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この記事を書いた人

永楽陽子
大学院卒業後、予防医学に関する研究や環境分析に取り組む。元動物病院勤務。(ミックス/男の子)
猫の多頭飼いに憧れる飼い主さんは多いですが、実際に複数の猫を一緒に飼うと「仲が悪くてケンカばかり」「新入りを受け入れてくれない」と悩むケースも少なくありません。
猫は本来、単独で行動する動物のため、相性の良し悪しやストレス管理を意識しないと、多頭飼いがうまくいかないことがあります。
この記事では、猫の多頭飼いで仲が悪くなる原因を解説し、すぐに試せる対策方法や仲良くなりやすいおすすめの組み合わせも紹介します。
猫同士の仲が悪くなる原因は、さまざまです。
大きな要因としては、縄張り意識の強さやストレス、社会性の有無などが挙げられます。
また、初対面での印象が悪かった場合、その後も緊張感が続きやすいといわれています。
そのため、自分のテリトリーをとても大切にする性質があります。
新しい猫が家にやってきた場合、先住猫は「自分の場所が奪われるかもしれない」という不安を強く感じることがあります。
これがストレスとなり、威嚇や攻撃といった行動につながることも珍しくありません。
逃げ場を用意し安心できる居場所を確保することは、多頭飼いを成功させるために欠かせないポイントです。
最初に威嚇し合ったり怖い思いをしたりすると、打ち解けにくくなることもあります。
だからこそ、最初の出会いは慎重に行うことが大切です。
いきなり顔を合わせるのではなく、まずは匂いや音で互いの存在を認識させ、徐々に慣れさせる工夫が求められます。
また、初対面の時には猫それぞれのストレスが高まりやすいため、飼い主さんもリラックスした態度を心がけると良いでしょう。
たとえば、未去勢のオス同士はケンカをしやすい傾向があります。
一方で、去勢・避妊済みの猫同士であれば、比較的平和に暮らしやすいです。
また、年齢差が大きい場合、生活リズムや遊び方に違いが出るため、トラブルの原因になることもあります。
若い猫が元気いっぱいに遊びたがる一方で、年を取った猫は静かに過ごしたいと感じている場合、行動のギャップからストレスが生じがちです。
筆者の実家でも、先住猫が9歳の時に子猫を迎え入れた際、年の差が大きいせいか仲良くなれませんでした。
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【猫の多頭飼い】先住猫との相性は?|もう1匹迎えるための飼い主の心構えや環境づくり
しかし、控えめな性格の猫にとっては、これは大きなストレスです。
さらに、相性には社会性の違いも関係します。
幼いころから兄弟猫と一緒に過ごしてきた猫は、他の猫との距離感を自然に身につけていますが、社会経験が少ない猫は無意識に相手を不快にさせてしまうこともあります。
体力や社会性の違いを理解したうえで、猫それぞれに合ったサポートが必要です。
猫同士の関係を改善するためには、無理に一緒にさせるのではなく、それぞれの個性を尊重しながら距離を縮めていく工夫が大切です。
スペースの確保やリラックスできる環境作りなどのポイントを押さえることで、猫たちのストレスを軽減し、良好な関係を築く手助けができます。
食事場所・トイレ・寝床(猫ちぐらなど)は、猫それぞれに用意しましょう。
トイレは「猫の数+1」個を目安に設置するのが理想です。
筆者がボランティアをしている保護猫カフェには約20匹の猫がいますが、それぞれの猫用トイレがあり、寝床も多めに設置されています。
また、キャットタワーやキャットステップを活用して縦にスペースを広げることで、猫たちのストレス軽減につながります。
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猫の多頭飼いに必要なトイレの数や置き方は?おすすめのトイレもご紹介
フェロモン製品(フェリウェイなど)は、猫が安心感を得やすい環境を作る手助けになります。
また、ふかふかのベッド・落ち着ける隠れ家・爪とぎなど、猫がリラックスできるアイテムを家の中に複数配置することも重要です。
お気に入りの場所ができることで安心して過ごせる時間が増え、気持ちにも余裕が生まれます。
リラックスすると、他の猫に対しても攻撃的になりにくくなるでしょう。
まずは部屋を別にし、それぞれの存在を匂いや音で認識させることから始めます。
たとえば、使ったタオルやオモチャを交換して互いの匂いに慣れさせたり、ケージ越しにお互いの気配を感じさせたりする方法があります。
徐々にお互いへの警戒心が薄れ興味を示すようになったら、短時間ずつ顔を合わせる機会を作り、少しずつ時間を延ばしていきましょう。
焦らず、猫のペースを尊重することが大切です。
専門家は猫の行動パターンに詳しいので、原因を特定した上で、的確なアドバイスをしてくれます。
最近では、オンライン相談を受け付けている専門家もいるため、遠方でも気軽に相談できます。
猫たちが健康で快適に暮らすためにも、早めに専門家に頼るという選択肢も知っておきましょう。
すぐに仲良くなることを期待しすぎず、長期的な視点で見守りましょう。
焦って無理に仲良くさせようとすると、かえって愛猫たちのストレスが増し、逆効果になる場合もあります。
「威嚇が減った」「同じ部屋にいられるようになった」などの小さな変化をポジティブに捉え、一歩ずつ前進していることを喜びましょう。
飼い主さんの落ち着いた態度が、先住猫や新入りの猫にも安心感を与えます。
多頭飼いを成功させるためには、猫同士の相性を考えることがとても重要です。
性格・年齢・性別などのバランスを意識することで、トラブルを減らし、より穏やかな関係を築きやすくなります。
生まれた時から一緒にいるため、お互いの存在に慣れており、ストレスを感じにくいのが特徴です。
生活リズムや遊び方が似ているので、ケンカに発展するリスクも比較的低くなります。
幼い頃からじゃれ合い、グルーミングし合ってきた親子や兄弟姉妹は、強い絆を持つことが多いです。
ただし、成長とともに関係性が変化することもあるため、注意深く見守りましょう。
穏やかでフレンドリーな性格同士の猫は、多頭飼いでもトラブルが起きにくい傾向があります。
また、社交的な猫は新入り猫に対しても寛容で、威嚇することなく受け入れてくれる場合が多いです。
逆に、神経質や臆病な性格の猫同士だと、どちらもストレスを感じてしまい、うまく関係を築けないこともあります。
新しい猫を迎える際には、その猫の性格をよく観察し、先住猫とのバランスを考えることが大切です。
2〜3歳差以内であれば、活動量や体力が似ているので、一緒に遊んだりリラックスしたりしやすい傾向があります。
若い猫はエネルギーが有り余っているため、シニア猫に対してしつこくちょっかいを出してしまい、結果的に関係が悪化することもあるので注意が必要です。
年齢差が大きい場合でも、個体の性格や暮らし方によってうまくいくケースもありますが、なるべく年齢の近い猫同士を選ぶほうが、成功しやすいでしょう。
未去勢のオス猫同士は縄張り意識が非常に強く、ケンカになりやすいため注意しましょう。
メス猫も、避妊手術をしていないとホルモンバランスの影響で攻撃的になったり、発情期に強いストレスを感じたりすることがあります。
去勢・避妊をしていれば、ホルモンによる行動の変化が抑えられ、穏やかに過ごせる可能性が高まります。
猫の多頭飼いは、うまくいけばお互いに良い刺激となり、楽しい時間を共有できる素晴らしいものです。
しかし、猫同士の相性や環境作りに配慮しないと、思わぬトラブルを招いてしまうこともあります。
猫たちそれぞれの個性やペースを尊重し、時間をかけて関係を築いていくことが何より大切です。
べったり仲良しにならなくても、愛猫たちにとっても飼い主さんにとっても、ストレスが少なく安心できる生活を目指したいですね。
猫は本来、単独で行動する動物のため、相性の良し悪しやストレス管理を意識しないと、多頭飼いがうまくいかないことがあります。
この記事では、猫の多頭飼いで仲が悪くなる原因を解説し、すぐに試せる対策方法や仲良くなりやすいおすすめの組み合わせも紹介します。
多頭飼いの猫の仲が悪い原因

猫同士の仲が悪くなる原因は、さまざまです。
大きな要因としては、縄張り意識の強さやストレス、社会性の有無などが挙げられます。
また、初対面での印象が悪かった場合、その後も緊張感が続きやすいといわれています。
縄張り意識とストレスの影響
猫は本来、群れを作らずに単独で行動する動物です。そのため、自分のテリトリーをとても大切にする性質があります。
新しい猫が家にやってきた場合、先住猫は「自分の場所が奪われるかもしれない」という不安を強く感じることがあります。
これがストレスとなり、威嚇や攻撃といった行動につながることも珍しくありません。
逃げ場を用意し安心できる居場所を確保することは、多頭飼いを成功させるために欠かせないポイントです。
初対面での印象が及ぼす影響
猫はとても繊細であり、初対面の印象は後の関係性に大きな影響を与えます。最初に威嚇し合ったり怖い思いをしたりすると、打ち解けにくくなることもあります。
だからこそ、最初の出会いは慎重に行うことが大切です。
いきなり顔を合わせるのではなく、まずは匂いや音で互いの存在を認識させ、徐々に慣れさせる工夫が求められます。
また、初対面の時には猫それぞれのストレスが高まりやすいため、飼い主さんもリラックスした態度を心がけると良いでしょう。
性別や年齢の違いによる相性
猫同士の相性には、性別や年齢も大きく関わっています。たとえば、未去勢のオス同士はケンカをしやすい傾向があります。
一方で、去勢・避妊済みの猫同士であれば、比較的平和に暮らしやすいです。
また、年齢差が大きい場合、生活リズムや遊び方に違いが出るため、トラブルの原因になることもあります。
若い猫が元気いっぱいに遊びたがる一方で、年を取った猫は静かに過ごしたいと感じている場合、行動のギャップからストレスが生じがちです。
筆者の実家でも、先住猫が9歳の時に子猫を迎え入れた際、年の差が大きいせいか仲良くなれませんでした。
<関連記事>
【猫の多頭飼い】先住猫との相性は?|もう1匹迎えるための飼い主の心構えや環境づくり
体力や社会性の違いによる相性
元気で活発な猫は、遊び相手を求めて控えめな猫にちょっかいを出すことがあります。しかし、控えめな性格の猫にとっては、これは大きなストレスです。
さらに、相性には社会性の違いも関係します。
幼いころから兄弟猫と一緒に過ごしてきた猫は、他の猫との距離感を自然に身につけていますが、社会経験が少ない猫は無意識に相手を不快にさせてしまうこともあります。
体力や社会性の違いを理解したうえで、猫それぞれに合ったサポートが必要です。
猫同士の関係を改善するための対策

猫同士の関係を改善するためには、無理に一緒にさせるのではなく、それぞれの個性を尊重しながら距離を縮めていく工夫が大切です。
スペースの確保やリラックスできる環境作りなどのポイントを押さえることで、猫たちのストレスを軽減し、良好な関係を築く手助けができます。
猫それぞれのスペースを確保する
縄張り意識の強い猫にとって、自分だけのスペースを持つことは非常に重要です。食事場所・トイレ・寝床(猫ちぐらなど)は、猫それぞれに用意しましょう。
トイレは「猫の数+1」個を目安に設置するのが理想です。
筆者がボランティアをしている保護猫カフェには約20匹の猫がいますが、それぞれの猫用トイレがあり、寝床も多めに設置されています。
また、キャットタワーやキャットステップを活用して縦にスペースを広げることで、猫たちのストレス軽減につながります。
<関連記事>
猫の多頭飼いに必要なトイレの数や置き方は?おすすめのトイレもご紹介
リラックスグッズを活用する
猫たちのストレスを和らげるために、リラックスグッズの活用も効果的です。フェロモン製品(フェリウェイなど)は、猫が安心感を得やすい環境を作る手助けになります。
また、ふかふかのベッド・落ち着ける隠れ家・爪とぎなど、猫がリラックスできるアイテムを家の中に複数配置することも重要です。
お気に入りの場所ができることで安心して過ごせる時間が増え、気持ちにも余裕が生まれます。
リラックスすると、他の猫に対しても攻撃的になりにくくなるでしょう。
少しずつ慣らす環境作りをする
新しく迎えた猫をいきなり先住猫と対面させるのは避けましょう。まずは部屋を別にし、それぞれの存在を匂いや音で認識させることから始めます。
たとえば、使ったタオルやオモチャを交換して互いの匂いに慣れさせたり、ケージ越しにお互いの気配を感じさせたりする方法があります。
徐々にお互いへの警戒心が薄れ興味を示すようになったら、短時間ずつ顔を合わせる機会を作り、少しずつ時間を延ばしていきましょう。
焦らず、猫のペースを尊重することが大切です。
獣医師や専門家へ相談する
もし猫同士の関係が深刻に悪化してしまった場合は、無理に自力で解決しようとせず、獣医師や猫専門の行動カウンセラーに相談するとよいでしょう。専門家は猫の行動パターンに詳しいので、原因を特定した上で、的確なアドバイスをしてくれます。
最近では、オンライン相談を受け付けている専門家もいるため、遠方でも気軽に相談できます。
猫たちが健康で快適に暮らすためにも、早めに専門家に頼るという選択肢も知っておきましょう。
長期的な解決を目指す
猫同士の相性改善には、どうしても時間がかかることが多いです。すぐに仲良くなることを期待しすぎず、長期的な視点で見守りましょう。
焦って無理に仲良くさせようとすると、かえって愛猫たちのストレスが増し、逆効果になる場合もあります。
「威嚇が減った」「同じ部屋にいられるようになった」などの小さな変化をポジティブに捉え、一歩ずつ前進していることを喜びましょう。
飼い主さんの落ち着いた態度が、先住猫や新入りの猫にも安心感を与えます。
多頭飼いにおすすめの猫の組み合わせ

多頭飼いを成功させるためには、猫同士の相性を考えることがとても重要です。
性格・年齢・性別などのバランスを意識することで、トラブルを減らし、より穏やかな関係を築きやすくなります。
親子や兄弟姉妹
最も相性が良いとされるのは、親子や同じ母猫から生まれた兄弟姉妹を迎えるケースです。生まれた時から一緒にいるため、お互いの存在に慣れており、ストレスを感じにくいのが特徴です。
生活リズムや遊び方が似ているので、ケンカに発展するリスクも比較的低くなります。
幼い頃からじゃれ合い、グルーミングし合ってきた親子や兄弟姉妹は、強い絆を持つことが多いです。
ただし、成長とともに関係性が変化することもあるため、注意深く見守りましょう。
性格が穏やかな猫同士
猫の性格も相性に大きく影響します。穏やかでフレンドリーな性格同士の猫は、多頭飼いでもトラブルが起きにくい傾向があります。
また、社交的な猫は新入り猫に対しても寛容で、威嚇することなく受け入れてくれる場合が多いです。
逆に、神経質や臆病な性格の猫同士だと、どちらもストレスを感じてしまい、うまく関係を築けないこともあります。
新しい猫を迎える際には、その猫の性格をよく観察し、先住猫とのバランスを考えることが大切です。
年齢が近い猫同士
多頭飼いには、年齢が近い猫同士が向いています。2〜3歳差以内であれば、活動量や体力が似ているので、一緒に遊んだりリラックスしたりしやすい傾向があります。
若い猫はエネルギーが有り余っているため、シニア猫に対してしつこくちょっかいを出してしまい、結果的に関係が悪化することもあるので注意が必要です。
年齢差が大きい場合でも、個体の性格や暮らし方によってうまくいくケースもありますが、なるべく年齢の近い猫同士を選ぶほうが、成功しやすいでしょう。
去勢・避妊済みの猫同士
うまく多頭飼いを成功させるには、猫たちが去勢・避妊手術を受けているかどうかも重要なポイントです。未去勢のオス猫同士は縄張り意識が非常に強く、ケンカになりやすいため注意しましょう。
メス猫も、避妊手術をしていないとホルモンバランスの影響で攻撃的になったり、発情期に強いストレスを感じたりすることがあります。
去勢・避妊をしていれば、ホルモンによる行動の変化が抑えられ、穏やかに過ごせる可能性が高まります。
【まとめ】猫の多頭飼い、仲が悪いときは距離の工夫を!

猫の多頭飼いは、うまくいけばお互いに良い刺激となり、楽しい時間を共有できる素晴らしいものです。
しかし、猫同士の相性や環境作りに配慮しないと、思わぬトラブルを招いてしまうこともあります。
猫たちそれぞれの個性やペースを尊重し、時間をかけて関係を築いていくことが何より大切です。
べったり仲良しにならなくても、愛猫たちにとっても飼い主さんにとっても、ストレスが少なく安心できる生活を目指したいですね。
この記事を書いたペットとの暮らしの専門家

永楽陽子
大学院卒業後、予防医学に関する研究や環境分析に取り組む。元動物病院勤務。(ミックス/男の子)