「もう1匹欲しいけれど、先住猫と仲良くやってくれるだろうか」
「保護した猫とうちの猫の相性はどうだろう」
「喧嘩ばかりしていたらどうしよう」
猫たちの相性の良し悪しで飼い主がとるべき対応は変わってきます。
今回は、猫の相性別に取り入れたい暮らし方のアイデアについてご紹介します。
猫同士の相性
猫はそれぞれ個性があり、相性も様々です。縁あって巡り合った猫だからこそ、多頭飼いするときには猫同士がお互いストレスなく過ごせるように、まずは相性の組み合わせについて確認しておきましょう。
一番相性の良い組み合わせは「血縁関係」
親猫や兄弟姉妹の猫同士は、一番相性がよい組み合わせです。生まれた時から一緒に過ごしてきたため、成長してからも良い距離感で過ごすことができるでしょう。
ちなみに、我が家の2匹の猫たちは同じ時に生まれた兄妹猫です。
生後2ヶ月半の時に引き取って以来、本当に仲睦まじく暮らしています。
(3歳になった現在、メスの小町は一匹でいることの方が好きみたいです)
その他のポイントは3つ
血縁関係以外での相性をはかるポイントは次の通りです。①性格
②年齢
③性別
それぞれのポイントごとに、多頭飼いの向き・不向きについて解説します。
ポイント①:性格
多頭飼いOKなタイプ多頭飼いに向いている性格は「人懐っこさ」です。
例えば、来客時でも動じることなくむしろ自分から知らない人に歩み寄っていくような猫は、多頭飼いしても他の猫とうまくやっていけるタイプです。
また、離乳まで兄弟猫など他の猫と一緒に暮らしていた経験がある猫も、社会化できているので多頭飼いに向いています。
我が家の小次郎がこのタイプに該当します。
お客さんにも臆することなくすり寄っていくため、小町以外の猫ともきっと仲良くなれるでしょう。
多頭飼いNGなタイプ
神経質で独占欲の強い猫は、あまり多頭飼いに向いているとは言えないでしょう。
このような猫は、臆病なので来客の際には警戒しそそくさと姿を隠してしまいます。
独占欲が強いと、飼い主の愛情を独り占めできないことから慢性的なストレスを感じ、体調を崩す可能性があります。
我が家の小町はこのタイプ。
小さい頃から一緒にいる小次郎以外の猫には、なかなか心を開かない可能性が高いです。
ポイント②:年齢
多頭飼いOKな組み合わせ子猫×子猫
年齢が低い猫ほど順応性が高いため、子猫同士は多頭飼いに大変適しているといえます。
お互いが良い遊び相手になって仲良くなってくれるでしょう。
猫同士の年齢差は小さいほど相性が良く、最大でも4~5歳差程度が理想的です。
多頭飼いNGな組み合わせ
シニア猫×子猫
シニア猫と子猫の場合、活動量に大きく差があるため一緒に飼う場合は注意が必要です。
身体機能が落ちてきているシニア猫にとって、元気いっぱいじゃれついてくる子猫の存在は大きな負担になります。
また食事も、健康な猫であってもシニア猫と子猫では食べられる種類が異なります。
場合によっては住み分けが必要になってくるでしょう。
ポイント③:性別
多頭飼いOKな組み合わせオス×メス
成猫のオスとメスの組み合わせは比較的相性がよい組み合わせです。
ただし、交配する予定がない場合は必ず避妊・去勢手術を受けさせておきましょう。
多頭飼いNGな組み合わせ
オス×オス
一般的に、相性が悪い組み合わせとして「オス同士」が挙げられます。
オスは縄張り意識が強いため、他の猫が入ってきた時にケンカが起きやすいのです。
しかし、これも猫の性格や去勢手術の有無にも影響されるため一概には言いきれません。
月齢が若いときに去勢手術を済ませたオス猫は、比較的穏やかな性格のまま成長することが多く、他の猫も容易に受け入れられる傾向があります。
メス×メス
対して「メス同士」の場合、縄張り意識がオスほど強いわけではないため仲良くなりやすいと言われることが多いですが、実はそうとも限らないのです。
メスの猫は神経質なタイプが多く(先述した「性格」でも触れましたが)そのような猫は多頭飼いには向いていません。
メス猫同士のどちらも神経質なタイプであれば仲良くなることは難しいかもしれません。
出典:環境省「犬や猫を1頭飼っているあなたへ もっと飼いたい?~犬や猫の複数頭・多頭飼育を始める前に~」
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2305a/full.pdf
新しい猫を迎え入れるときに大切なこと
多頭飼いを始めるときに必要な準備について確認しましょう。
①健康状態
②引き合わせ方
③接し方
順番に解説します。
ポイント①:健康状態
必要な事前準備
・健康診断(既往症の治療、血液検査)
新入り猫がこれから健康に暮らしていくために、まずは猫自身の健康状態を把握しておきましょう。
・混合ワクチンを接種する
室内飼いの場合でも、ワクチン接種は欠かせません。
特に多頭飼いする場合は、他の猫との接触があるため必ず接種するようにしましょう。
・避妊・去勢手術
交配の予定が無い場合には、できるだけ早い段階で避妊・去勢手術をしておきましょう。
月齢が低いと受けられませんので、必ず時期については獣医師と相談してください。
・ノミ・ダニの除去
保護猫や、もともと外飼いしていた猫には必ずと言っていいほどノミやダニが寄生しています。
先住猫にうつさないためにも、病院でノミ・ダニ除去の薬を処方してもらいましょう。
ポイント②:引き合わせ方
猫同士を対面させるときには「焦らずゆっくり」が鉄則です。
どんな猫でも、初めて会った知らない相手には警戒します。
新入り猫が新しい環境になれるまで、最初はケージに入れたり部屋を分けたりして直接触れ合うのを避けましょう。
可能であれば、トライアル期間を設けて様子をみてあげるとより安心です。
ポイント③:接し方
猫たちへの接し方について飼い主が心得ておきたいことは、「先住猫のケアを優先してあげる」ということです。
新入り猫に飼い主の愛情を取られたと感じた場合、嫉妬心から新入り猫を攻撃する恐れがあります。場合によっては体調を崩すこともあるでしょう。
一見、新入り猫が可哀想に思えるかもしれませんが、最初から「先住猫ファースト」で接していれば新入り猫も自然と「そういうもの」として受け入れてくれます。
喧嘩をした時の対処法

猫同士が喧嘩をした場合、最初は様子をみてあげましょう。
飼い主にとっては喧嘩のようにみえる姿も、猫たちにとってはじゃれ合いで遊んでいるだけの場合もあります。
しかし、ケガをした場合や威嚇が激しいときには仲裁に入ります。
その際には、決して大声で怒鳴ったり手をあげたりしてはいけません。
猫に恐怖心を与えてしまい情緒不安定になり、更に攻撃的になってしまう恐れがあります。
まずはおもちゃやおやつなどで気を引いて、2匹を引き離しましょう。
そして、弱い猫には逃げられる場所を確保してあげます。
ケガを防止するためにも、日頃からこまめに爪を切ってお互いを傷つけないようにしてあげることも必要です。
相性別:住まい方の工夫

ここからは、猫の相性ごとに導入したい住まいのアイデアをご紹介します。
【共通】新入り猫を迎えるとき
相性の良し悪しにかかわらず、新入り猫を迎えるときに最初に用意しておきたいアイテムです。新入り猫用の必須アイテム
新入り猫用に次の5つのアイテムを準備してあげましょう。
①トイレ
②給水器
③給餌器
④爪とぎ
⑤寝床
ケージを用意
2匹目からはケージがあると安心です。
猫は犬とは違い広さよりも高さのある空間が必要なので、2~3段タイプのケージを選んであげましょう。
若干圧迫感は否めませんが、狭い部屋でも比較的気軽に設置できます。
圧迫感が気になる方には、省スペースなスリムタイプのケージはいかがでしょうか。
「アイリスオーヤマ ペットケージ3段」
スリムタイプのケージの中に置くトイレは、「ニャンとも清潔トイレ」のシンプルタイプがおすすめです。
ケージの中にはハンモックを吊るすなどして居心地よく過ごせる工夫をしてあげると、普段から自分の寝床として使ってくれるでしょう。
相性が悪い場合
間仕切って家の中で住み分けどうしても相性が悪く、喧嘩ばかりで猫同士の反りが合わない場合には「住み分け」を検討します。
戸建ての場合は1階と2階に分けて、平屋やマンションの場合は廊下で間仕切ってお互いが干渉しない工夫をしてあげましょう。
「にゃんがーど」が便利
家の中で住み分けをする際に便利なのが「にゃんがーど」です。
「ねこ工房 にゃんがーど」
https://nekokobo.jp/
主に猫の脱走防止用として玄関などに設置されることが多い商品ですが、廊下や階段で仕切れば簡単に住み分けできます。
壁や天井に穴をあける必要がないので、賃貸でも安心です。
このようなアイテムを使って猫同士のエリアを分けたあとは、それぞれの場所に先述した5つのアイテムを用意してあげましょう。
猫同士が顔を合わせることなく、それぞれ平和に過ごせるようになります。
①トイレ
②給水器
③給餌器
④爪とぎ
⑤寝床
参考記事:https://pet-lifestyle.com/Property/bmaterial/129
仲が良い場合
猫同士で一緒に遊んだりくっついて眠ったりするほど仲が良い場合や、つかず離れず適度な距離感で過ごせている場合には、現状のままで特に問題はありません。もし3匹以上を検討されているのでしたら、家の中を少しリフォームしてあげれば猫たちもより快適に過ごせるようになります。
キャットドアなどリフォームを検討
猫たちが家の中の部屋を行き来しやすいように、それぞれの部屋の扉をキャットドアに交換してみましょう。
「大建工業 ペットドア」
https://www.daiken.jp/door/lineup/17100222.html
やわらかい素材が使われているので、ケガの心配もありません。
ロック機能がついているので、猫が入ってほしくない時などにも便利です。
1室まるごと猫専用に
猫の数が多くなった時、さらに部屋数に余裕があるお宅は、1室まるごと猫の専用部屋にリフォームするのはいかがでしょうか。
参考記事:https://pet-lifestyle.com/cases/view/279
https://pet-lifestyle.com/cases/view/169
壁面にキャットステップやキャットウォークをつくったり、キャットタワーを設置したり、床材を猫の足腰に優しい滑りにくい素材にしたり。
猫たちが思い思いに楽しみ、くつろげる理想の空間です。
参考記事にある事例は、リビングの一角を利用したり廊下の壁面に設置したりと工夫次第で取り入れられるアイデアばかり。
ガラスのキャットウォークは、肉球好きにはたまらないですよね。
まとめ:猫の相性は引き合わせるまで分からない。
猫の相性については、実際のところ猫同士を引き合わせてみるまで分かりません。飼い主の予想から外れ意外と仲良くなることもあれば、その逆も然りです。
どのような場合でも対応できるよう、それぞれの相性にあった住まい方を知っておく必要があります。
喧嘩ばかりの猫たちには干渉しない工夫を、仲良しの猫たちにはさらに仲良くなれる工夫を、それぞれ検討してみてください。
今回ご紹介したアイデアを参考に、ぜひ楽しい猫ライフを送ってくださいね。
この記事を書いたペット愛好家の住まいの専門家