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目次
獣医師。動物病院、会員制電話相談動物病院などを経て動物病院を開院。
興味がある分野は、皮膚科や産科、小児科。12頭の犬、3匹の病院猫と生活する。
猫は体が柔らかく運動能力も優れているため、高い場所にのぼったり、狭いところに入り込んで駆け回ることが得意な生き物です。
しかし、その運動能力の高さから、事故による骨折やケガを起こしがちです。
うちの子は外に出ないから大丈夫と思っていませんか?実は、室内でも猫の骨折やケガは起こり得ます。
この記事では、猫が骨折する主な原因や症状、落下事故を防ぐ室内環境づくりや対策について獣医師が詳しく解説します。
猫は骨折しやすい?室内でも起こるリスクとは

猫の骨折は、実はよく起こりやすいトラブルであるため注意が必要です。
屋外に出ないから安心と考える飼い主さんも多いかもしれませんが、室内でも起こり得ます。
猫は高い場所にのぼることを好むため、キャットタワーや家具などからの落下事故によって骨折するケースも少なくありません。
特に落下事故では、四肢の骨に骨折が起こりやすい傾向があります。
大腿骨や上腕骨のほか、肘やひざよりも先にある橈骨(とうこつ)・尺骨(しゃっこつ)や脛骨(けいこつ)・腓骨(ひこつ)などは、着地の失敗などによって骨折が起こりやすいといえるでしょう。
中でも尺骨や腓骨は、橈骨や脛骨に比べて細い骨であるため折れやすく、単独で骨折しても歩けてしまう場合があります。
そのため、異変に気づきにくく、発見が遅れるケースもあるため注意が必要です。
猫が骨折する主な原因|落下・室内事故・病気

骨折というと大きな交通事故などをイメージしがちですが、室内での落下事故や日常生活の中でも起こることがあります。
また、基礎疾患によって骨折が起こる場合もあります。原因を正しく知り、予防や対策を考えることが大切です。
高所からの落下が原因で起こる骨折
猫は高い場所にのぼることが好きな動物です。
通常は運動能力により、高い場所から着地することも難なく行えますが、加齢による体の変化や環境の変化などによって着地に失敗し、骨折するというケースもあります。
愛猫の年齢や運動能力に合わせて、無理のない高さや遊び場の環境をつくることが大切です。
交通事故が原因で起こる骨折
最近では完全室内飼育の猫も増えていますが、冒険好きな猫の性質を考慮して、外へ自由に出入りしている猫もいるでしょう。
また、猫は動きが素早く、ドアや窓が開いた隙に脱走してしまうこともあります。
屋外では、自動車やバイクとの接触によって骨折するケースも少なくありません。
特に猫は、明け方や夕暮れなどの薄暗い時間帯に活発になる薄明薄暮性の動物です。
そのため、運転手の死角に入りやすく、交通事故に遭うリスクが高まります。
交通事故のリスクを減らすためにも、完全室内飼育がおすすめです。
室内での事故が原因で起こる骨折
多くの家庭がフローリングの床で猫との生活をしていることでしょう。
人間にとっては問題なくても、フローリングの素材次第で猫にとって滑りやすく事故の原因となることもあります。
猫自身が着地できると思っていても、ジャンプ後に足を滑らせたり、家具の配置によって着地スペースが狭くなり、転倒やケガ、骨折につながりやすいため注意が必要です。
また、骨格が未発達の子猫の場合、抱っこ中の落下やドアにうっかり挟んでしまうなど、飼い主さんにも関係する事故も起こり得ます。
猫が安全に移動できる環境づくりを心がけましょう。
病気が原因で起こる骨折
代謝疾患などによって骨が脆弱になり、日常生活の中でも骨折してしまう場合もあります。
事故や落下など思い当たる原因がない場合は、病気が隠れている可能性もあります。
定期的に検診を受け、骨折につながり得る病気を精査しておくことは、骨折の対策はもちろん、病気の早期発見にもつながるでしょう。
猫の骨折で見られる主な症状とサイン

骨折は痛みや違和感を伴い、回復後も運動機能に問題が起こる可能性もあるため、早期発見および早期治療が必要です。
ここでは、早期発見のために気づきたいサインを紹介します。
足をかばう・ジャンプを嫌がるなどの骨折症状
最も気づきやすい症状のひとつが、「跛行(はこう)」と呼ばれる足をかばうような歩き方です。
ただし、家で歩き方に違和感を感じて受診をしても、診察の際に再現されないということもよくあります。
違和感に気づいたら、動画を撮影しておくと、受診時の説明に役立ちます。
また、普段は高い場所にのぼることが好きなのに、のぼりたがらないなどの変化も痛みや違和感を感じているサインかもしれません。
元気がない・隠れるなどの異変サイン
猫は痛みを隠す習性があるため、骨折していても症状が目立たない場合もあります。
動きが減る、隠れる時間が増える、食欲が落ちるといった行動変化は重要なサインです。
骨折というと、歩き方や四肢の形状に変化が現れると思いがちですが、それだけではありません。
特に猫は本能的に不調を隠そうとするため、体に異常があると静かな場所へ身を隠す傾向があります。
普段より眠っている時間が長い、呼んでも出てこない、触ろうとすると怒るなどの変化は、体のどこかに痛みや違和感があるサインかもしれません。
すぐに受診すべき危険な症状
骨折は四肢や四肢先だけではなく、骨盤や脊椎などの生命活動に大きく関わる部分に起こる場合もあります。
呼吸の異常、ふらつき、視線の変化、意識の消失などが見られたらすぐに受診が必要です。
移動時は無理に動かさず、二次的なケガを防げる安全な場所へ移してから動物病院へ連絡しましょう。
猫の骨折の診断と治療方法

骨折はレントゲン検査やCT撮影などの画像検査で確定することが一般的です。
画像検査による骨折部位の特定を行い、骨折の状態によって処置が変わる場合があり、外科的な治療が必要なケースが多いです。
また、骨折の種類によっては感染対策や、骨を正しく癒合させるための追加治療が必要になる場合もあります。
| 固定方法 | 概要 | メリット・デメリット |
|---|---|---|
| 内固定 | 骨折部を直接ピンやプレートなどで固定する方法 | 強度があるため、骨折部位をしっかり固定できる反面、感染が起こるリスクもある |
| 外固定 | 骨折部にピンを通し、外側から固定する方法 | 開放骨折時に感染のリスクを軽減できる半面、ピンを固定するフレーム部分をこまめに清潔にする必要がある |
固定方法によってメリット・デメリットがありますが、どの方法が最善かは骨折箇所を確認したうえで決定します。
治癒後にまっすぐに癒合し、以前と同じように運動できることが、治療のゴールとして一番大切なことです。
猫の骨折を防ぐ室内環境の作り方|落下・転倒防止のポイント
骨折はどんな猫にも起こり得るため、少しでもリスクを軽減するために生活環境を見直すことが大切です。
特に、骨折につながりやすい落下や転倒を防ぐために、日常生活の多くを過ごす室内の環境への工夫が欠かせません。
ここでは、骨折を防ぐ環境づくりを紹介します。
滑りにくい床対策(フローリングでの骨折予防)

フローリングの床は滑りやすく、骨折やケガの原因となり得るでしょう。
高い場所からの着地や、移動する際の滑りやすさを軽減してあげる必要があります。
特に、猫がよく過ごす場所は、関節への負担が少ない素材にすることで、健康面への配慮にもつながります。
滑りにくい床材へ変更したり、マットを敷いたりすることで事故予防が期待できます。
最近では、関節への負担軽減にも配慮された、ペット向けの床材も増えています。
キャットタワーの高さと安全設計のポイント

猫は高い場所で過ごすことが大好きです。
キャットタワーなどの上下運動ができる遊具は、ストレス発散や運動不足解消にも役立ちます。
しかし、身体能力に見合わない高さや足場が狭い遊具は、事故による骨折の原因となり得ます。
「にゃんボールMAG」のような高さが調整できるキャットステップは、落下や骨折リスクの軽減が期待できるでしょう。
特に、筋力の低下したシニア猫や体が未発達な子猫などは、それぞれの体格に合った高さや安定性のあるものを選択してあげてください。
立入制限と脱走防止で事故リスクを減らす

猫と暮らしていると、猫が触れてはいけないものや、入ってほしくない場所もたくさんあります。
普段は脱走しない猫でも、パニックに陥った場合に、どんな行動をとるかわかりません。
そのため、事故を防ぐには、物理的な立入制限や脱走防止対策を行うことが大切です。
高さのあるゲートや脱走防止扉を設置することで、玄関や危険な場所への侵入を防ぎやすくなります。
「あのとき対策しておけばよかった」と後悔しないためにも、日頃から安全対策を取り入れておきましょう。
窓やベランダからの落下防止対策
高いところの移動が得意な猫にとって、窓やベランダは難なく移動できる場所です。
届かないと思って開けていると、脱走ルートになってしまうこともあります。
また、日向ぼっこが好きな猫にとってベランダは魅力的な場所ですが、隙間からの落下や脱走につながる原因となり得ます。
窓は高い位置であっても必ず閉める習慣をつけ、ベランダの柵にはネットの設置や細かい格子の柵を使用するなどして、物理的な対策を行うことが大切です。
猫の身体能力を侮らず、「届かないはず」と決めつけないことが事故防止につながるでしょう。
猫が骨折したときの対処法|応急処置とNG行動

骨折は自然に癒合することも多いですが、誤った対応によって予後が悪く、今までのように運動できなくなってしまうケースも想定されます。
悪化を防ぐには、安全に動物病院へ搬送し受診することが必要不可欠です。
骨折時の応急対応と注意点
痛がる様子や歩き方の異常などから骨折が疑われる場合は、まず安静にすることが重要です。
無理に動かそうとしたり自由に動けるようにしておくと、悪化してしまうことも考えられます。
猫に自分で安静にしてもらうことは難しいため、できるだけ動きを制限できるキャリーケースなどに入れ、早めに動物病院を受診しましょう。
また、どのような事故が起こったのかをメモにまとめておくと、診察時の説明がスムーズです。
歩き方に違和感がある場合は、受診前に動画を撮影しておくと、獣医師と状況を共有しやすいためおすすめです。
骨折時にやってはいけないNG対応と注意点
骨折の可能性がある場合、痛みの緩和やとりあえず固定をしようと自己判断で処置をしてしまいがちです。
しかし、その方法は本当に正しいでしょうか?
猫の痛みを和らげるために、人間用の市販の鎮痛薬を使用することは絶対に避けましょう。
また、自己流の固定は血流障害や痛みの悪化につながることもあります。
自己判断で処置せず、必ず獣医師の指示を受けることが大切です。
猫の骨折の原因と予防まとめ|住環境の見直しが重要
猫の骨折は、落下や事故など日常生活の中で起こり得る身近なトラブルです。
しかし、生活環境を見直し、猫の習性に合わせた工夫を取り入れることで、骨折につながるリスクを減らすことができます。
完全に室内で生活しているから、骨折などの事故とは無縁と安心してはいけません。
愛猫に負担をかけないよう、そして愛猫が快適に暮らせるような住まいへと、環境の見直しを行なってみることをおすすめします。
獣医師。動物病院、会員制電話相談動物病院などを経て動物病院を開院。
興味がある分野は、皮膚科や産科、小児科。12頭の犬、3匹の病院猫と生活する。


