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愛犬にはいつまでも元気で幸せに暮らしてほしいと思うのは、飼い主さんの願いですよね。
しかし、愛犬が年をとってくると飼い主さんも心配になることでしょう。
老犬は人間と同じように、体や心にさまざまな変化が起こります。
そのため、普段の暮らしにも工夫が必要になります。
特にお部屋作りは老犬の快適さや安全さに大きく影響します。
老犬にとって最適なお部屋作りとはどのようなものでしょうか?
この記事では、老犬のお部屋作りで重視すべきポイントや手順、おすすめのアイテムなどをご紹介します。
愛犬が幸せに暮らせるお部屋作りのヒントを見つけてください。
老犬って何歳から?
何歳から老犬というのでしょうか?
一般的には、犬の寿命の半分を超えた頃から老犬と呼ばれることが多いです。
しかし、犬種や個体差によっても老化のスピードは異なります。
犬の年齢は「小型犬で人間の約4倍、大型犬なら約7倍のスピードで老化が進む」といわれています。
小型犬は大型犬よりも寿命が長く老化が遅い傾向があり、大型犬は小型犬よりも寿命が短く老化が早い傾向がありますが、遺伝的な要因や健康状態、生活環境なども老化に影響します。
一般的に小型犬・中型犬で9〜10歳、大型犬で6〜7歳から老齢期を迎えるとされていますが、年齢はあくまで目安であって、犬種や環境なども影響するため老いの程度はさまざまです。
飼い主さんは、愛犬の体や行動に変化がないか、定期的にチェックしてあげることが大切です。
参考:一般社団法人ペットフード協会「令和4年 全国犬猫飼育実態調査」
老犬のお部屋作りで重視すべき4つのポイント
老犬になると視力や聴力、筋肉が衰えたり、認知症や不安障害などの症状が出たりすることがあります。
そんな老犬にとって、お部屋は安心して過ごせる大切な場所です。
老犬のお部屋作りには、どのようなことに気をつけるべきでしょうか?
ここでは、老犬のお部屋作りで重視すべき4つのポイントをご紹介します。
安全性
老犬は、視力や筋力の衰えによりケガや事故を起こしやすくなります。
そのため、老犬のお部屋作りでは安全性を高めることが最優先です。
安全性を高めることで、老犬が動き回ってもケガや事故のリスクを抑えられます。
また、飼い主さんも老犬の様子を安心して見守ることができます。
安全性を高めるためには、老犬の動きや行動に合わせて、お部屋のレイアウトや設備を見直すことが必要です。
とくに滑りやすい床や、ぶつかりやすい家具、転倒しやすい階段や段差などには工夫をすることが重要です。
快適性
老犬は、温度や湿度、光などの環境に敏感になります。
その影響で寒さや暑さに弱くなったり、眠りが浅くなったり、目が光に刺激されやすくなったりすることがあります。
そのため、老犬のお部屋作りでは快適性を高めることが大切です。
快適性を高めることで、老犬はストレスや不快感を感じることなく、リラックスできます。
また、飼い主さんも老犬とのふれあいを楽しむことができます。
快適性を高めるためには、老犬の体調や気分に合わせて、お部屋の温度や湿度、光の調整や、ベッドや食器、トイレの選び方などを工夫することが必要です。
清潔性
老犬は、皮膚や毛のトラブルや、尿や便の漏れなどが起こりやすくなります。
老犬のお部屋作りでは、清潔性を高めることが必要です。
清潔性を高めることで、感染症や皮膚病などの予防など、愛犬の健康にもつながります。
また、飼い主さんも老犬の健康状態を把握しやすくなります。
清潔性を高めるためには、老犬の排泄や毛づくろいに注意を払い、お部屋の掃除や洗濯をこまめに行うことが必要です。
娯楽性
老犬のお部屋作りでは安全を考えることが重要ですが、娯楽性とのバランスを考えることもポイントです。
老犬になると退屈や孤独を感じやすくなるといわれていますが、危険を回避するだけでは愛犬の退屈や孤独を解消するのに不十分でしょう。
お部屋は遊びや学びの場でもあるため、娯楽性を高めることで楽しみや刺激を得られます。
娯楽性を高めるためには、愛犬が遊びにつながるものや楽しみだと感じるものを取り入れましょう。
環境を整えて愛犬に楽しい時間を提供できることが望ましいですが、環境整備だけでは難しい場合は別の遊びや刺激を考えましょう。
老犬が快適に暮らせるお部屋作りの手順
老犬が快適に暮らせるお部屋作りのポイントが分かっても、実際にどこから手を付けたらよいのか、迷ってしまいますよね。
ここでは、8つの手順をご紹介します。
どれも老犬のお部屋作りには大切ですが、必ずすべてを行わなければならないというわけではありませんので、飼い主さんが愛犬に必要だと思うものを取り入れてみてくださいね。
床には滑り止めを
老犬は、関節や筋肉が衰えて、足腰が弱くなります。
滑りやすい床ではケガをしたり、恐怖心を抱いたりすることがあるので、老犬のお部屋作りでは床に滑り止めを敷くことが重要です。
滑り止めを床に敷くことで老犬の足元を安定させ、歩行や立ち上がりをサポートできます。
また、冷たい床から老犬を保護したり、音や振動を吸収したりする効果も期待できるでしょう。
とくに滑りやすい畳部屋では注意が必要です。
老犬が畳で滑ることへの対策については、以下の記事も参考にしてください。
スロープやステップを取り入れる
老犬は高さのある場所に上がったり降りたりするのが困難になります。
とくに老犬にとって大きな障害となるのがベッドやソファ、階段などです。
階段や段差を上り下りすると足腰に負担がかかったり、転倒したり、不安になったりすることがあるため、階段や段差にスロープやステップを取り入れましょう。
そうすることで、老犬が高さのある場所に上がったり降りたりするときに、ケガをするリスクを抑えられます。
緩衝材をつける
老犬は、視力や聴力が低下して、周囲の状況を把握しにくくなります。
そのため、家具や壁などにぶつかったり、怪我をしたりする可能性があります。
緩衝材を家具や壁の角などにつけることで、老犬がぶつかったときの衝撃を和らげて、怪我を防げます。
緩衝材はカバーやパッドなどがありますが、できるだけ柔らかくて厚みのあるものを選ぶと良いでしょう。
また、緩衝材をつける場所は、老犬の目線に合わせて、低い位置にすると効果的です。
食事環境を整える
老犬は、歯や歯茎が弱くなったり、食欲が低下したりすることがあります。
そのため、食事の量や質に気をつけることが必要です。
食事環境を整えることで、老犬が食べやすくて栄養バランスの良い食事を摂ることができます。
食事は、柔らかくて水分の多いものにすると、老犬が噛みやすくて飲み込みやすくなります。
また、トレイや食器の高さや角度を調節することで、首や背中の負担を軽減します。
老犬にも優しいトイレ環境にする
老犬は、尿や便のコントロールが難しくなったり、頻繁にトイレに行きたくなったりすることがあります。
そのため、トイレ環境について以下のポイントに気をつけましょう。
- トイレシートは大きくて滑りにくいものを選ぶ
- トイレの場所は何度も変えないようにする
老犬にも優しいトイレ環境にすることで、清潔で快適にトイレを済ませることができます。
こまめな掃除をする
老犬のお部屋は清潔に保つことが健康上でも重要です。
老犬になると皮膚や毛のトラブル、尿や便の漏れなどが起こりやすくなるため、こまめな掃除を心がけましょう。
こまめな掃除をすることで、感染症や皮膚病などの予防や治療に役立ちます。
また、飼い主さんも愛犬の健康状態を把握しやすくなります。
適度な温度と湿度を保つ
老犬は、体温調節がうまくできなくなったり、寒さや暑さに弱くなったりすることがあります。
そのため、エアコンや加湿器、除湿器などを使ってお部屋の温度や湿度を管理することが大切です。
一般的には夏は25℃以下、冬は20℃以上が適切です。
また、湿度は50〜60%程度に保ちましょう。
老犬のお留守番中に起こりやすいケガや事故
老犬になると以下のような変化が起こるため、ケガや事故が起こりやすいです。
- 足腰が弱くなる
- 目が見えにくくなる
- 家具に挟まりやすくなる
- 気温や気圧の変化に敏感になる
- 徘徊をするようになる
とくにお留守番中の事故が多く、愛犬の健康に影響することがありますので、飼い主さんは十分に注意が必要です。
ここでは、老犬のお留守番中に起こりやすいケガや事故の代表的なものを紹介します。
また、それらを防ぐための対策もご紹介します。
家具の角にぶつかる
老犬は、目が見えにくくなることで、家具の角にぶつかることがあります。
家具の角にぶつかると、頭や顔に傷をつけたり、目や歯を傷めたりする可能性があります。
家具の角にぶつかることを防ぐためには、以下の対策が有効です。
- 家具の角に柔らかい素材のカバーやパッドなどの緩衝材をつける
- 家具の配置を変えずに、老犬が慣れた環境を保つ
- 老犬の目の健康を定期的に獣医さんにチェックしてもらう
老犬が物にぶつかる原因や対策について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
老犬が物にぶつかるのはなぜ?ぶつかり防止で愛犬のケガを予防しよう
隙間に入って出られなくなる
老犬は、家具の隙間やクローゼットの中などに入って、出られなくなることがあります。
これは老犬が安心感や安全感を求め、狭い場所に隠れるという行動をすることが原因です。
隙間に入って出られなくなるとパニックになったり、食べ物や飲み水を摂取できない時間が続くと脱水症状や低血糖になったりする危険があります。
隙間に入って出られなくなることを防ぐためには、以下の対策が有効です。
- 家具の隙間を塞ぎ、クローゼットの扉は閉めておく
- 愛犬が入れないように隙間に物を置く
- 安心感や安全感を与えるために、ベッドやクレートなどの居心地の良い場所を用意する
ソファーや階段からの転落
老犬は、足腰が弱くなることで、ソファーや階段から転落することがあります。
ソファーや階段から転落すると、骨折や脳震盪などの重傷を負う可能性があり大変危険です。
ソファーや階段から転落することを防ぐためには、以下の対策が有効です。
- ソファーから降りるときに滑らないよう、ソファーの下に敷物やマットを敷く
- ソファーにステップやスロープなどの補助用具を用意する
- 階段を使わせないように、階段の上下にゲートや柵を設置する
- 階段を使わせる場合は、階段の踏み板に滑り止めのシールやカバーを貼る
熱中症
老犬は、気温や気圧の変化に敏感になることで、熱中症になりやすくなります。
熱中症になると、体温が上昇し、呼吸困難や脱水症状などの危険な症状が現れます。
熱中症にならないためには、以下の対策が有効です。
- 室温を適切に調整するために、エアコンや扇風機などの冷房器具を使用する
- 水分補給を促すために、常に水を飲めるようにしておく
- 暑さを和らげるために、冷却マットや冷却ベストなどの冷却用具を使用する
- 暑い時間帯にお留守番させないように、飼い主さんの帰宅時間や外出時間を工夫する
冷え
老犬は、体温調節能力が低下することで、身体が冷えやすくなります。
身体が冷えると関節痛や筋肉痛などの痛みが増すだけでなく、風邪や肺炎などの病気にかかりやすくなると言われています。
愛犬の身体を冷えから守るためには、以下の対策が有効です。
- 室温を適切に調整するために、暖房器具や湿度計などの温度管理用具を使用する
- 体温を保つために、毛布やベッドなどの暖かい寝具を用意する
- 体を温めるために、温かいベストなどペット用防寒着を着せる
- 寒い時間帯にお留守番させないように、飼い主さんの帰宅時間や外出時間を工夫する
老犬が安全に過ごせるお部屋作りに役立つアイテム
老犬が安全に過ごせる環境を整えるために、おうちにあるものや手作りのものも有効ですが、以下のようなアイテムがあると便利です。
部屋を仕切るゲート
部屋を仕切るゲートは、愛犬が危険な場所に行かないようにするために便利です。
たとえば、キッチンやバルコニー、階段などは、老犬にとって火傷や転落などの事故の原因となりやすい場所です。
部屋を仕切るゲートを設置することで、老犬がこれらの場所に入らないように制限できます。
部屋を仕切るゲートは、開閉や取り外しが簡単なものや、高さや幅が調節できるものなど、さまざまなタイプがあります。
お部屋のサイズや形に合わせて、適切なものを選びましょう。
サークル
サークルを使うことで、愛犬専用の安全なスペースを確保することができます。
また、愛犬が安心感や安全感を感じられる場所にもなるでしょう。
サークルの中には、ベッドや水や食器など、愛犬が必要なものを揃えてあげましょう。床が滑らないように敷物やマットを敷いたり、サークルの壁にぶつかっても痛くないように緩衝材をつけるとよいでしょう。
サークルについて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
老犬のぶつかり防止のための部屋づくり!手作りサークルや100均グッズも紹介
洗濯機で洗えるラグ
老犬は、尿や便の失禁や吐き気などのトラブルが起こりやすくなります。
これらのトラブルが起こったときに、洗濯機で洗えるラグがあれば、すぐに汚れを落として、清潔な状態に戻すことができます。
洗濯機で洗えるラグは、吸水性や速乾性が高いものや、抗菌・防臭効果があるものなど、さまざまなタイプがあります。
老犬のトラブルに合わせて、適切なものを選びましょう。
ジョイントマット
老犬は足腰が弱くなることで床で滑ったり転んだりし、ケガや痛みの原因となります。
ジョイントマットは老犬の足腰や関節を守るのに役立ちます。
ジョイントマットは、床に敷くことで滑りにくくなり、衝撃を和らげます。
組み合わせや取り外しが簡単なものや、防水・防汚効果があるものなどさまざまなタイプがあるので、お部屋の床の素材や形に合わせて適切なものを選びましょう。
まとめ
老犬のお部屋作りは、飼い主さんの愛情の表れです。
老犬が快適で安全に暮らせるように、お部屋作りに気を配りましょう。
また、老犬とのコミュニケーションやスキンシップも大切にしましょう。
老犬は、飼い主さんと一緒にいることが何よりも幸せです。
この記事を書いたペットとの暮らしの専門家
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