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コード類をまるでおもちゃのように遊ぶ猫。いたずら対策に悩む飼い主さんは多いでしょう。
猫がコード類を噛むことにはちゃんとした理由があります。しかし、愛猫の命を危険にさらしてしまう場合もあるため注意が必要です。
この記事では、認定動物看護師の資格を持つ筆者が「猫がコード類を噛む理由やリスク」「トラブル時の症状や対処法」を解説します。
猫がコード類を噛む理由
猫がコード類を噛む代表的な5つの理由をまとめました。
- 退屈・かまってアピール
- 歯がかゆい
- ひも状のものが好き
- 遊んでいるつもり
- ストレス
退屈・かまってアピール
おうちで退屈に過ごす時間が長い猫は、かまってほしい気分でいたずらをしたくなることがあります。飼い主さんがおうちにいる時間にしかコードを噛まないようなら、かまってアピールをしている場合が多いです。その場合、近づいたり声をかけたりすると甘え始めることがよくあります。
歯がかゆい
生後6か月未満の子猫は乳歯から永久歯へ生え変わる時期に歯がかゆくなると言われています。家電のコードは子猫たちが噛むのにちょうどいい感触・サイズ感であるため、噛んでしまうとも考えられるでしょう。
ひも状のものが好き
ひも状のものはその「不規則な動き」が猫の興味や狩猟本能をくすぐります。家電のコード・イヤホンのコード・充電コードなど、当の本人たちには「遊び道具ではない」ということが分かりません。一度興味を示せばちぎれるまで噛み続ける子も多いでしょう。
遊んでいるつもり
遊びの延長でコード類を噛む猫もよくいます。新しい家電を置いたりすると、その物珍しさから興味を持ち遊びたくなってしまう子も多いです。
ストレス
ストレスを感じているときにものを噛むことでストレスを発散する猫もいます。【猫がおうちでストレスを感じる主な原因】
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とはいえ、引っ越し・模様替え・掃除機など生活上仕方のないこともあるでしょう。だからこそ、なるべく猫にストレスを抱えさせないよう発散させてあげる工夫が必要です。
猫のストレス発散については、のちの項で紹介していきます。
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猫がコード類を噛むことによるリスクと症状
猫がコード類を噛むことにはさまざまなリスクが伴います。
- 感電する
- 噛みちぎった欠片を誤飲する
- 家電が壊れる
- 火災につながる
感電する
感電は、別の名を「電撃傷(でんげきしょう)」と言います。コード類を噛んだ口の中がやけどしたり、微細血管が傷つくことで肺に水が溜まる「肺水腫」という状態になったりします。とくに肺水腫は肺がおぼれた状態になるため、呼吸困難に陥り危険です。
重症化すると、不整脈・筋肉がかたまる・けいれん発作・意識障害を起こし、中にはショック状態になって心臓が止まってしまう場合も。最悪、死亡するケースもあります。
身体が濡れている時ほど感電は危険です。また、感電した猫に触れることで人が感電してしまう危険性もあります。対処には十分に注意が必要です。猫が感電した場合の対処についてはのちの項で説明します。
噛みちぎった欠片を誤飲する
猫の歯はとても鋭く、コード類を噛んでいるうちに欠片を噛みちぎってしまうことがあります。欠片の形状によっては喉に刺さる・気管が詰まり呼吸困難・腸閉塞を起こすなど、重症になる場合もあるでしょう。
異変を感じたら救急を伝えて動物病院へ急ぎましょう。誤飲時の主なサインは以下を参考にしてください。
【誤飲時の主なサイン】
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家電が壊れる
猫にコード類を噛まれると大切な家電が壊れてしまいます。シーズンが終わった家電製品はすぐ片付けるのがおすすめです。出している家電のコード類は噛まれないような工夫を施しておきましょう。
家電を高い場所に置いたとしても猫は平気で上っていたずらしてしまいます。猫が自力で入れない場所に隠すのが安心です。
火災につながる
猫がコードを噛んでコードの絶縁体が剥がれると、銅線がむき出しになりショートした状態になります。ショートは電線が強い熱を持ったり発火したりして火災につながるリスクがあり危険です。猫がお留守番中にコードを噛み、もしも火災が起きてしまったら......と考えると恐ろしいですね。
いつ猫をお留守番にしても安心できるよう、コード類は徹底的に対策しておきましょう。
もし猫がコードを噛んでトラブルが起きたら?
ここでは、コードを噛んで猫の身体にトラブルが起きた際の対処法についてまとめました。「感電」と「誤飲」のケースでそれぞれ見ていきましょう。
感電した場合
猫が感電した場合は、慌てて猫に触ろうとしないこと。感電している動物に触れると人にも感電して二次災害につながるリスクがあり危険です。また、猫は感電時のショックで尿を漏らすことがあります。漏れた尿に触れても感電することがあるため、焦って素手で処理をしないようにしましょう。ゴム手袋をはめるのがおすすめです。
【猫が感電してしまった場合の対処】 ①まずは「電流を止める」 →コンセントを抜く・ブレーカーを落とすなど →難しい場合、ゴム手袋・木の棒・ゴム製の靴など電気を通さないものを使って猫をコードから離す ②心拍と呼吸を確認 <止まっている場合> 心肺蘇生を行い、直ちに動物病院へ連絡 <心拍と呼吸が確認できた場合> 口の中にやけどをしている箇所があれば、濡れタオルや袋に入れた水、タオルでくるんだ保冷剤などで冷やし、早めに動物病院へ連れていく |
軽症でも数日後に悪化する可能性があります。大丈夫だと感じても必ず受診しましょう。
誤飲した場合
コード類の欠片を誤飲した場合は、直ちに動物病院に連絡し指示を聞きましょう。ひも状のコードを飲み込んで口や肛門から一部出ている場合は、決して引っ張らないようにしてください。粘膜を傷つける危険性があります。
また、誤飲してからどのくらい時間が経ったかによって動物病院での処置が変わります。誤飲してから3時間以内であれば「催吐処置(吐かせる処置)」をすることが多いですが、状況によっては催吐処置は行いません。検査をして「腸閉塞(腸が異物などによって塞がった状態)」が認められたら、手術でお腹を開く場合もあります。
動物病院は猫の状態を見てその時々で適切な判断をして対処してくれるため、焦らず慌てず指示をよく聞いて対処していきましょう。
猫がコードを噛むのをやめさせるアイデア
猫がコードを噛むのをやめさせる7つのアイデアをまとめました。
- しつけをする
- アイテムを使ってコードをカバーする
- コードに嫌な味をつけておく
- コードレスの家電を使う
- お留守番時の工夫
- 一緒にいるときはよくコミュニケーションをとる
- 住環境を整える
しつけをする
猫がコード類にいたずらをしようとしていたら「叱る」というのを試してみてください。叱るときに注意すべきポイントは名前で叱らないことです。名前で叱ってしまうと、その後名前で呼ばれることに嫌な記憶が残ってしまいます。
「おい!」「こら!」「ダメ!」など端的な言葉で叱るのがいいでしょう。また、すぐその場で叱るというのもポイントです。時間が経ってか叱っても猫にはさっぱり何のことだか分かりません。
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アイテムを使ってコードをカバーする
アイテムで物理的にコードを噛ませないようにする方法もおすすめです。ここでは人気商品を3つ紹介します。【いたずらガードマン にがーい配線カバー】
噛んだら引くほどにがーい味がする配線カバー。電子レンジやこたつなど太めのコード類にも対応しています。「噛んではダメ!」を覚えさせるのにピッタリのアイテムです。
【ケーブル収納ボックス】
電源タップをまるごとスッキリ収納できるケーブル収納ボックス。猫が思わずいたずらしたくなるようなコード類の絡まりも見えず、いたずら防止になります。
【コンセントを隠すコンセントカバー】
壁にくっつけてコンセントをまるごと隠せるコンセントカバー。コンパクトかつデザインもシンプルなため、どんな部屋にも馴染みやすいです。
その他、簡易的なものであれば百均でもゲットできます。愛猫に合わせていろいろなアイテムを試してみてください。
コードに嫌な味をつけておく
「コードを噛むと嫌な味がする」という記憶が残れば、猫はコードを噛まなくなる場合もあります。おすすめなのは「TAURUS 噛みぐせノン」です。
飼い主さんの手足に使うアイテムですが、コード類に塗って「噛んだら辛くてまずい」というのを覚えさせるのにも使えます。
ただし、噛んではいけないもの尽くしになると猫もストレスになるため「噛んでもいいおもちゃ」も一緒に与えて区別がつくようにしてあげると良いでしょう。
コードレスの家電を使う
コードレスの家電を使えば、猫がコードを噛むのを最小限にできます。掃除機・固定電話・サーキュレーターなど、コードレスの家電をぜひ探してみてください。
お留守番時の工夫
お留守番時の工夫として「お留守番中はケージに入れる」「ペットカメラで見守れるようにする」などの方法があります。ケージに入れておけば、コード類に限らず家具や壁・床などへのいたずら対策にもなります。部屋中を歩き回ってものが落下してケガをするというような事故も防げるでしょう。
また、ペットカメラを設置すれば愛猫の様子をいつでもどこでも見守れます。
いたずらだけではなく、愛猫のお留守番中の異変にいち早く気付けるというメリットもあるでしょう。
ペットカメラが気になる方は、以下の記事をぜひ参考にしてみてください。
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一緒にいるときはよくコミュニケーションをとる
「かまってほしい気持ち」を軽減するために、一緒にいるときはよくコミュニケーションをとってあげるといいでしょう。おもちゃで遊ぶ・スキンシップをとる・話しかけるなどがおすすめです。
愛猫の様子を見ながら、嫌がらない範囲かつ適度な距離間でコミュニケーションを大切にしてあげてください。
住環境を整える
住環境を整えることで、ストレス・退屈さ・遊びたい気持ち・成長に伴う問題行動(歯がかゆくて噛み癖が付くなど)というようなさまざまないたずらの理由を払拭できるでしょう。例えば以下のような方法が挙げられます。
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物理的にコードから遠ざける方法では「にゃんがーど」や「ハピア ねこゲート」などがおすすめです。
猫に入ってきてほしくない部屋の入口前に設置すれば、侵入されてコードへいたずらされるのも防げます。脱走防止の柵としても人気です。
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愛猫のコード噛み対策は「理由」を知ることが大切
愛猫がコード類を噛むのには理由があります。対策をするときには「なぜコード類を噛んでしまうのか?」本質的な理由を見てあげるといいでしょう。成長の段階で歯がかゆいだけなのか?
普段からストレスが溜まっているのか?
寂しい・退屈・イライラ・かまってほしい気持ちを抱えているのか?
上記のように、本質的な理由を見ようとすれば対策の方向性も見えてくるはずです。
愛猫との暮らしがより良く・安全で・心地よいものとなっていくよう、この記事が参考になれば幸いです。
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この記事を書いたペットとの暮らしの専門家