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【獣医師監修】犬の皮膚病の原因と治し方|主な症状や予防法を解説

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目次
    この記事を書いた人
    葛野 莉奈

    獣医師。動物病院、会員制電話相談動物病院などを経て動物病院を開院。

    興味がある分野は、皮膚科や産科、小児科。12頭の犬、3匹の病院猫と生活する。

    犬との生活で直面しやすいのが皮膚トラブルです。

    原因はさまざまで、一時的な免疫力の低下や皮膚のコンディション変化によるものもあれば、体質が関係し慢性的に付き合っていく必要があるケースもあります。

    飼い主さんのケアや生活環境の見直しも大切ですが、正しい知識を持ち、変化に気づいたら早めに対応することが重要です。

    犬の皮膚病とは?よくある症状と特徴

    犬の皮膚病とは?よくある症状と特徴

    犬の皮膚病は、かゆみを伴うアレルギー性や感染性の皮膚炎、脱毛や皮膚コンディションの変化につながる内分泌疾患など原因はさまざまです。

    犬の皮膚病で多い症状|かゆみ・赤み・フケ・脱毛

    犬の皮膚の変化で見られやすいものとして、発赤や湿疹、脱毛、フケなどが挙げられます。

    これらの変化と併せ、

    • 掻痒行動
    • 切れ毛の有無
    • 食欲の有無(かゆみにより食事をする気にならない)
    • ゆっくり眠れているか(かゆくて眠れない場合がある)

    などの行動変化を観察し、かゆみの有無や程度を評価することが一般的です。

    局所である場合、部位がわからなくならないように、写真などで記録しておくとよいでしょう。

    皮膚病が起こりやすい犬の特徴

    皮膚病の種類によって、起こりやすい月齢や犬種は異なります。

    例えば、免疫力の低い若齢や高齢の個体では、感染性疾患に注意が必要です。

    また、かゆみを伴わない脱毛や、ほかの皮膚疾患の併発・治りにくさにつながる内分泌疾患は中高齢の個体によく見られます。

    皮膚病はどんな犬種でも起こり得ますが、アトピーやアレルギー性疾患は柴犬、フレンチブルドッグ、シー・ズーなどに多い傾向があります。

    マラセチア皮膚炎は、アメリカン・コッカー・スパニエル、シー・ズー、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアなどでよく見られます。

    犬種の特性を理解したうえで、皮膚病の予防につながるケア方法を考えていきましょう。

    犬の皮膚病の主な原因|なぜ起こるの?

    犬の皮膚病の主な原因|なぜ起こるの?

    皮膚病と一言でいっても症状はさまざま。かゆみの有無や広がり方の変化、脱毛や湿疹の有無など、原因によって現れ方は異なります。

    免疫システムが関連する犬の皮膚病(食物・環境アレルギーやアトピー)

    アレルギーとアトピーは異なった疾患であり、以下のように分類されることが多いです。

    アレルギー 日常生活で接触する特定の物質をアレルゲンと認識し、免疫システムが過剰に反応してしまうこと(食物の摂食や、環境内にあるものに対する接触など)
    アトピー性皮膚炎 特定のアレルゲンに限らず、免疫システムや皮膚バリアなどの遺伝的要因が関連し、花粉やハウスダストなどの生活環境内の物質によって起こり得るもの

    アレルギーであればアレルゲンを特定し、アレルゲンの除去及び、投薬による皮膚の症状の緩和を行うことが必要でしょう。

    アトピー性皮膚炎の場合、長期的な投薬によるかゆみのコントロールを行うことが一般的です。

    細菌による犬の皮膚病

    細菌が原因となる膿皮症は、自身の皮膚表面に存在する細菌が関与しています。

    どれだけ清潔にしていても、皮膚常在菌と呼ばれる細菌は犬の皮膚に存在しています。

    通常は皮膚の免疫機構が働き、常在菌が増えすぎないよう保たれていますが、免疫力の低下や体調の変化によって過剰に増殖し皮膚病につながることがあります。

    若齢犬や高齢犬、免疫力が低下する持病のある犬、皮膚のコンディションが不安定な犬では特に起こりやすいトラブルです。

    真菌(カビ)やノミ・ダニなどの感染源が原因の犬の皮膚病

    犬同士や環境、人を介して感染が広がる感染性の皮膚病もあります。原因となるのは、皮膚糸状菌(カビ)やノミ、マダニ、疥癬(ヒゼンダニ)などの病原体です。

    免疫力が低下している若齢犬や高齢犬では、特に症状が悪化しやすい傾向があります。

    多くの犬が集まるペットショップやペットホテルなどでは、感染が拡大する可能性も考えられます。

    適切な予防や変化に気づいたら速やかな隔離などの対処が大切です。

    ホルモン異常・体質による慢性的な犬の皮膚病

    炎症がなく脱毛など皮膚の変化だけが見られる場合もあります。

    内分泌と呼ばれる体の恒常性を維持するホルモン分泌のシステムの異常が起こることで、代謝や免疫機能の変化が見られ、皮膚病のなりやすさや脱毛につながる場合があります。

    特に中高齢の犬に多く、定期的な健康診断で早期に発見することが大切です。

    また、犬種や被毛のカラーによって、遺伝的に脱毛しやすい傾向もあります。

    カラーダイリューションと呼ばれる特定の毛色に関連した脱毛もあり、チワワやミニチュア・ダックスフンド、ボーダー・コリーなどでは、比較的若齢から脱毛が見られることもあります。

    犬の皮膚病の種類一覧|代表的な病気と特徴

    犬の皮膚病の種類一覧|代表的な病気と特徴

    犬の皮膚の状態には個体差がありますが、特に多く見られる皮膚病もいくつかあります。

    皮膚病によって家庭で気をつける点も異なるため、知っておくといざという時に安心です。

    【犬のアトピー性皮膚炎】慢性的なかゆみが続く皮膚病

    アトピー性皮膚炎は犬の免疫システムの不調によって起こる皮膚病です。

    体質的な面もあるため、生涯にわたって付き合っていく必要がある皮膚病ともいえます。

    アレルギー性皮膚炎との鑑別のために検査を行い、そのうえで、かゆみを抑える目的でかゆみ止めや免疫抑制剤などを使用するのが一般的です。

    あわせて、健康な皮膚コンディションを保つために、外用薬の使用や定期的なスキンケアを行うこともあります。

    【膿皮症】細菌の増加による犬の皮膚病

    どれだけ清潔にしている犬の皮膚表面でも存在するのが常在菌です。

    通常は皮膚の免疫バリアが働き、増えすぎないようコントロールされていますが、免疫力の低下や皮膚コンディションの悪化、衛生管理不足などで常在菌が過剰に増殖し、皮膚トラブルを起こすことがあります。

    湿疹やかさぶた、フケ、脱毛などの症状が多く、これを膿皮症と呼びます。

    治療としては、抗生剤の投与、薬用シャンプーの使用や適切な頻度でのシャンプーなど、皮膚状態を整えるケアを行うのが一般的です。

    【マラセチア皮膚炎】皮脂の分泌が関連する皮膚病

    脂漏症という皮膚トラブルを聞いたことがありますか?皮脂分泌が過剰になることで炎症を起こす皮膚病です。

    これに伴い、皮脂を栄養源とするマラセチアという真菌が増殖し、強い炎症を引き起こす状態がマラセチア皮膚炎といいます。

    マラセチアは常在菌の一種で、健康な犬の皮膚にも存在しているため、他の犬に感染する可能性は低いです。

    皮脂を落とすものや抗菌効果のある薬用シャンプーによる適切な頻度でのケアや、症状の程度に応じて内服薬や外用薬でかゆみ止めや抗菌薬を使用することが一般的です。

    【疥癬】他の犬や人にうつる可能性のある皮膚病

    ​疥癬​は、ヒゼンダニと呼ばれる外部寄生虫が原因で起こる皮膚病で、強いかゆみや脱毛、フケの増加などが見られ、他の犬や人にも感染する可能性があります。

    野生動物が多く生息する自然環境などで感染することがあり、感染がわかったら駆虫薬による治療が必要です。

    飼い主さんに疑わしい症状が見られた際は、早めに皮膚科を受診しましょう。

    【クッシング症候群】脱毛が起こりやすい内分泌疾患

    炎症を伴わない皮膚病も存在します。

    内分泌が関係する疾患がいくつかありますが、副腎皮質から分泌される副腎皮質ホルモンの分泌が過剰になってしまうクッシング症候群という病気は、中高齢の犬によく見られる傾向があります。

    • 脱毛
    • 多飲多尿
    • 食欲の異常亢進

    などの変化が見られる傾向があります。

    他の皮膚病を併発して、治りにくいなどの特徴もあるため、定期的な健康診断によって早期発見を行うことや疾患がわかったら投薬による治療を行うことが必要です。

    犬の皮膚病の治療法|病院での治療と自宅ケア

    犬の皮膚病の治療法|病院での治療と自宅ケア

    皮膚病がわかったら、犬の体への負担を軽減するため治療が必要です。

    皮膚のコンディションが治療効果や良好な状態の維持に大きく関わるため、適切な日常的ケアが重要になることも特徴のひとつといえるでしょう。

    動物病院で行う犬の皮膚病の治療方法

    投薬により、かゆみや皮膚病の原因を断つための治療を行うことは一般的です。

    つい人間用の薬を使いたくなるかもしれませんが、飼い主さんの自己判断で適していない薬を使用することはやめましょう。

    動物病院で原因をある程度特定し、適切な薬を処方してもらうことが必要です。

    獣医師の指示のもとで行う自宅でのスキンケア

    皮膚コンディションによって、スキンケアの種類や頻度は異なります。

    皮膚病に適したタイプのシャンプーを処方される場合があり、切り替えが必要な可能性もあります。

    乾燥しがちな冬の保湿ケアや、べたつきやすい夏のシャンプーの頻度など、かかりつけの先生と相談しながらケア方法を選択するとよいでしょう。

    犬の皮膚病で病院に行くべき症状の目安

    犬の皮膚病で病院に行くべき症状の目安

    皮膚病は他の疾患と異なり致命的な問題になりにくく、受診の判断が難しい場合が多いかもしれません。

    しかし、長期にわたるかゆみや違和感は、不眠や食欲不振など体への負担にもつながるため、早期に軽減してあげましょう。

    すぐに動物病院を受診したほうがよい症状

    強いかゆみや広範囲の脱毛、強い発赤が見られる場合は、感染性疾患や強い炎症が疑われます。

    感染拡大の予防や、かゆみ・違和感など愛犬の負担を軽減するためにも早めの受診が必要です。

    皮膚をこすりつける・掻く・かじる行動に加え、不眠、食欲不振などが見られる場合も、体力を消耗する前に受診しましょう。

    軽度でも注意が必要な犬の皮膚病のサイン

    湿疹や局所的な発赤のみで、犬自身もあまり気にしていない程度であれば、自然に改善することもあり、受診の緊急性は低いかもしれません。

    しかし、湿疹や発赤箇所の増加・脱毛部位の拡大・フケの量の増加などが見られる場合、症状悪化の可能性が高いため受診がおすすめです。

    犬の皮膚病を予防する方法|日常でできる対策

    犬の皮膚病を予防するために大切なことは、

    • より良い皮膚コンディションの維持
    • 皮膚病の原因となる感染源の予防
    • 皮膚病や背景にある疾患の早期発見

    などが挙げられます。そのために、

    • 食事・栄養管理(それぞれの体質に適したフードの選択)
    • ノミやダニなどの外部寄生虫予防
    • 定期的な健康チェック
    • 適切なスキンケア
    • 生活環境の見直し

    が欠かせません。

    特に食事管理やスキンケア、外部寄生虫予防などは、定期的な健康チェックをかかりつけの獣医師とともに行うことで、専門家から的確な指摘や助言を得られる可能性が高いです。

    生活環境の見直しは、特にアレルギーやアトピー性皮膚炎が起こりやすい犬種には大切です。

    生活環境の中でアレルゲンの除去に努めることや、ハウスダストや花粉など、悪化要因となる物質に対しては、空気清浄機の活用も有効な対策でしょう。

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    犬の皮膚病に関するよくある質問(FAQ)

    犬の皮膚病に関するよくある質問(FAQ)

    犬の皮膚病は命に関わるケースが多くないからこそ、家庭でどう対応すべきか悩んでしまいますよね。

    実際に、受診までに迷ったという声も多く聞かれます。そこで、よくある質問にお答えします。

    犬の皮膚病は自然に治りますか?

    種類や症状の程度によっては、犬が持つ免疫力などで自然治癒する場合もあります。

    しかし、皮膚のコンディションはそれぞれであり、不安定な犬の場合は自然治癒をした後も繰り返すこともあります。

    改善のために、皮膚コンディションの改善や増加しすぎた細菌の対策、原因となる外部寄生虫の駆除や消炎など原因に応じた処置を行うことが必要であることが一般的です。

    犬の皮膚病は人にうつりますか?

    ヒゼンダニや真菌などが原因の皮膚病の場合、人にも感染する可能性があります。

    該当する感染源が原因とわかった場合、治療と併せて生活環境を分けるなど感染の拡大に対する対策を行う必要があります。

    市販の薬やシャンプーだけで治せますか?

    市販の薬は処方薬とは異なり、特に人間用の薬を自己判断で使用することはおすすめできません。

    また、薬用シャンプーによるケアは治療の一環であるため専門家の適切なアドバイスが必要です。

    動物病院で適切なケア方法を指示してもらってからシャンプーの選択を行いましょう。

    まとめ|犬の皮膚病は早期発見と適切な治療が大切

    致命的な問題にはつながりにくい皮膚病ですが、かゆみや違和感などは愛犬の生活の大きな負担となり、体力の消耗や全身状態の悪化につながることが多いです。

    愛犬のQOLを維持するためにも、皮膚の状態や愛犬の行動をもとに早期発見を行い、専門家であるかかりつけの先生と協力しながら適切な治療を行うことが大切です。

    この記事を書いたペットとの暮らしの専門家
    葛野 莉奈

    獣医師。動物病院、会員制電話相談動物病院などを経て動物病院を開院。

    興味がある分野は、皮膚科や産科、小児科。12頭の犬、3匹の病院猫と生活する。