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老犬になると、視力や筋力が低下したり、認知症になったりして、物や壁にぶつかってケガをすることがあります。
これを防ぐためには、老犬のぶつかり防止サークルを作ってあげるといいでしょう。
市販のサークルもありますが、手作りすることで、愛犬のサイズや状態に合わせてカスタマイズできます。
今回は、老犬のぶつかり防止のための部屋づくりのポイントと、手作りサークルの作り方とコツをご紹介します。
老犬が物や壁にぶつかるのはなぜ?
老犬が物や壁にぶつかるのには、主に以下の3つの原因が考えられます。
- 筋力低下:老犬になると、筋肉や骨が衰えて歩行が不安定になり、バランスを崩したり、立ち上がったり座ったりするのが困難になります。
- 視力低下:老犬になると、目の老化や病気によって視力が低下し、物の色や形がはっきりと見えなくなったり、暗いところや明るいところでの見分けがつきにくくなります。
- 認知症:老犬になると、脳の老化や病気によって、認知症や脳卒中などの症状が現れることがあります。認知症や脳の病気があると、物事を忘れたり、判断力や理解力が低下したりし、無意味に歩き回ったり、家の中で迷子になったりします。
老犬が物や壁にぶつかると、ケガをしたり、痛みを感じたりすることがあります。
また、ストレスや不安も増えて、精神的にも不安定になります。
ケガやストレスを防ぐためにも、早めの対策が大切です。
老犬が物や壁にぶつかる原因について詳しく知りたい方は、以下の関連記事も参考にしてください。
▶︎老犬が物にぶつかるのはなぜ?ぶつかり防止で愛犬のケガを予防しよう
老犬のぶつかり防止に適した部屋づくりのポイント
老犬のケガは治りにくく感染しやすいだけでなく、痛みやストレスによって他の病気を引き起こす可能性もあり、悪化すると大変なので要注意です。
ケガを防ぐためには、老犬が壁や物にぶつかることを防止することが大切です。
ここでは、老犬のぶつかり防止に適した部屋づくりのポイントと、おすすめのアイテムを5つご紹介します。
【ポイント1】滑り止め対策をする
老犬が物や壁にぶつかる原因の一つは、足腰が弱くなって滑りやすくなるからです。
そのため、床を滑りにくくすることで、歩きやすさや安定感を高められます。
床を滑りにくくする方法としては、以下のようなものがあります。
- カーペット・ラグ:床全体に敷くことで滑りにくくなり、柔らかい素材なのでケガの衝撃も和らげられます。ただし、カーペットやラグにも滑りやすいものや、足が引っかかりやすいものがあるので、注意が必要です。滑り止め加工や、裏面に滑り止めシートを敷くといいでしょう。
- 滑り止めのシート・マット:カーペットやラグと違って、部分的に敷くことができます。愛犬の通り道や、段差のある場所などに敷くと効果的です。また、洗濯や交換もしやすいので、清潔に保てます。滑り止めのシートやマットは、100均などでも手軽に購入できます。
【ポイント2】愛犬の通り道に物を置かない
視力が低下して周囲の状況が把握できなくなることも、老犬が物や壁にぶつかる原因となります。
そのため、愛犬の通り道には、物を置かないようにしましょう。
特に、鋭利な角や突起物はできるだけ取り除いたり、隠したりすることが大切です。
また、家具や壁には以下のようなものを使って、衝撃を和らげることができます。
- コーナーガード:家具の角に取り付けると、ぶつかった時の痛みやケガを防げます。柔らかい素材でできており、粘着テープで簡単に貼れます。色や形もいろいろあるので、インテリアに合わせて選べます。
- プチプチとした気泡緩衝材:家具や壁に貼ると、ぶつかった時の衝撃を吸収できます。気泡緩衝材は100均などでも手に入ります。テープで固定するか、カバーを作ってかぶせるといいでしょう。
【ポイント3】段差にはスロープを設置する
足腰が弱くなって段差に気づかなかったり、乗り越えられなかったりする場合に、老犬が物や壁にぶつかることがあります。
そのため、段差にはスロープを設置することで、滑らずにスムーズに移動できます。
スロープは、以下のようなものがあります。
- ペット用スロープ:市販のペット用スロープは、滑り止めや高さ調節などの機能が付いているものが多く、安全に使えます。ただし、サイズや重さによっては、設置や収納が大変な場合もあります。
- 手作りスロープ:ダンボールや木材などで手作りすることもできます。手作りする場合は、滑り止めや角の保護などに気をつけましょう。また、愛犬の体重に耐えられるかどうかも確認しましょう。
【ポイント4】サークルなどを使用する
老犬になると、認知症や脳の病気で無意味に歩き回ったり、家の中で迷子になったりすることもあります。
そのため、サークルなどを使用して安全な範囲内で過ごせるようにしましょう。
100均などで購入できるワイヤーネットやお風呂マットで、手作りサークルを作ることができます。
詳しい作り方は次章で説明します。
もちろん、市販のサークルを使用することも有効です。
市販のサークルはさまざまなサイズや形、素材のものがありますが、愛犬の大きさや状態に合わせて選びましょう。
市販のサークルは組み立てや収納が簡単で、扉や窓などの機能が付いているものも多いです。
ただし、値段が高い場合やサイズが合わない場合もありますので、手作りサークルも検討してみてはいかがでしょうか。
【ポイント5】適度な刺激を与える
刺激が少なくて退屈にならないよう、適度な刺激を与えてあげることも考慮しましょう。
そうすることで、愛犬の脳や心の健康を保つことができます。
刺激を与える方法としては、以下のようなものが有効です。
- ジョイントマットやカラーボードで遊び場を作る:100均などで売られているジョイントマットやカラーボードを組み合わせて、サークルの中に色や形の変化をつけることで、老犬の視覚にも刺激を与えられます。
- ボールやぬいぐるみで遊ばせる:ボールやぬいぐるみは、老犬の好きなものを選んで、サークルの中に入れて遊ばせましょう。老犬の咀嚼や遊び心にも良い影響があります。ただし、小さすぎるものや破れやすいものは、誤飲の危険があるので避けましょう。
老犬のぶつかり防止サークルの作り方
老犬が物や壁にぶつかってケガをしないように、ぶつかり防止サークルで安全な空間を作りましょう。
市販のサークルを使うこともできますが、手作りすることで、愛犬のサイズや状態に合わせてカスタマイズできます。
ここでは、手作りサークルの作り方と、おすすめの材料をご紹介します。
ワイヤーネットを使って手作りする方法
ワイヤーネットを使って手作りする方法は、以下のような手順で行います。
100均などで購入可能なワイヤーネットを、愛犬が動き回れる十分な大きさに合わせて円形に曲げます。切る時や曲げるときは、ハサミやニッパーなどで整えます。
結束バンドは、100均などで売られているものを使います。結束バンドの余った部分は、切り落とします。
3.ワイヤーネットの切り口・角は気泡緩衝材やテープなどでカバーする
気泡緩衝材は、100均などで手に入ります。テープは、布テープやマスキングテープなどを使います。
4.サークルの中に敷物やおもちゃなどを入れて、快適に過ごせるように工夫する
敷物は、カーペットやラグ、バスマットなどを使うとよいでしょう。おもちゃは、ボールやぬいぐるみなど愛犬が気に入っているものを入れてあげましょう。
お風呂マットを使って手作りする方法
お風呂マットを使って手作りする方法は、以下のような手順で行います。
お風呂マットも100均などで売られています。お風呂マットの数は、サークルの大きさによって変わりますが、8枚程度が目安です。
結束バンドの余った部分は、切り落とします。
3.お風呂マットの下にジョイントマットやダンボールなどを敷いて、床とお風呂マットを滑りにくくする
ジョイントマットは、100均などで売られているものを使います。ダンボールは、家にあるものや、スーパーなどでもらえるものでOKです。
くるくるウォーカーⅡを使って手作りする方法
「くるくるウォーカーII」は、認知症による徘徊症状が出始めた子や、足腰がふらつく子のケガ防止に役立つアイテムで、はさまり防止のために開発されたペット用品です。
8枚セットで販売されており、ジョイントでつながっています。
ベビー布団にも使用される固綿ボードが使用されていて、マジックテープで簡単に繋げて外せます。
ループにひもを通して壁や家具に固定できますが、ひもは付属していないので用意しておきましょう。
小型犬におすすめな「45cmサイズ」と中型犬にも安心な「60cmサイズ」があるので、愛犬の体格や設置場所に合わせて選びましょう。
老犬のぶつかり防止のための手作りサークルのコツ
手作りサークルのメリットは、安全性と快適性を高めることです。
手作りサークルを作るときには、以下のようなコツを覚えておくとよいでしょう。
四角形にしない
四角形だと、直角に曲がった壁で囲まれるため老犬が壁にぶつかる可能性が高まります。
また、認知症が進むと角で行き詰まって不安になる老犬もいます。
そのため、サークルの形を五角形や六角形などなるべく内側の角の角度が大きくなるようにしたり、円形や楕円形に設計するのがコツです。
設置場所などの関係でどうしても四角形のサークルになってしまう場合は、壁をクッションや気泡緩衝材などでカバーしてあげましょう。
床も工夫する
床が滑りやすいと、老犬が転んだり、立ち上がれなくなったりする可能性があります。
床を滑りにくくするために、カーペットやラグ、バスマットなどを敷くと◎。
床が硬いと、老犬が痛みを感じたり、床ずれを起こしたりする可能性があります。
床を柔らかくするためには、ジョイントマットやダンボールなどを敷くとよいです。
また、愛犬が壁にもたれかかったとき、床と壁が固定されているとサークル自体が動かずに愛犬の体を支えてくれますよ。
回遊性を高める
回遊性とは、老犬がサークルの中を歩き回ることです。
回遊性のある空間では、老犬の運動量や刺激量が増えて、脳や心の健康にも良い影響があります。
回遊性のあるサークルにするための簡単な方法は「サークルの中央に何かを置く」ことです。
たとえば布団をひもで縛ったものや、大きなぬいぐるみなどです。
「何か」といっても何でもよいわけではなく、愛犬が少し触れたぐらいでは動かないようなある程度の重みがあって、ぶつかっても痛くない柔らかい素材のものを選びましょう。
ダンボールなどの破れやすいものは、誤飲の危険があるので避けましょう。
老犬のぶつかり防止は早めの対策が大切
老犬が物や壁にぶつかり始めたら、ケガを防ぐためにも、早めの対策が大切です。
部屋づくりのポイントとしては、滑り止め対策・通り道の整理・段差の解消・サークルの使用・回遊性の確保などがあります。
手作りサークルの作り方としては、ワイヤーネット、お風呂マット、くるくるウォーカーⅡなどを使った方法がおすすめです。
手作りサークルのコツとしては、四角形にしない、床も工夫する、回遊性を高めるなどがあります。
老犬になっても、愛犬が安心して暮らせるように、飼い主さんのサポートが必要です。
愛犬に合わせてお部屋を工夫し、愛犬との時間を大切に過ごしてください。
この記事を書いたペットとの暮らしの専門家