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「季節の変わり目」に猫に起こる体調不良とは?理由・原因・症状・対策などを解説

目次

    猫も季節の変わり目には体調を崩しやすくなります。

    猫は繊細な生き物で、環境の変化に敏感でストレスを感じやすいです。急にごはんを食べなくなったり、元気がなくなったり、おしっこの回数が変わったりすると心配になる飼い主さんも多いでしょう。

    この記事では、認定動物看護師の資格を持つ筆者が、猫が季節の変わり目に体調を崩しやすい理由や原因、症状、対策などについて解説します。

    猫も季節の変わり目は不調になりやすい理由


    猫が季節の変わり目に不調になるのは、寒暖差や気圧変動が大きくなるためです。

    秋や冬へ季節が変わる時期は、朝晩と昼間の寒暖差が大きいです。また、日による寒暖差や湿度の差も激しく、私たち人間でも体調が優れない日が続くでしょう。

    さらに、季節の変わり目は気圧の変動も激しいです。

    環境の変化に身体が対応しようとすると自律神経が活発にはたらきます。人も猫も自律神経のおかげである程度の変化には問題なく対応できますが、環境の変化が激しいと自律神経が乱れて健康状態を保てなくなります。そのため、体力の消耗・免疫力の低下・胃腸の不調などで体調が崩れてしまうのです。

    猫によくある「季節の変わり目の不調や変化」


    ここでは猫によくある「季節の変わり目の不調や変化」を7つまとめました。

    ・食欲不振
    ・元気がなくなる
    ・下痢・軟便・嘔吐などの消化器症状
    ・頻尿・血尿・膀胱炎など下部尿路疾患が見られる
    ・腎臓病
    ・猫カゼ
    ・アレルギー
    ・抜け毛の増加

    食欲不振

    季節の変わり目は猫も食欲不振になりやすいです。

    夏から秋冬にかけて大きい寒暖差が負担となり、自律神経が乱れやすくなります。自律神経は胃腸のはたらきにも関係するため、胃腸機能が低下すると食欲不振になりやすいです。いわゆる「夏バテ」が猫の身体にも起こります。

    元気がなくなる

    季節の変わり目は食欲が落ちるため、栄養不足も起こりやすいです。栄養が足りないと心身共に元気がなくなります。

    また、激しい寒暖差に対応しようとして自律神経のフル稼働状態が続くのも、元気がなくなる原因の一つです。寒暖差に対応しようとすると猫の身体は「交感神経」が優位になります。交感神経が優位になると身体のエネルギー消費が続くため、疲労が溜まりやすくなるのです。

    下痢・軟便・嘔吐などの消化器症状

    猫は季節の変わり目の不調で消化器症状が多く見られます。

    胃腸の機能が弱り身体の中に取り込まれた水分をうまく吸収できなくなるため、水分の多い便が下痢や軟便となって排出されてしまうのです。

    また、寒暖差などで身体にストレスがかかると胃腸炎になり嘔吐することもあります。

    下痢・軟便・嘔吐が続くと脱水症状を起こし危険です。気付いたら早めに動物病院へ連れていきましょう。

    さらに、猫の場合は「換毛期(季節の変わり目で毛が生え変わる時期)」も嘔吐の症状に関係します。こちらは後の項で解説します。

    頻尿・血尿・膀胱炎など下部尿路疾患が見られる

    猫は季節の変わり目に泌尿器の異常が見られることも多くなります。

    とくに多いのは「頻尿」です。健康な猫の場合、1日のおしっこは2〜3回と言われています。もし1日で4回以上している様子があれば膀胱炎かもしれません。

    おしっこの回数が増えた・痛そうに排尿する・尿に血が混じっているなどの様子が見られたら、下部尿路疾患を疑い病院に連れていきましょう。

    腎臓病

    もともと猫は腎臓病にかかりやすい動物です。高齢の猫では約8割が慢性腎臓病を抱えているというデータもあります。

    季節の変わり目に猫が腎臓病になりやすいのは、飲水量の減少が原因の一つです。普段から飲水量の少ない猫がさらに水を飲まなくなると、老廃物が上手くろ過できず体内に蓄積し、腎臓にも負荷がかかり続けます。

    とくに高齢猫は腎臓の機能も衰えてくるため、夏の終わりから秋冬にかけて飲水量が減る時期は腎臓病が発症・進行しやすいです。

    猫カゼ

    猫カゼは、寒さや乾燥に強いウイルスが病原体となり発症する猫の呼吸器疾患の総称です。

    秋冬にかけて温度が下がり空気が乾燥すると、ウイルスが活発になります。乾燥した猫の粘膜にウイルスが付着しやすくなるため、鼻水・くしゃみ・熱・咳・目ヤニ・呼吸困難・口内炎などの症状をもたらすのです。

    猫カゼはワクチン接種である程度予防できると言われています。猫のワクチンは義務化されていませんが、猫カゼはぶり返しやすいためワクチンを打っておく方がおすすめです。

    アレルギー

    猫が季節の変わり目でくしゃみ・鼻水・肌荒れなどが見られる場合、季節性のアレルギーを発症している可能性があります。

    アレルギーの中でも多いのが花粉症です。花粉症などのアレルギーは、動物病院で検査して原因が分かれば適切な治療を進められます。早めの検査・治療をして、少しでも症状が出ないようにしてあげましょう。

    抜け毛の増加

    猫は季節の変わり目に抜け毛が増えます。日本では春から秋にかけてと秋から冬にかけての年2回抜け毛が増える時期があり、この時期を「換毛期」と呼んでいます。

    換毛期に抜け毛が増えるのはあくまで自然現象であり、体調不良ではありません。

    しかし、病気によって抜け毛が増える場合もあります。大量の抜け毛とともに身体を痒がる・フケが出る・体調を崩すなどの症状があれば病院で診てもらいましょう。

    季節の変わり目で体調を崩しやすい猫の特徴


    季節の変わり目で体調を崩しやすい猫の特徴は以下の通りです。

    ・持病もちの猫心疾患神経疾患腎臓病などを持つ猫は季節の変わり目のストレスで悪化しやすい
    ・高齢猫や子猫免疫力が低下しやすいため
    ・短頭種の猫(エキゾチック、ペルシャなど):普段から過換気・脱水・熱中症に一段となりやすいため

    上記に限らずどんな猫でも季節の変わり目には体調が崩れやすいです。普段から愛猫の様子をよく観察し、異常を感じたら早めに対処してあげましょう。

    猫は「換毛期」が不調の原因にもなる

    猫は「換毛期」が不調の原因になることもあります。

    普段から自分で毛づくろいし、舌でからめとった毛を吐くのは猫の特性です。しかし、換毛期は毛づくろいで飲み込む毛の量も多くなります。

    毛づくろいした毛が胃に大量に溜まると、食欲不振嘔吐の原因になります。これは「毛球症」と呼ばれ、猫によく見られる症状ですが、腸閉塞になる場合もあるため放っておくと危険です。

    定期的なブラッシングで飲み込む毛の量を抑えたり、毛球症対策用のフードやサプリなどを使ったりして工夫してあげましょう。

    愛猫の不調を感じたときの対処法


    愛猫の不調を感じたら早めに受診するのがいちばんの対処法です。

    しかし、猫は気分で様子が変わることも多々あります。動物病院に連れて行くべきか迷ったら以下のサインが出ているかどうかぜひ参考にしてみてください。

    【季節の変わり目に見られる猫の不調サイン】
    ・いつもより元気や食欲がない。その状態が数日続く
    ・ごはんの食いつきがいつもよりも弱い。ふりかけやおやつを入れても食べない
    ・食欲はあっても嘔吐する
    ・うんちがゆるくなる
    ・おしっこの回数・量が極端に変化する
    ・おしっこのニオイがきつくなる(ツンとしたアンモニア臭がする)
    ・体力がなくなり毛づくろいをあまりしなくなる

    季節の変わり目の不調を防ぐ!猫におすすめの予防・対策5選


    ここでは、季節の変わり目による猫の不調を予防する対策を5つ紹介します。

    ・快適な室温と湿度をこまめに管理する
    ・ごはんの工夫
    ・いつでもきれいな水を飲めるようにする
    ・ブラッシングは定期的に
    ・住まいの工夫をする

    快適な室温と湿度をこまめに管理する

    暑さに強く寒さに弱い猫は、快適な室温を保ってあげることが大切です。室温は25〜27℃前後に管理してあげましょう。

    また、保湿をすることで猫カゼの予防にもなります。湿度は50〜60%になるよう管理してあげてください。

    ごはんの工夫

    猫のごはんは、消化の良いものを選んであげましょう。季節の変わり目で食欲が落ち始めていたら、消化の良さに配慮しつつ食欲をそそるような工夫をしてあげてください。

    【猫の食欲をそそる工夫アイデア】
    ・おやつやふりかけを少量入れる
    ・ドライフードをふやかす
    ・ウェットフードへ切り替える
    ・ふやかしたフードやウェットフードを温める(熱すぎNG!体温と同じ40℃くらいのぬるさで)

    繊細な猫は、ごはんの形状や種類をいきなり変えるとまったく見向きもしなくなったり、反対に食いつきがよくなったりもします。ごはんを工夫する時は”少しずつ変化を加えていく”ことに気を遣ってあげてください。

    いつでもきれいな水を飲めるようにする

    猫はもともと砂漠の生き物のため飲水量は少ないですが、健康な時よりも飲まなくなると脱水症状にもつながります。

    いつでもきれいな水を飲めるよう水飲み場を増やしたり、飲みやすい容器を使うなどの工夫をしてあげましょう。


    そこでおすすめなのが「ピュアクリスタル ウェル」です。
    不純物やニオイを吸着するフィルター付きの循環型給水器のため、愛猫は常においしくきれいな水が飲めます。

    また、ごはんに水分を含ませるのもおすすめです。出来る限りストレスにならない方法で水分を摂れるようにしてあげましょう。

    ブラッシングは定期的に

    猫は自分で毛づくろい(セルフグルーミング)をしますが、舌で毛づくろいして抜けた毛を飲み込み、胃にため込むと毛球症を引き起こします。毛球症は嘔吐・食欲不振・消化不良の原因にもなりやすいです。

    猫のブラッシングは日常的に行なってあげましょう。頻度に関しては以下を参考にしてみてください。

    【毛の長さによる猫のブラッシングの平均頻度】
    ✔短毛種:週に2~3回程度
    ✔長毛種:毎日、または2日に1回程度


    猫のブラッシングでおすすめなのは「おウチ・クチュール 猫用玉突きソフトスリッカーブラシ」です。
    コシのあるピンでしっかり毛を絡めとりつつ、ピンの先は玉付きのため皮膚をブラシのダメージから守りながらブラッシングできます。

    しかし、中にはブラッシングを嫌がる子もいるでしょう。無理にブラッシングをするとストレスを与えてしまうため、出来る範囲で様子を見ながらやってみてください。


    また、ブラッシングを嫌がる子にぜひおすすめしたいのが「ねこすりグルーミング」です。
    柱や壁に直接取り付けられるブラシのため、猫が自分からスリスリしている間にブラッシングができます。

    ブラッシングのブラシは、愛猫の毛質や毛の多さ・長さ・好みに合わせて使い分けてあげましょう。

    住まいの工夫をする

    猫は日常のほとんどを室内で過ごすため、不調対策として「住まいを工夫してあげる」方法がおすすめです。

    ・エアコンは25℃~27℃前後に設定
    ・湿度は50〜60%になるように管理
    ​​​​​​​・サーキュレーターを使って効率よくエアコンの空気を巡らせる
    ​​​​​​​・複数箇所に給水所を設け、きれいな水分をいつでも摂れるようにしておく
    ​​​​​​​・日光を適度に浴びせられるように窓周りの紫外線対策をする
    ​​​​​​​・アレルギーなどを防ぐために室内を常に清潔に保つ

    上記のように愛猫が快適に過ごせる住まいづくりをしてあげてください。

    関連記事:猫は紫外線に当たっても大丈夫?健康や病気への影響・対策のポイントを解説

    また、身体に優しくエコな冷暖房システム「ユカリラもおすすめです。エアコンの空気を床・壁・天井を通して部屋全体に巡らせてくれるため、室温を快適に保ちつつ電気代の節約にもなります。

    愛猫と共に長く暮らす住まいを少しでも快適につくりたいと考えている方は、ぜひチェックしてみてください。

    不調には他の病気が隠れている場合もある


    食欲や元気がない・排泄物や排泄の様子に異常を感じるなどの不調は、必ずしも季節の変わり目によるものとは限りません。他の病気が隠れている可能性も考えられます。

    いつもと違った様子があれば何かしら愛猫の身体に異常が起きているサインです。普段から愛猫の様子をよく観察しつつ、重症化する前に早めの受診をしましょう。

    正しい知識と理解で対策をして季節の変わり目も愛猫と元気に過ごそう

    季節の変わり目は、寒暖差や気圧変動の影響でどうしても体調を崩しやすいです。しかし、環境の変化を想定して予防・対策をしておけば、いつもと変わらず元気に過ごすことができます。

    まずは、普段から愛猫の様子をよく観察してあげること。そして、何か異常を感じたら早めに対処してあげることが大切です。予防や対策は一気にやろうとせず、出来ることから少しづつ行なってみてください。

    ​​​​​​​飼い主さんが大切な愛猫と長く元気に暮らせるよう、この記事が参考になれば幸いです。



     

    この記事を書いたペットとの暮らしの専門家

    舘 明奈

    動物看護師統一認定機構認定 動物看護師・ペットケアアドバイザー等多数資格保有
    (パピヨン/男の子)

    エリア:東京都