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「猫は耳がいい」
そう聞いたことがある人は、猫がどのくらい耳が良いのか気になることはありませんか?
”部屋の扉を開けたら、すでに愛猫が待ち構えていた”
”ちゅーるやごはんの袋の小さな開封音を聞いてゴロゴロ言いながら寄ってきた”
”呼びかけると、無視するけれど耳だけこっちに向けてくる”
そのようなエピソードを話す愛猫家の飼い主さんも多くいます。
この記事では、認定動物看護師の資格を持つ筆者が「猫の耳がいい5つの理由」と合わせて、猫が好きな音・嫌いな音や飼い主さんが気を付けることを解説します。
猫の聴覚は人の8倍!

猫の五感の中で一番優れているのは聴覚だと言われています。その驚異の聴覚は人の8倍近くあるとのこと。
狩りの対象であるネズミの鳴き声のような高い音を聞き分けるために聴覚が発達したと言われています。数字で表すと、人間は20〜2万Hzが可聴域ですが、猫は60〜6万Hz、最大で10万Hzの音が聞こえるというのです。
猫の聴覚として、具体的には以下のような特徴があります。
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猫の耳がいい5つの理由

ここでは、猫の耳がいい5つの理由をまとめました。
獲物の動きを耳で察知するために発達した
猫には狩猟本能があり、ネズミのような小さくて素早く動く獲物を捕まえることがあります。獲物の動きや高音の鳴き声を耳で察知して狩りを行なってきたため、聴覚が発達したと言われています。
足音などを聞き分けて外敵から身を守るために発達した
外敵が近づいてきたときに素早く身を隠すため、わずかな足音でも聞き分けられるように聴覚が発達したとも言われています。飼い主さんが足音を立てないように愛猫に近づいても気付かれてしまうのは、わずかな足音でも聞き逃さない聴覚を持っているためです。
足音の違いで「誰が来たか」を判断できるくらい、猫の聴力は優れているとも言われています。
聴神経が人の約4倍ある
猫の驚異の聴覚を解剖学的に見てみると、音を感じ取り聞き分ける聴神経が人よりはるかに多いということがあります。数で表すと、人の聴神経は約1万本であるのに対し、猫の聴神経は約4万本あると言われています。
聴神経が圧倒的に多いため、人間が聞き取れないような超音波でも察知できるのでしょう。
耳が27個の筋肉から成り立っており自由に動かせる
猫の耳はパタパタと忙しなく動いていることがよくあります。左右の耳がまったく違う方向に向いていることもありますよね。猫の耳には、細かく分けて27個の筋肉があると言われています。この筋肉により180度自由自在に動かして周囲の音を拾っているのです。
耳の先端にある房毛(ふさげ)が超音波を捉える
猫の耳の先端に1〜5mmほど生えている毛のことを「房毛(ふさげ)」といいます。超音波を拾うのに役立ち、猫の聴力に活かされているのです。
また、風向きを感じ取る機能もあると言われています。
耳から読み取る「猫のきもち」

猫の耳は「音を聞き分ける」だけではなく「感情が現れる部分」でもあります。
ここでは、耳から読み取れる「猫のきもち」をまとめました。
猫の耳の様子 | 猫のきもち |
自然な状態で前方に向いていている![]() |
力が入っておらずリラックスしている。 |
横に寝かせ、表情もリラックスしている![]() |
安心してまったりと、リラックスしている。飼い主さんに撫でてもらって喜んでいる。 |
耳がまっすぐピンと立つ![]() |
気になるモノがあって、音から情報収集している。好奇心が目覚め興奮状態にある。 |
耳を左右別々にパタパタ動かす![]() |
不安や警戒心の現れ。危険が無いか神経を集中させて聞き分けている。 |
耳がまっずぐピンと立ち、毛が逆立つ![]() |
驚いている様子。 |
水平に伏せる・後ろに引いている![]() |
「イカ耳」と呼ばれる状態。不安・イライラ・威嚇など気が張っている状態。 |
後ろに引いて頭にぺったり付けている![]() |
恐怖を感じている。ケンカやじゃれ合いしている時であれば「降参」の意味を持つ場合もある。 |
耳がいい猫が好きな音・嫌いな音って?

耳がいい猫だからこそ音には敏感で、好きな音と嫌いな音があります。知っておくことで、普段の暮らしの中で気を付けてあげられることもあるでしょう。
一般的に猫が好きな音・嫌いな音をそれぞれ紹介します。
猫が好きな音
【おもちゃの鈴の音】猫は高くて小さい音を好む傾向にあります。鈴の音が鳴るおもちゃで遊ぶことが多いのはそのためです。
ただし、首輪に鈴が付いているのはかえって猫のストレスになることがあります。このことについては、後の項で詳しく説明します。
【高くて柔らかい女性の声】
男性よりも女性の方が猫に好まれやすい傾向にあるのは、声の違いが関係すると言われています。
女性は男性よりも比較的高くて柔らかい声をしているため、威圧感がなく安心感を覚えやすいのでしょう。
しかし、あくまで一般論のためすべての猫に共通しているわけではありません。猫への関わり方・声のかけ方・ニオイなども影響します。
また、男性に可愛がられる時間が多かった猫は男性を好むこともあるでしょう。
【ビニールのようなしゃかしゃか音】
猫がビニールなどの音に反応するのは、しゃかしゃかする音が「ネズミなどの小さい獲物が動くときの音」と似ているためだと言われています。
狩猟本能が目覚め、猫が興味津々になるのです。猫のおもちゃに「握るとしゃかしゃか鳴るおもちゃ」が多いのはそのためでしょう。
ビニール袋とじゃれて遊ぶ猫は多くいますが、誤飲やケガに注意して見てあげてください。お留守番中には触らせないようにするのが安全です。
猫が嫌いな音
【低くて野太い声】高くて柔らかい声が好きな猫は、その反対の低くて野太い声には恐怖心や警戒心を覚えやすいです。
とはいえ「男性の声が嫌だ」という訳ではありません。猫はイントネーションや声色などから繊細に感情を読み取っているため、話しかけ方や言葉遣いに気を付けてあげるといいでしょう。
【大きい声・物音】
音に敏感で、音を察知することで自分の身を守る猫は、大きい声や物音にびっくりして恐怖心や警戒心を覚えます。
人間でも、大きい声や物音を心地よく思う人はなかなかいないでしょう。
大きい声や物音で驚かせると、猫にストレスを与えてしまったり不機嫌にさせてしまったりします。
話し声・笑い声・テレビや音楽の音量・扉の開閉時の音などで驚かせないように気を遣ってあげましょう。
【大きいモーター音】
掃除機・ミキサー・ドライヤーなどの家電の大きなモーター音も、猫にとってはストレスになりやすいです。
しかし、家電は私たち人間の生活には欠かせないモノでもあります。
できる限り愛猫のストレスにならないよう工夫してあげるといいでしょう。おすすめの工夫方法については次の項で詳しく解説します。
耳がいい猫との暮らしで気を付けたいこと・工夫ポイント

ここでは、耳がいい猫だからこそ「暮らしの中で気を付けたいこと」や「工夫ポイント」を詳しく解説します。
猫からのストレスサインを見逃さない
猫は耳がいいからこそ、人が不快感を覚えない音すらもストレスになることがあります。耳からわかる気持ちの状態やストレスサインなどを見分けられるようにするといいでしょう。
人間とは音に対する感覚が異なることをよく理解し、丁寧に接してあげることで、猫との信頼関係もできて心地よく一緒に暮らしていけます。
大きな音で驚かせないように注意する
猫は大きな音でストレスを感じる傾向にあります。話し声や笑い声・インターホンの音量・掃除機やミキサー、ドライヤーなど大きい音の家電・足音や物音などに注意してあげましょう。なお、猫は大きな音でびっくりして脱走してしまうリスクがあります。あらかじめ対策をしておくのがおすすめです。以下の記事をぜひ参考にしてみてください。
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掃除機の音がストレスにならないようにするために
「掃除機の大きな音で驚かせないようにしてあげたいけど、掃除機は生活に欠かせないから、どうすれば...」そう悩む飼い主さんもいるはずです。掃除機など日常的に使う家電は、飼い主さんの生活に必要不可欠でしょう。
対策や工夫としては、なるべく猫のストレスにならないものを選ぶ・掃除機の音から遠ざけてあげる・あえて掃除機を使わないなどの方法があります。
お掃除ロボットを使う家庭も多いようです。掃除機ほど大きな音ではないため、猫のストレスにはなりにくいのかもしれません。
もしくは、猫がいる部屋だけはモップ・粘着シート・お掃除ワイパーなどを使って大きな音をたてないようにしたり、掃除のときだけは猫を別室に移動させてあげたりなどの工夫もできます。
隠れ家となる場所を用意してあげる
耳がいい猫がストレスを感じたときにいつでも逃げ込める「隠れ家」を用意してあげる方法もあります。ボックス付きのキャットタワーやキャットステップ、猫が好きな箱、猫ちぐらなど、愛猫が好きそうなものを選んで用意してあげると良いでしょう。
いくつかおすすめのグッズを紹介します。
【にゃんぼーるMAG】

壁に穴を開けずに付けられる段ボールタイプのキャットステップです。
「一日中ずっとにゃんボールMAGに居る」という声も寄せられるほど、猫にとって居心地がいい場所にもなっています。
【ニャンとも ちぐら にゃんション】

猫が好む畳の素材で作られた、型崩れしにくい猫ちぐらです。
タワー状になっており、使われているクッションもやわらかく、猫が安心して居られる隠れ家にもなるでしょう。
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首輪の鈴は猫のストレスになっている可能性がある
「飼い主さんが猫の居場所を把握しやすいから」「動くたびに鳴るのが可愛いから」
このようなことから猫の首輪に鈴のついたモノを選ぶ飼い主さんもいるでしょう。
脱走したとき・家の中で居場所が分からなくなったとき・迷子になったとき・洗濯機の中やクローゼットに入って気付かなかったときなどに、事故防止のためにはとても役に立ちます。
しかし、耳が良くて高い音に敏感な猫は、自分が動くたびに顔の近くで「リンリン...」と鈴が鳴り続ければストレスを感じるのも無理はないでしょう。
必要性の有無を今一度考えてみましょう。
また、猫に鈴を付けずに脱走対策や安全対策をする方法もあります。
【ペットゲートを使う】
玄関・部屋の入口・洗面所・キッチンなど、猫にとって危険が多い場所や入られると困る場所には、ペットゲートを設置しておくと安心です。
中でもおすすめなのは「にゃんがーど」です。

わすが2㎝ほどの隙間で猫がすり抜ける心配もなく、よじ登れるような足場もほとんどないため、脱走防止に人気です。サイズをオーダーメイドできるため、住宅に合わせたゲートが作れます。
【なるべくうるさくない鈴の音の首輪を選ぶ】
首輪の鈴は、猫の居場所を把握して危険を未然に防いであげるためにも便利です。
「猫の安全のためにも首輪の鈴は付けておきたい」と思う飼い主さんは、なるべく愛猫にストレスにならないようなうるさくない鈴の音の首輪を選んであげるのがいいでしょう。
【首輪に迷子札を付ける】
もし脱走をしてしまったら...というときのために、愛猫の首輪に迷子札を付けておくのもおすすめです。
首輪に鈴が付いているより、住所・飼い主さんの名前などが書かれている迷子札が付いている方が、保護してくれた人からの連絡ももらいやすいでしょう。
耳がいい猫との暮らしには、やさしい配慮を
猫は、私たち人間が聞き分けられない音すらも繊細な聴覚を使って聞き分けています。耳がいい分ストレスになる音もあるため、一緒に暮らす飼い主さんが配慮してあげることが大切です。
愛猫も飼い主さんも安心して生活できるように、この記事が参考になれば幸いです。
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この記事を書いたペットとの暮らしの専門家