を守るために行うことを順番に説明します。

1. 涼しい場所へ移動させる

愛猫の様子がおかしいと感じたら、まずは直ちに涼しい場所へ移動させましょう。

エアコンが効いた部屋や風通しのよい日陰が理想です。

屋外でぐったりした猫を発見した場合も、日陰に移すだけで体への負担がかなり軽減されます。

抱っこが苦手な猫もいますので、なるべく驚かせないよう、やさしく静かに移動させましょう。

2. 体を冷やす

熱中症の老猫の体温を下げるため、濡らしたタオルで猫の身体を優しく包みましょう。

保冷剤をタオルで巻いて、首の周り・脇・内股などの太い血管がある部分に当てると効果的です。

ただし、冷やしすぎには注意が必要です。直接保冷剤を肌に当てたり、冷水をかけるのは避けてください。

猫がストレスを感じないよう、配慮しながら冷やしましょう。

3. 水を飲ませる

老猫が自分で水を飲めるようであれば、すぐに清潔な水を目の前に持っていきましょう。

誤嚥の原因になりますので、無理やり口をこじ開けて飲ませるのは避けてください。

自分で飲まない場合は、水を指先で老猫の口元につけるなど、老猫が自然に飲みたくなるよう促してみましょう。

少しでも水分を補給できれば、回復の助けになります。

どうしても飲まない場合は、動物病院で輸液してもらうことも可能です。

4. 動物病院に連絡・受診する

猫の熱中症が疑われる場合は、自己判断せずにすぐに動物病院に相談しましょう。

ふらつきや震え、嘔吐、下痢、舌の色が紫になるチアノーゼなどの症状が出ている時は、すでに重篤な状態の可能性があります。

意識がない場合は、一刻を争います。あらかじめ、かかりつけの病院の連絡先をすぐ取り出せる場所に控えておくと安心です。

【まとめ】老猫の熱中症を防いで快適な夏に！

老猫は体の機能が衰えているため、暑さにとても弱くなっています。

そのため、飼い主さんが先回りして、できる限りの暑さ対策をしてあげることが大切です。

室温や湿度の管理、水分補給、快適な環境づくりを徹底することで、熱中症のリスクは大幅に減らせます。

もしも異変に気づいたら、慌てず、でも迅速に冷却や受診などの対処をしましょう。

毎年厳しさを増す日本の夏ですが、年を重ねた愛猫と安全で穏やかに過ごしたいですね。