猫が明け方に暴れるのはなぜ？原因や落ち着いてもらう方法をご紹介

愛猫が明け方にいきなり走ったり、運動会のように暴れ回ったりすることに悩まされる飼い主さんも多いことでしょう。まだ寝ていたいのに、愛猫の大運動会で起こされる日が続くと、辛くなってしまいますよね。

この記事では、猫が明け方に暴れる理由や落ち着かせる方法について解説します。騒音対策や飼い主さんのNG行動についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

猫は明け方に暴れがち

突然のダッシュや家の中を駆け回る、家具に飛び乗る、壁やドアに爪を立てるなど、猫が明け方に見せる行動はさまざまです。これらの行動は、エネルギーを発散したり、狩猟本能を満たすためのもので、多くの猫に見られます。

猫の運動会の正式名は「真空行動」

猫が夜中や明け方に突然ダッシュしたり、高いところに飛び乗ったりする行動には、「真空行動」という正式な名称があります。これは、猫が暇な時やストレスを感じた時に行う行動のことです。「真空」とは、物質がまったく無い状態を指す言葉ですが、ここでは「暇」や「退屈」を意味します。

真空行動は、猫が持つ狩猟本能とエネルギーを発散するための行動で、夕暮れや明け方の薄暗い時間帯に活動的になる「薄明薄暮性（はくめいはくぼせい）」の特性から来ています。猫はもともと夜に狩りをしていたため、現代の家庭猫もその名残で夜や明け方に活発になることが多いのです。

猫は、自然界では狩りをする時間帯に活動的になりますが、家の中ではそのエネルギーが余りがち。室内で生活している猫は狩りをしたくてもできないため、暇すぎて暴れてしまうのです。

精神的に落ち着く2歳頃まで続くことも

猫の明け方の暴れん坊な行動は、生後2〜3カ月から始まり、個体差はあるものの2歳頃まで続くことが多いとされています。この時期は猫にとって、人間でいうと10代から20代前半に相当し、エネルギーが溢れんばかりにあるのです。

一般的に、猫は2歳頃になると精神的に成熟し、比較的落ち着いてくると言われています。また、飼い主さんの生活リズムに合わせて、朝まで一緒に眠るようになる猫も多いです。しかし、シニアの猫でも突発的に活発な行動を見せることもあるため、猫それぞれの個性に応じて見守ってあげましょう。

中には運動会をしない猫もいる

すべての猫が明け方に運動会を開催する訳ではありません。それぞれの性格や生活環境によって行動には違いがありますが、のんびりした性格の猫や穏やかな性格の猫は、夜間や明け方に運動会をしないことも多いです。外に出ることができる猫は、外での活動でエネルギーを発散するため、室内で運動会をする必要が少ないかもしれません。

また、暴れる度合いや頻度も猫によってさまざまです。「今までおとなしかったのに、急に暴れるようになった」というような場合は、環境の変化などのストレスが原因であるとも考えられます。

猫が明け方に暴れる理由

猫が明け方に暴れるのは、以下のような理由があります。原因によっては対策できることもあるので、愛猫がどうして暴れているのか、考えてみましょう。

本能的に狩りをしたくなる時間帯だから

猫が明け方に暴れるのは、狩猟本能が働くためです。自然界では、猫の獲物となる動物が活動を開始するのが、夜中の23〜24時、そして明け方の5〜6時頃といわれています。この時間帯が狩りに適しているため、猫は本能的にこの時間に活動的になります。

飼い猫であっても、この本能は変わらず、朝の薄暗い時間になると活発になることが多いです。特に明け方に鳥の鳴き声が聞こえてくると、猫は狩りの対象がいると感じ、動き出します。

飼い主さんがごはんを用意してくれる現代でも、狩猟本能はすぐに消えるものではなく、猫が明け方に暴れる理由となっています。猫のこうした行動を理解し、共感をもって見守ってあげることが大切です。

エネルギーが有り余っていて退屈

猫が明け方に暴れる理由の一つは、エネルギーが有り余っていて退屈だからです。特に若い猫や子猫は、エネルギーがたくさんあり、遊びたい盛り。

日中、仕事や学校で飼い主さんが不在になると、猫は退屈してしまい、エネルギーを発散する機会がありません。そのため、夜や明け方に活発になり、家中を駆け回ることがあります。室内飼いの猫は特に運動不足になりやすく、夜間や明け方にそのエネルギーを発散しようとします。

環境の変化からストレスを感じている

猫は繊細な生き物で、環境の変化に敏感です。新しい同居猫が増えたり、飼い主さんの生活リズムの変化、部屋の模様替えなどが猫にとって大きなストレスとなり得ます。また、季節の変わり目や気温の変化が影響することも。

ストレスを感じた猫は、夜中や明け方に走り回ったり、鳴いたりして落ち着かない行動を見せることがあります。こうした行動は、猫が不安や緊張を解消しようとしているサインです。

〈関連記事〉
「季節の変わり目」に猫に起こる体調不良とは？理由・原因・症状・対策などを解説

明け方に暴れる愛猫を落ち着かせる方法

猫が明け方に暴れることを無理にやめさせることは避けるべきですが、飼い主さんの工夫次第で愛猫のエネルギーをうまく発散させてあげることができます。「明け方に暴れて起こされてしまう」「ご近所への騒音が気になる」という方は、以下の方法を試してみてください。

運動させる時間を増やす

明け方に暴れる愛猫を落ち着かせるには、日中にたっぷり運動させることが効果的です。特に若い猫や子猫は、エネルギーが有り余っているため、十分に遊んであげる必要があります。

お気に入りのおもちゃを使い、猫が喜ぶ遊びを取り入れましょう。猫は持久力があまりないため、1回の遊び時間は10分程度でも十分です。これを1日に数回行うことで、猫のエネルギーを効果的に発散させられます。

猫が特に好きな遊びには、猫じゃらしを使っての狩猟ごっこや、ボールを投げて追いかけさせる遊びなどがあります。猫じゃらしは、ねずみ・虫・鳥の動きなどを真似て動かすと、猫の狩猟本能を刺激し、より楽しんでくれるでしょう。

〈関連記事〉
【猫の運動不足】年齢や猫種別の適切な運動量とは？｜運動不足解消のおもちゃやグッズもご紹介！

一人遊びできるおもちゃを与える

猫が疲れるほど遊んであげるのは大変です。仕事や学校などで外出することも多い飼い主さんにとって、毎日続けるのは難しいかもしれません。そこで、愛猫が一人でも遊べるおもちゃを与えましょう。電動のおもちゃや、動くボールなどが特におすすめです。これらは猫の狩猟本能を刺激し、夢中で遊んでくれるでしょう。

また、おもちゃに飽きてしまわないように定期的に入れ替え、新鮮さを保つことも大切です。留守中や飼い主さんが忙しい時でも猫が楽しく遊べるように工夫することで、明け方の暴れん坊ぶりを軽減できるでしょう。

＜関連記事＞
お留守番にも大活躍な猫のおもちゃ5選！猫のひとり遊びに適したおもちゃ選びのポイントもご紹介！

キャットタワーを複数用意する

猫は高い場所を好むため、上下運動がストレス発散にも役立ちます。キャットタワーを複数配置することで、猫がさまざまな場所に登ったり降りたりすることができ、運動不足を解消できます。

また、家具の配置を工夫してキャットウォークを作ることで、お部屋全体を猫が楽しめるアスレチック場にすることも可能です。こうした環境を整えることで、猫のエネルギーを適度に発散させ、明け方の暴れん坊な行動を抑える手助けができます。

＜関連記事＞
猫が喜ぶキャットタワーの置き場所はどこ？NGな場所や注意点も解説！

ストレスを取り除く努力をする

猫は環境の変化や大きな音、ニオイに敏感で、これらがストレスとなり暴れることがあります。たとえば、新しい同居猫が増える・引っ越し・お部屋の模様替え・飼い主さんの生活リズムの変化などがストレスの原因になり得ます。また、香水や芳香剤のニオイ、ドアチャイムの音などが大きなストレスになることも。

こうした要因を取り除くことで、愛猫のストレスを軽減し、夜間や明け方の暴れん坊な行動を和らげることにつながります。安心できる居場所を作ってあげたり、静かな環境を整えることが重要です。

〈関連記事〉
猫がストレスを感じる音とは？おすすめの静音家電や窓への対策をご紹介

猫が暴れる際の騒音対策

愛猫を落ち着かせる方法を取り入れたとしても、すぐにやめさせることは難しいかもしれません。しかし、走る音や鳴き声による騒音だけでもなんとかしたいもの。そんな時は、以下の対策が効果的です。

床にはカーペットやマットを敷く

フローリングの床では、猫が走り回る音が響きやすく、マンションなどでは階下への影響も気になるところ。走ったり、高いところから着地する際に響く音を軽減するには、床にカーペットやマットを敷くことが有効です。おすすめはタイルカーペットで、置くだけタイプのものを選ぶと、汚れた部分だけを取り外して交換や洗濯ができます。

また、キャットタワーの下にコルクマットを敷くと、猫の飛び降りる音を和らげる効果があります。コルクマットは猫の爪とぎにも適しているため、ボロボロになりやすいですが、安価で交換しやすいものを選ぶと良いでしょう。

＜関連記事＞
愛犬・愛猫の鳴き声対策はどうしてる？ペットにやさしい騒音対策をご紹介！

窓には遮音カーテンや防音効果のある窓ガラスを

夜間や明け方に猫が走り回ると、外に音が漏れて近隣に迷惑がかかることも考えられます。厚みがある遮音カーテンは、音を遮る効果が高く、取り付けも簡単です。

また、防音効果のある窓ガラスは、音をしっかりと吸収し、室内の騒音を外に漏らさないようにします。猫が自由に動き回っても近隣への騒音を気にせずに済むようになるでしょう。

〈関連建材〉
ペットに内窓で快適環境を-インプラス-
高い断熱性能で快適な室内空間を実現-プラマードU-

暴れる猫にはNGな飼い主さんの行動

毎朝のように猫が暴れる行動を繰り返していれば、「なんとかしたい」という思いから、つい怒ってしまいたくなることもあるかもしれません。反対におやつをあげて気を紛らわせようと考える飼い主さんもいるかもしれませんが、これらの行動はNGです。以下に詳しく解説します。

うるさいからと叩く・怒鳴る

猫が暴れる際、うるさいと感じても叩いたり怒鳴ったりするのは、絶対にやめましょう。猫が鳴いたり暴れるのには必ず理由があるもので、飼い主さんの叱責は猫にとってストレスとなり、信頼関係を損なう可能性があります。

暴れる猫を落ち着かせるには、まず原因を探ることが大切です。猫の気持ちに寄り添って穏やかに接しましょう。猫が感じている不安やストレスを理解し、優しく接してあげることが大切です。

静かにさせようとおやつをあげる

猫が暴れても、静かにさせようとおやつをあげるのは避けましょう。おやつを与えると、猫が「暴れればおやつをもらえる」と学習してしまい、暴れる行動がエスカレートする可能性があります。

また、頻繁におやつを与えると、肥満や健康問題を引き起こすリスクも高まります。猫が落ち着いている時や、特定の時間におやつをあげるよう習慣づけることで、愛猫の健康と行動の安定に役立ちます。愛猫の気持ちに寄り添い、適切に対処することが大切です。

ケージや狭い部屋に閉じ込める

猫が暴れないように、ケージや狭い部屋に閉じ込めるのもNG行動です。こうした行動は、猫にとって大きなストレスとなり、逆に問題行動を増やす原因になります。

猫は自由な行動を好み、閉じ込められることで不安や恐怖を感じることが多いです。特に狭い空間では、逃げ場がないため、猫はますますパニックに陥ります。猫の自由を尊重し、穏やかに接するように心がけましょう。

明け方に暴れることも可愛らしい愛猫の一面

明け方に暴れる猫の行動は、彼らの本能やエネルギーが関係しています。時には手を焼くこともありますが、それもまた愛猫の個性の一部です。

運動不足やストレスを解消してあげることは効果的ですが、本能からくる行動を矯正することはできません。騒音が気になる場合は、マットやカーテンを工夫し、適切な対策を行いましょう。

飼い主さんの思いのままに行動させようとせず、愛猫のユニークな一面を理解し、一緒に暮らすことを楽しむことが大切です。遊びや環境の工夫で、愛猫との穏やかな時間を増やしましょう。