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【獣医師に聞く】室内飼い犬との快適ライフ キモは犬に理解できるしつけ方と家のゾーニング

目次
    同じ家の中で人間と犬という二種類の動物が暮らすと、困ったことが起こりがち。

    双方のストレスを無くすためにできることは?

    獣医師の山下さんに伺いました。

    取材・文/安藤 小百合

    人間の価値観を犬が分かる形で教えよう

    正しいしつけとは、人間の都合や価値観を一方的に押しつけることではありません。犬の特性と気持ちを考えながら、人間にとって好ましい行動に誘導していくことです。
    犬が好ましい行動をしたときにはたっぷり褒めて報酬を与え、不都合な行動をしたときには無視しましょう。こうすることで、望ましい行動の頻度が高くなり、不都合な行動は減っていきます。
    罰を与えることは飼い主との関係を悪くするだけなので、不都合な行動には反応しないことを徹底しましょう。

    行動範囲を物理的に制限阻止するときも機械的に

    室内犬を飼うなら、いきなり屋内に放し飼いにしてしまうのではなく、適切な環境設定が必要です。家の中を「自由エリア」「見守りエリア」「進入禁止エリア」の3つに分け、犬の行動範囲を物理的に制限すると良いでしょう。

    「自由エリア」は、基本的に何をしても良い範囲。ここで犬がガチャガチャと「かまってサイン」を出しても絶対に相手にせず、その欲求はほかの時に満たしてあげましょう。
     
    「見守りエリア」は、人間が見守れるときだけ入って良い範囲。一緒に過ごしながら、生活のルールや禁止事項を教えていきます。不都合な行動をしそうになったら、直前で阻止。触ってはいけないものに触れそうになったらスッと遠ざけるなど、それができない状態を犬が気付かぬようにつくれるとベストです。行動を阻止するときには感情を交えず、物理的・機械的に行いましょう。

    「進入禁止エリア」にはベビーフェンスなど高さのある障壁を取り付けて、物理的に絶対に入れないようにします。犬は一度でも入ることを許されると混乱してしまい、かえってストレスになるので、「今日だけ特別」といった例外をつくらないことも徹底しましょう。

    3つのエリアの位置ははじめから固定せず、生活の変化や犬の様子に応じて移動できるようにしておくと便利です。正しいしつけと家のゾーニングをすることで、飼い主と犬双方が幸せで快適な暮らしを実現してください。

    室内飼い3つのエリアのポイント

    1、自由エリア


    人が見ていなくても、何をしても良いエリア
    • 粗相や引っ掻きに困らない床材(敷物)を採用する
    • 最低限、犬用サークルくらいの広さは確保する
    • 危険なもの、かじられては困るもの(電気コード・貴重品・高級家具など)は撤去する
    • トイレ・水飲み・寝床(ハウスやクレートなど)を配置する
    • 食べ物の置き与え、おもちゃの与えっぱなしは厳禁

    2、見守りエリア


    人が見ているときだけ入って良いエリア
    • 基本は「自由エリア」に準ずるが、多少ゆるくて良い
    • 食べ物や衣類(とくに靴下)など、強く興味を引くものは手が届かないようにする
    • 人が目を離すときには自由エリアに戻す
     ※幼いうちはハウスリードをつけると良い
     ※生活ルールを守れるようになったら、飼い主が家にいる限りここまでを自由エリアにして良い

    3、進入禁止エリア 


    絶対に入ってはいけないエリア
    • 自由エリア・見守りエリアとは完全に仕切る
    • 「今日だけOK」の例外をつくらない
     

    山下 國廣さん

    獣医師・ドッグトレーニングインストラクター。
    勤務獣医師として家畜臨床に従事した後、2005年にしつけ指導・行動治療専門獣医師として開業。
    「自分が犬の立場なら」の発想でしつけ・訓練を行う。

    この記事を書いたペットとの暮らしの専門家

    AMILIE編集部

    ペットは大切な家族の一員として、私たちと同じ住環境で暮らしています。ほんの少しペットの目線になることで人もわんちゃん・ねこちゃんも、ともに安心・安全・快適に暮らせる新しい住まいが見えてくるかもしれません。私たちの心をいつも豊かにしてくれるペットのためにも、家族みんなの笑顔があふれる住まいについて考えていくこと。それが、「愛犬家住宅・愛猫家住宅」。

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