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うんちをつけたまま室内をウロチョロ。おしりの違和感でパニックになりビュンビュン走り回る!床におしりを擦り付けて歩く...。
その結果、部屋のあらゆるところに猫のうんちの跡が...。「なんとかならないのー!」と嘆きたくなる飼い主さんも多くいることでしょう。
しかし、うんちがついたままになる原因を知れば日頃から対策ができます。
この記事では認定動物看護師の資格を持つ筆者が「猫のおしりにうんちがついたままになる原因」や「日ごろの対策・ケア方法」について解説します。
猫のお尻にうんちがついたままになる5つの原因
ここではうんちがついたままになる原因を5つまとめました。
- 下痢
- 肛門腺の分泌物
- セルフグルーミングができていない
- 髪の毛や猫の毛を飲み込む
- 寄生虫
下痢
泥状や水状のうんちはおしりに残りやすいです。下痢をしたときは、おしりにうんちがついたままになることもよくあるでしょう。放っておくとうんちで汚れた皮膚が炎症を引き起こし、かゆみや痛みが出る場合があります。
肛門腺の分泌物
肛門腺とは、肛門の左右にある袋状の器官です。「肛門嚢(こうもんのう)」とも呼ばれ、強烈なニオイがするドロッとした分泌物が入っており、マーキングや猫同士のコミュニケーションの役割があります。猫の場合、うんちと一緒に出た際に、おしり周りの毛や皮膚についてしまうときがあります。
セルフグルーミングができていない
おしり周りをうまくセルフグルーミングできない猫は、長毛種・老猫・肥満体型の猫に多いです。それぞれの原因を以下にまとめました。
【長毛種】 毛が長いため、おしりの毛にうんちが絡まりやすい。また毛が多くかさばるため、セルフグルーミングが行き届かない。 (例)ノルウェージャン・フォレスト・キャット、ペルシャ、ラグドール、メイン・クーン・キャットなど |
【老猫】 体力も筋力も衰え身体をうまく動かせないため、セルフグルーミングを身体の隅々までできない。おしりについたうんちを気にしなくなることもある。肛門括約筋(肛門を開け閉めする筋肉)の衰えも関係する。 |
【肥満体型の猫】 お腹の脂肪が邪魔をし、おしりまで顔が届かない。 |
髪の毛や猫の毛を飲み込む
部屋に落ちている髪の毛や猫の毛を飲み込んでしまう猫は多くいます。毛はお腹の中でうまく消化できません。消化されなかった毛がうんちに混じって出てきた時に、うんちの切れが悪くなり、肛門からうんちがぶら下がってついたままになるのです。
また、セルフグルーミングによって飲み込んだ毛も関係します。
寄生虫
おしりからうんちがぶら下がっていて、毛だと思って切ってみたら、よく見ると寄生虫だった!ということも稀にあります。髪の毛のように見える寄生虫の正体は「回虫」です。もとの見た目は白くて細いゴムのようなものですが、うんちで汚れて黒く見えるため髪の毛と見間違えられやすいです。
成猫では無症状のこともよくありますが、子猫は主に消化器症状を中心とした身体への害が見られます。
【猫の回虫症の主な症状】 ・下痢・軟便 ・嘔吐 ・食欲不振 ・口臭 ・食べているのに痩せてくる ・お腹が膨れる |
猫回虫は人間にも感染する寄生虫です。愛猫におかしい様子が見られたり、便や嘔吐物などから回虫を見つけたりした場合は、すぐに動物病院に連れていきましょう。
猫のおしりにうんちがついたままになるとどうなる?
猫のおしりにうんちがついたまま放っておくと、次のようなことが起こります。
・部屋が汚れる ・毛が汚れて固まる ・皮膚を傷める ・うんちで汚れた皮膚から細菌感染する ・炎症を起こす |
とくに猫の肛門周りは皮膚が薄く弱いです。うんちがついて皮膚炎が起こると、舐めたり掻いたりしてさらに悪化する可能性もあります。
猫のおしりにうんちがついている時の対処法
猫のおしりにうんちがついている時は、以下のような対処法を使い分けていきましょう。
- コームやノミ取りコームで優しく梳かす
- おしりをこまめに拭いてあげる
- 洗い流す
- うんちをぶら下げている毛を慎重にハサミでカット
- 寄生虫が原因の場合は早めに病院へ
コームやノミ取りコームで優しく梳かす
固形状のうんちや乾燥しているうんちは、コームやノミ取りコームで梳かして取ってみましょう。決してコームで無理に引っ張ることはしないように。毛の根元にコームのピンを差し込み、細かくトントンと外に向かって梳かしていきます。
固くなっていて取れなければ、水をつけてしばらくふやかしてからコームで梳かすのがおすすめです。
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おしりをこまめに拭いてあげる
猫のおしりを拭くときは、ペット用のおしりふきや赤ちゃん用のおしりふきを使ってあげてください。拭くときはゴシゴシ何度も擦ってはいけません。赤ちゃんのお肌を拭くように繊細にやさしく拭き取ってあげましょう。
洗い流す
コームで梳かしてもおしりふきで拭いてもうんちが取れない場合は、洗い流してあげましょう。お湯だけでもいいですし、汚れがひどい場合は猫用のシャンプーをつけておしりだけ洗い流してあげてください。
洗い流したあとはすぐに水気を取って乾かしてあげましょう。
うんちをぶら下げている毛を慎重にハサミでカット
毛でうんちがぶら下がっている場合はハサミで毛をカットしてあげましょう。赤ちゃん用爪切り(先端が丸いもの)を使うと安全です。肛門ギリギリではなく、ハサミが愛猫の肛門に当たらないように余裕を持たせてカットしましょう。肛門に残った毛は次にうんちをするときに出てきてくれるため、無理に引っ張らないようにしてください。
また「毛のように見えて実は寄生虫だった」という場合もあるため、カットした毛をチェックしておくといいでしょう。
寄生虫が原因の場合は早めに病院へ
猫のうんちに見られることが多いのは「回虫」という寄生虫です。通常は細くて白いゴムのような形状をしています。寄生虫の感染は、猫の身体に体調不良や病気を引き起こすことがあります。また、人に感染すると脳・肺・眼などに感染する恐れがあるため危険です。
カットした毛は念のため確認し、寄生虫だった場合は早めに動物病院に連れていきましょう。
猫のおしりにうんちがつかないためには日ごろからの掃除が大切
猫のおしりにうんちがつかないようにするためには、日ごろから部屋を掃除しきれいに保つことが大切です。
飼い主さんの髪の毛や猫の毛を飲み込むと、うんちの切れの悪さに影響します。
猫は自分の舌で毛づくろいをするため、猫自身の毛を飲み込んでしまうのはある程度仕方がありません。しかし、飼い主さんの髪の毛に関しては掃除をこまめにすれば飲み込むのを防げるでしょう。
日ごろから掃除機やモップがけをし、猫と暮らす空間をきれいに保ってあげてください。
「毎日の掃除にあまり時間をかけたくない」という方は、お掃除ロボットなどで掃除を自動化すると家事の負担が減るかもしれません。
猫のおしり周りのケア方法
猫のおしり周りのケアについて、ここでは5つの方法を紹介します。
- こまめにブラッシングを行なう
- おしり周りの毛をカット
- 肛門腺をしぼる
- 普段から愛猫のおしり周りをチェックする
- おうちで解決できない場合は病院やトリマーさんを頼ってOK
こまめにブラッシングを行なう
ブラッシングをすることで余分な毛を取り除き、セルフグルーミング時に飲み込む毛の量を減らせます。猫のブラッシングの頻度は以下を参考にしてください。
【毛の長さ別ブラッシングの目安頻度】 ✔短毛種:週に2~3回程度 ✔長毛種:毎日、または2日に1回程度 |
猫のブラッシングには「おウチ・クチュール 猫用玉突きソフトスリッカーブラシ」がおすすめです。
ピンの先は玉付きになっており、ブラシのダメージから皮膚を守りながらブラッシングできます。
また、ブラッシングを嫌がる子には「ねこすりグルーミング」もおすすめです。
柱や壁に設置するブラシで、猫が体を擦り付けつつブラッシングもできます。
ブラシは愛猫の毛質や毛の多さ・長さ・好みに合わせて使い分けていきましょう。
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おしり周りの毛をカット
とくに長毛の猫はうんちでおしりが汚れやすく、きれいにするまでにも時間がかかります。「おしゃれ」よりも「過ごしやすさ」を優先してあげる方が、愛猫への思いやりです。カットの仕方に悩んだときは、トリマーさんにもぜひ相談してみましょう。
肛門腺をしぼる
肛門腺しぼりは1カ月に1回程度行なうのがいいでしょう。【猫の肛門腺しぼりのコツ】 肛門を中心に「時計の4時・8時の位置」にあるのが肛門腺。 (画像引用:ペット用品の販売・通販の帝塚山ハウンドカム) 猫を立たせた状態でしっぽを優しく持ち上げ、人差し指・親指を関節を伸ばした状態で肛門腺に当てる。そのまま肛門に向かって押し上げるように絞る。 ※決して肛門の正面からのぞき込むことはしないように!分泌物が顔にかかると大変です。肛門腺の分泌物のニオイはきつく、一度服に着くと洗ってもなかなか取れないと言われています。飼い主さんは、猫のおしりを上から見下ろすような体勢で肛門腺しぼりを行ないましょう。 |
猫の肛門腺しぼりは、飼い主さんでは難しい場合も多いため、不安な場合は動物病院やトリマーさんにお願いしてみましょう。
普段から愛猫のおしり周りをチェックする
普段から愛猫のおしり周りをチェックすることは、ついたままのうんちに気付けること以外にも、猫の健康状態のチェックにもなります。・皮膚が荒れていないか ・肛門腺が溜まりすぎていないか ・肛門から寄生虫が出てきていないか ・毛が不自然に抜けていないか |
簡単でいいので、上記のようなことを毎日チェックしてあげるのがおすすめです。
おうちで解決できない場合は病院やトリマーさんを頼ってOK
難しいことは無理に自力でやる必要はありません。できないこと・不安なこと・飼い主さんが無理にやらなくても大丈夫なことはしっかり周りを頼り、飼い主さんは愛猫に精一杯の愛情を注いであげるのがいいですね。
室内が汚れないためのアイデア
うんちでお部屋が汚れるのをできる限り防ぐために、以下のようなアイデアもぜひ試してみてください。
- お留守番のときは猫をケージに入れる
- 床をコーティングする
- お手入れしやすい床をつくる
お留守番のときは猫をケージに入れる
お留守番のときに愛猫をケージに入れておけば、部屋中歩き回ってうんちで汚すことを防げます。猫のお留守番中のケージには「キティケージ 1400」のような高さのあるものがおすすめです。ケージの中にはトイレ・ハンモックやベッド・給水器を必ず入れておいてあげましょう。
床をコーティングする
床をコーティングしておけば、床についたうんち汚れもサッと掃除して清潔を保てます。中でもおすすめなのは「AJパーフェクトコートセット プレミアム」です。油や水も弾いて床を守るため、粗相をしてもうんちで汚れても床に染みることなくきれいに掃除できます。
お手入れしやすい床をつくる
コーティング剤の他にも、マットやタイルを使ってお掃除しやすくする方法もあります。(Amazonより引用:ジョインマット)
上の画像のような「取り外しできるパズル式のマット」なら、うんちで汚れた箇所だけを取り外して洗えるため便利です。
また、ニオイや菌が気になる場合は「MaSSCシールド床タイル」がおすすめです。光触媒の力で除菌・消臭の機能を発揮するため、うんちで床が汚れて拭き取ったあとでもニオイや菌がほとんど残ることなく清潔に保てます。
うんちがついたままになる原因を把握し適切な対処を
猫のおしりにうんちがついたままになる原因はさまざまです。まずは原因を把握し、適切な対処をしていきましょう。また、うんちの状態は猫の健康状態を知ることにもつながります。少しでも早く猫の身体からのSOSに気が付けるよう、普段からよく観察してあげてください。
愛猫の健康と飼い主さんの快適な暮らしのために、この記事が参考になれば幸いです。
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この記事を書いたペットとの暮らしの専門家