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【獣医師監修】犬が骨折したらどうする?原因・症状の見分け方・住まいの対策を解説

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目次
    この記事を書いた人
    葛野 莉奈

    獣医師。動物病院、会員制電話相談動物病院などを経て動物病院を開院。

    興味がある分野は、皮膚科や産科、小児科。12頭の犬、3匹の病院猫と生活する。

    犬種によって体格はさまざまです。超小型で華奢な犬種もいれば、大型でがっしりとした体型の犬種も存在します。また、運動量や活動性にも個体差があります。

    骨折というと交通事故など、特別なケースのイメージがありますが、日常生活の中でも骨や関節への負担によっては起こり得る身近な存在でもあるのです。

    今回は、犬が骨折する主な原因や見られる症状、骨折しやすい犬の特徴、そして骨折予防のために住まいでできる対策について解説します。

    犬は骨折しやすい?特に注意したい犬種・年齢

    犬は骨折しやすい?特に注意したい犬種・年齢

    骨折は、骨や骨格に大きな負担がかかることで起こります。骨の状態は年齢や持病によって変化するため、状況に応じた注意が必要です。

    骨の細さも犬種によって全く違うため、犬種によっては特に注意が必要な場合もあります。

    骨折リスクが高い犬の特徴

    骨が細く華奢な小型犬や成長途中の子犬、高齢犬は筋肉量が少なく、骨も脆弱であるため、注意すべき特徴といえるでしょう。

    さらに、持病によって骨折リスクが高まる場合もあります。

    例えば、歯周病が進行している場合、歯から顎の骨へと感染や炎症が波及して、骨の融解により骨折しやすくなる傾向があります。

    他にも、骨肉腫による骨への侵襲や内分泌疾患も骨折しやすくなる傾向があるため、気をつけなければなりません。

    骨折しやすい犬種

    骨格が華奢で、骨が細い小型犬は骨折しやすく、特にトイ・プードルやチワワ、ポメラニアンなどは骨折しやすい犬種といえるでしょう。

    また、イタリアン・グレーハウンドやミニチュア・ピンシャーなども骨が細く、活発な犬種であるため注意が必要です。

    特に成長段階である子犬期は骨も細く、好奇心から予想外の行動をとることも多いため、骨折のリスクが高くなります。

    犬が骨折する主な原因と室内事故の危険性

    実は犬の骨折は、野外での事故よりも家庭内での事故が原因となりやすいことを知っていますか?

    滑りやすい床での転倒や段差からの転落など、骨折の原因となり得ることが身近に潜んでいます。

    愛犬を骨折から守るためには、どのような場面にリスクがあるのかを知っておくことが大切です。

    ソファやベッドからの飛び降り・階段からの落下

    体高が低い小型犬にとって、階段やソファ、ベッドは想像以上に高い場所です。着地の仕方や床の素材によっては、落下の衝撃が骨折の原因となることもあるでしょう。

    また、勢いで飛び乗ることはできても、安全に降りられない場合もあります。

    さらに、抱っこ中に暴れて、胸程度の高さからの落下でも骨折につながることがあるため、しっかり支えるなどの注意が必要です。

    フローリングで滑って転倒

    滑りやすいフローリングは踏ん張りづらく、ブレーキをかける際に関節や骨に大きな負担がかかる危険性があります。

    活発な犬の場合、勢いよく走って滑って転倒し骨折してしまうこともあるでしょう。

    また、足裏の被毛が伸びているとさらに滑りやすくなるため、定期的なお手入れも大切です。

    散歩やドッグラン中の衝突事故

    散歩やドッグランは、運動不足やストレスを解消できる良い機会です。楽しくて思い切り走る愛犬も多いのではないでしょうか。

    活発な犬の場合、走るスピードも速く、他の犬や障害物との衝突によって骨折につながることがあります。

    制御できるようにしつけを行い、ドッグランなどでは愛犬の様子をよく観察するよう心がけましょう。

    犬が骨折したときに見られる症状とサイン

    犬が骨折したときに見られる症状とサイン

    骨折をできるだけ早く発見し、適切な治療につなげることは、愛犬の痛みや負担を軽減するためにとても重要です。

    痛みや違和感を言葉で伝えられない犬に代わり、飼い主さんがよく観察し、行動変化などによって異変に気づくことが大切です。

    足を浮かせて歩く、歩きづらそうにする

    骨折した部分に体重がかかると痛みを感じるため、足を地面につけずに浮かせて歩くことがあります。

    また、完全に足を上げていなくても、体重をかける時間が短くなり、びっこを引く場合もあります。

    診療時に情報を伝えやすいように、動画で撮影して共有するとよいでしょう。

    触られるのを嫌がる

    骨折すると痛みや違和感が生じるため、触られることを嫌がる傾向があります。

    触った際に鳴いたり、普段よりも怒ったりするなどの変化は、強い痛みを感じている可能性があります。

    安全に確認できる範囲で優しく触り、どの部分を触ると嫌がるのかを特定できると、受診時に骨折箇所の特定がしやすいでしょう。

    足の腫れや変形が見られる

    骨折の程度や併発する炎症、出血などによって、腫れや変形が見られる場合があります。

    愛犬の行動変化とともに見た目の変化がある場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。

    緊急性が高いため、夜間や休日などでも診療可能な動物病院の受診を検討してください。

    元気消失や食欲低下が見られる

    骨折では強い痛みや違和感を伴うことが多く、それらがストレスとなり、元気消失や食欲低下などにつながる場合があります。

    また、歩き方に変化が現れなくても、骨折箇所によっては特定の条件のときに痛みや違和感を感じる場合もあります。

    元気消失や食欲低下が見られたらまずは受診を検討することをおすすめします。

    犬が骨折したときの応急処置と対応方法

    犬が骨折したときの応急処置と対応方法

    骨折の可能性がある場合、固定などの一時的な応急処置を検討しがちですが、誤った対応は症状悪化につながる危険性があります。

    骨折時は動けるようであっても絶対安静の維持は必須です。ここでは、骨折したときの応急処置と対応方法を解説します。

    骨折した犬を無理に動かさない

    骨折の可能性がある場合、愛犬を無理に動かしてはいけません。

    正常に歩けるかどうかを確認しようと歩かせたり、痛みや違和感のある中で抱き上げようとすると、骨折が悪化する可能性もあるでしょう。

    無理に動かさず、骨折の可能性が疑われる箇所は触れないように、安静にできる場所に移動させることに限定してください。

    ケージやタオルで安静を保ちながら移動する

    移動時は、骨や周囲の組織への損傷を最小限に抑えるために、ケージやタオルなどを使用して、骨折箇所には触れないようにしながら移動を行います。

    揺れを抑え負担のない姿勢を維持しながら、安静に搬送することが大切です。

    暴れることができないようなケージのサイズやタオルでの抱っこなど、安全を考慮してあげてください。

    自己流の処置は避け、動物病院を受診する

    外見上の変化や愛犬の様子に明らかな変化がある場合は、夜間救急の受診も検討しましょう。

    速やかな受診が、愛犬の負担軽減や良好な予後につながります。

    自己流での応急処置はおすすめしません。必ず動物病院の受診をしてください。

    かかりつけの動物病院または、夜間救急動物病院などに連絡をし、早めに受診したいことや骨折の可能性があることなどを伝えると良いでしょう。

    犬の骨折治療と手術費用の目安を解説

    犬の骨折治療と手術費用の目安を解説

    骨折の状態によって治療方法は異なります。外科的な手術が必要になる場合、費用が高額になることもあるでしょう。

    しかし、適切な方法を選択しないと、骨折した部分が脆弱になり、骨折を繰り返してしまうこともあります。ここでは、骨折の治療方法や費用の目安を解説します。

    骨折の治療方法|外固定・内固定

    骨折治療には以下のような、さまざまな方法があります。

    • 包帯や副木などで手術をせずに固定する方法
    • 手術を行ったうえで骨の中にピンやプレートを入れて固定する方法
    • 創外固定というスクリューなどを使用して皮膚の外側から固定する方法

    包帯などによる固定方法は骨折が部分的で、骨折した骨の本数も1本のみなどの場合に行われることが多く、多くが手術を要するケースであることが一般的です。

    創外固定は、感染の可能性や粉砕骨折などの際は積極的に行われる方法です。

    それぞれの方法にメリット・デメリットが存在するため、骨折時の状況から適切な治療方法を獣医師が選択します。

    治療期間と費用の目安

    治療費は治療方法によって異なります。特に手術を行う場合は高額になる可能性が高いでしょう。

    また、治療期間は骨折部位の経過を観察しながら方向性を決定することが多いため、不安な場合は、愛犬の現在の状態を受診時にこまめに獣医師に確認することをおすすめします。

    犬の骨折を防ぐための住まいの対策・工夫

    骨折のきっかけは日常生活の中に潜んでいます。生活環境の工夫は予防につながるため、犬にやさしい住環境づくりをしてあげましょう。

    滑りにくい床材に変更して転倒を防ぐ

    滑りにくい床材に変更して転倒を防ぐ

    床の滑りやすさも転倒などの事故が起きるきっかけにつながります。

    特にフローリングは犬の足が滑りやすく、関節や骨格に大きな負担をかける原因となるため注意が必要です。

    また、活発な犬や高齢犬、骨が細い小型犬では、転倒が骨折につながる可能性もあります。

    ペット対応の滑りにくいフローリング材やマットなどを活用することで、対策を行うことが可能です。

    ソファやベッドにはステップやスロープを設置する

    ソファやベッドにはステップやスロープを設置する

    骨折の原因となり得る高所からの飛び降りは、高低差を減らすことでリスクを軽減できます。

    日常生活の中で愛犬の居場所となるソファは、低い高さのものを選択することや、スロープが一体になったものを選択すると良いでしょう。

    高いところから飛び降りる頻度を減らすことで、飛び降りによる骨折リスクを軽減できるでしょう。

    高い場所を減らすことなどの環境の見直しは、子犬のお迎え時だけでなく愛犬の成長とともに行う必要があります。

    階段にはペットゲートを設置して安全対策する

    階段は、踏み外しや転落による骨折のリスクがある場所のひとつです。

    家庭によっては階段を使うことが日常生活の中で不可欠で、飼い主さんの後を追いかけて階段を上り下りする愛犬もいるでしょう。

    しかし、骨折リスクを軽減するために、階段にはペットゲートを設置して昇降を制限することや、生活の拠点をワンフロアに限定することなどが有意義です。

    爪や足裏の毛を整えて滑りにくくする

    ブレーキをかけづらくなることで、四肢の骨に負荷がかかり、転倒などの原因から骨折につながることもあるでしょう。

    床の素材を見直すことも大切ですが、愛犬の爪の長さや足裏の被毛の長さをこまめに短くして、滑りにくくすることも大切です。

    日頃からよく観察し、滑る様子が見られたらこまめにケアをする習慣をつけましょう。

    犬の骨折は早期発見と予防対策が大切

    日常生活に潜む犬の骨折は、どんな家庭でも起こり得る問題であり、室内のちょっとした事故がきっかけとなる場合があるでしょう。

    健康に長生きをするために、骨格も健康であることは欠かせません。

    愛犬の負担を早期に軽減し、治癒後に健康な骨格に修復できるよう、愛犬をよく観察して変化に早く気づくことが大切です。

    また、住まい環境を見直し、整えることが愛犬の骨折やケガ予防につながります。

    この記事を書いたペットとの暮らしの専門家
    葛野 莉奈

    獣医師。動物病院、会員制電話相談動物病院などを経て動物病院を開院。

    興味がある分野は、皮膚科や産科、小児科。12頭の犬、3匹の病院猫と生活する。