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人間はうるさく感じる音や、やかましい音を耳にしたとき騒音として感じてしまいます。
飼い主さんにとって愛すべき存在である愛犬の鳴き声や吠えも、よその家からすれば騒音に感じてしまうことも……。
飼い主さん家族が不在のとき、お留守番をしている愛犬は吠え続けていませんか?
または、既にご近所から騒音クレームや苦情がきて困っていませんか?
家族としてお迎えした愛犬が原因で、ご近所とのトラブルは避けたいですよね。
この記事では、留守番中の愛犬が吠えることによるご近所トラブルを防ぐために、飼い主さんができる防音対策をピックアップしました。
また、記事後半には愛犬が吠えてしまう原因などを簡単にお伝えします。
音の種類
防音対策の前に予備知識として、音について簡単にお伝えします。
音の種類によって防音対策が変わるのはご存知でしょうか?
音の伝搬(でんぱん:波動が伝わり広がっていく)には、2つの種類があります。
ひとつは、空気伝搬音。
空気を振動させて聞こえる(伝わる)音です。
もうひとつは、固体伝搬音。
木造、アルミ造、軽量鉄骨造、鉄筋コンクリート造などの構造材料を伝搬した振動が、違う場所で空気を振動させて伝える音です。
上の階の足音や床にモノを落とした音は固体伝搬音、犬の鳴き声や吠えは空気伝搬音の分類になります。
空気伝搬音の防音対策として有効といわれているのは、天井や壁、窓の遮音などの性能を高めることです。
遮音・吸音・防音とは
犬の鳴き声や吠えなどの騒音対策を考えたとき、「遮音」「吸音」「防音」という3つの言葉を耳にします。
違いについて簡単に説明します。
遮音について
遮音とは、防音をする手段のひとつ。
室内の空気中で伝わる音を遮断して、室外へ音が漏れないようにする方法を表す言葉です。
遮音は防音対策の中でも、最も簡単に行える方法のひとつといえるでしょう。
遮音の仕組みは、伝わってくる音を跳ね返し音を遮断させています。
室外に漏れてしまう音の大きさが小さいほど遮音性が高いと評価されます。
吸音について
吸音も遮音と同じで、防音をするためのもうひとつの手段になります。
室内の音を吸収することで、音の反射や音が室外に漏れることを防ぎ、室内における音の反響を抑える方法です。
吸音の仕組みは、細かい穴(細孔:さいこう)が複数ある素材が、音を取り込み素材の中で拡散させることで音を吸収します。
吸収することによって、反射する音の大きさが小さくなるほど吸音性が高いと評価されます。
防音対策は遮音対策を考え、吸音対策を組み合わせることが大切です。
防音について
防音という言葉は大まかな意味内容を表す概念的なもので、具体的な手順や手法を意味するわけではありません。
防音とは、室内の音が外に漏れたり、室外の音が室内に入ったりするのを防ぐこと。
防音するために必要な具体的対策は、「遮音」と「吸音」です。
イメージ的には『防音=遮音+吸音』といえるでしょう。
防音対策や防音素材は、言い換えれば遮音・吸音機能を高める素材や対策のことになります。
上記を理解したうえで、犬の鳴き声や吠えの防音対策についてみていきましょう。
居住空間でできる防音対策
- 防音カーテン
- 防音効果のあるハウス
- 防音効果のある建材を導入する
日本は非常に地震が多いことから、日本国内で木造建築が使われてきました。
クギなどを使わず、吸湿性や柔軟性のある木材をはめ込む「木組み」工法の技術により、地震などにも耐えられる木造建築が発展。
しかし、木造住宅は壁の構造上、隙間ができやすく振動が伝わりやすいので防音性は低く、犬の鳴き声や吠えなどの音漏れを防ぐ対策が必要になるのです。
また、集合住宅の場合は上下階や両隣などへの防音対策が必要になります。
居住空間でできる防音対策は以下の3つです。
1.防音効果のあるカーテン
遮音カーテン
生地の裏面にラミネートやコーティング加工を施すことで、遮音効果を高めています。
室外への音漏れを防ぐので、犬の鳴き声や吠えが気になる飼い主さんにおすすめ!
高い遮光性も期待でき、暗幕カーテンや遮光カーテンとしても優れています。
防音カーテン
防音カーテンは、遮音カーテンの中で特に遮音性能に優れたカーテンです。
防音素材の質量や重量を重くすることで優れた遮音性を発揮します。
吸音カーテン
吸音カーテンは、音を吸収しやすいベロア素材などの生地を使うことで、音漏れを防ぎます。
音の反響・残響を抑制するので自宅使いであれば、ホームシアター・オーディオルームなど、良質な音環境を求める空間におすすめです。
後ほど、防音効果のあるカーテンを紹介するのでお楽しみに……。
2.防音効果のあるハウス
室内で犬の居場所を、ケージやクレートなどハウスとして利用している人も多いのではないでしょうか。
調べてみると、防音効果のあるハウスがありました。
カワイ音響システム 防音ルーム「ワンだぁルーム」です。
参考サイト:楽天市場
優れた防音機能と、衛生面と居住空間をプラスした愛犬にやさしいハウスです。
防音対策は、独立二重構造の高い遮音性。
遮音性の効果は期待できる反面、金額が高く重量もあり、かつエアコンを設置している室内に置くことが条件など、留意事項が細かいので購入を検討されている飼い主さんは商品情報を必ずチェックしましょう。
3.防音効果のある建材を導入する
防音効果のある建材には、「遮音材」「吸音材」「防音材」があります。
簡単に説明すると、遮音材は音を跳ね返し遮断する性質があり、吸音材は音のエネルギーを取り込み吸収する性質のある材料です。
防音材は騒音による防音対策に使用する材料の総称になります。
防音効果のある建材は、サーモウールやロックウールなどが知られています。
音を吸収して反射させないサーモウール。
空気をたくさん含んでいるので、振動を抑えられ吸音効果も期待できるでしょう。
防音・吸音性に優れているロックウール。
繊維と繊維の間の空気が音のエネルギーを吸収し音を抑えます。
周波数が低い低音域より、高音域の方が吸音率は高いようです。
後ほど、防音効果のある建材をご紹介します。
おすすめの遮音・防音カーテン
次におすすめの遮音・防音カーテンをご紹介します。
サウンドガード3
参考サイト:防音専門ピアリビング
高密度の遮音層にエンボス加工を施した防音カーテン。
厚く重い生地なので優れた遮音効果を発揮します。
5重構造の防音カーテン コーズ
参考サイト:防音専門ピアリビング
音を吸収する吸音布と音を遮断する遮音布を組み合わせて作られている、5重構造の防音カーテン コーズ。
5重構造なので通常のカーテンより厚みと重量があるのが特徴です。
注意点としては、防音カーテンだけでは防音対策は十分ではないため、他の対策グッズとの併用をおすすめします。
おすすめの防音効果のある建材
- サウンドスフィア®(吸音材)
- ホワイトキューオン®(吸音材)
- OTTO(吸音材)
- 防音くん「吸音デコ」(吸音材)
- 断熱塗膜「ガイナ」(水性塗料)
- インプラス(内窓)
- プラマードU(内窓)
- ラフォレスタ(防音ドア)
- LIXIL 住宅用窓シャッター(シャッター)
- リフォームシャッター(シャッター)
- 宅配ボックス コンボ(宅配ボックス)
防音効果のあるおすすめ建材をご紹介します。
サウンドスフィア®(吸音材)
参考サイト:株式会社コスモプロジェクト
サウンドスフィア®は、優れた吸音特性とインテリアを調和した吸音パネルです。
吸音の他に、断熱・調湿・消臭の効果もあり、吸音材はサーモウール(eco羊毛断熱材)を使用しています。
ホワイトキューオン®(吸音材)
参考サイト:東京防音株式会社
ホワイトキューオン®は、ピアノやオーディオの他に、ペットの鳴き声や吠えなど室内での反響を抑えます。
壁に立て掛けて吸音対策として使用可能。
断熱材として節電対策にも効果があるようです。
注意点として、低い周波数の吸音には不向きになります。
また、ホワイトキューオンは吸音材なので音は半減しますが、遮音性は無いため音は通り抜けるようです。
OTTO(吸音材)
参考サイト:LIXIL
OTTOは、家庭向けに開発されたインテリア吸音材です。
インテリアパネルとしておしゃれに使えるだけでなく、工業用吸音材を使用した確かな吸音性能で、犬の鳴き声や吠えの反響音もしっかり吸収します。
防音くん「吸音デコ」(吸音材)
参考サイト:ニットクDIYショップ
防音くん「吸音デコ」は、1枚500gの装飾パネルを壁に装着することで、室内の反響音を軽減!
軽量なので簡単に取り付けが可能です。
断熱塗膜「ガイナ」(水性塗料)
参考サイト:株式会社日進産業
ガイナの塗膜は密度の高い特殊セラミックの中に、空気を含んだ球体の多層で構成されています。
音は特殊セラミックで反射し、空気で減衰を繰り返す構造。
塗膜内で多層になった特殊セラミックの効果で、塗膜内部に侵入してきた音も、振動を軽減することで音を小さくします。
インプラス(内窓)
参考サイト:LIXIL
インプラスは、空気の層が防音壁として機能します。
室内で発生する音を半減し、近隣に漏れるのを抑えてくれる内窓。
人間の耳は、音の大きさが10dB下がると音が半減したように感じるといわれ、快適で静かな住環境づくりにも効果的です。
プラマードU(内窓)
参考サイト:YKK AP
プラマードUは、今ある窓に簡単に取り付けるだけで、二重窓に!
音の通り道をふさぎ、室外への音漏れを防ぐことができます。
ラフォレスタ(防音ドア)
参考サイト:YKK AP
YKK APは「ペットとくつろぐ住まいづくり」をコンセプトに、愛犬や家族みんなが心地よく暮らせるよう取り組んでいます。
インテリア建材「ラフォレスタ」防音ドアは、JIS性能遮音等級T-1の性能で、防音ドアの遮音効果は、-25dB(デシベル)と隣室に響く音を和らげます。
LIXIL 住宅用窓シャッター(シャッター)
参考サイト:LIXIL
物理的に室内と屋外を遮断することが可能なシャッターは、外からの視線だけでなく音も遮ることができます。
シャッターを設置することで、30dBの低減が期待できるそうです。
室内での犬の鳴き声や吠えなどが室外に漏れにくくなるので、ご近所さんに気兼ねなく過ごしやすくなるでしょう。
LIXIL 住宅用窓シャッターは、手動・電動が選べます。
リフォームシャッター(シャッター)
参考サイト:LIXIL
LIXIL リフォームシャッターは、外観を損なわないシンプルで美しいデザイン!
既存の窓に外窓の上から取り付けるだけの簡単スピード施工が可能です。
宅配ボックス コンボ(宅配ボックス)
参考サイト:宅配ボックス コンボ
宅配ボックス コンボは、その名の通り宅配ボックスです。
飼い主さんが不在中、宅配業者が鳴らすチャイム音で愛犬が吠えて困った経験はありませんか?
宅配ボックスがあれば、不在中でも荷物が受け取れます。
事前に宅配業者へ「宅配ボックスを利用する」旨を伝えておけば、飼い主さんが不在中でもチャイム音を鳴らさずに済み、愛犬もチャイム音に反応することはなくなるでしょう。
ここまでは、犬が吠えたときの防音対策についてお伝えしました。
続いて、犬が吠えることについて基本的なことをお伝えします。
犬が吠えることの意味
犬が吠えることの意味は、以下の通りです。
「犬の感情や気持ちを吠えることで表現している」
「危険や不安などを感じ威嚇(いかく)している」
犬の祖先といわれているオオカミは遠吠えはしますが、犬のように「ワンワン」と吠えないということはご存知でしょうか?
所説ありますが、人間が「ワンワン」と鳴くように交配したから……といわれています。
確かに、昔の犬といえば番犬として外で家を守り何かあれば「ワンワン」と吠える犬が良しとされていましたね。
オオカミは発しない「ワンワン」と吠える行為は、犬が人間と暮らす中で身につけていったといえるでしょう。
人間の都合で家畜化されて身に付いた吠えですが、度が過ぎる吠えは騒音となり「無駄吠え」と表現されてしまい、飼い主さんが正しくしつける必要があるのです。
時代は変わり室内飼育が主流になってきた現代、一戸建てや集合住宅において無駄吠えはご近所トラブルの原因になることも……。
では、なぜ留守番中の犬が吠えるのか、原因について説明します。
留守番中の犬が吠える原因
- 欲求不満
- 分離不安
- 警戒心
- 恐怖心
- 興奮(喜び含む)
- 発情期
- 痛み
- 認知症
- 縄張り意識
- 社会的促進
留守番中に犬が吠えると考えられる原因についてピックアップしました。
欲求不満
「空腹」「遊びたい」「かまってほしい」「散歩にいきたい」など犬の欲求が満たされず、不満として吠える行為に発展したと考えられます。
分離不安
大好きな飼い主さんが不在になる留守番中に、犬の不安から吠える行為につながると考えられます。
警戒心
犬の気質にもよりますが、知らない声や音がしたときに、警戒から追い払おうとして吠えたり唸ったりすることがあると考えられます。
飼い主さんや犬のテリトリーを守ろうとしているようです。
恐怖心
犬は身の危険や恐怖を感じると、吠えて対処すると考えられています。
チャイム音・雷・知らない人の声などが苦手で恐怖をおぼえる犬もいるようです。
また、過去の留守番中になんらかのトラウマ(心の傷)があった場合、飼い主さんが不在になると、声がかれるまで吠え続けることも……。
興奮(喜び含む)
吠えるのはポジティブな場面でも出る場合があります。
留守番中、何かがきっかけで犬が楽しくなりテンションがあがり吠えてしまうと考えられます。
発情期
多頭飼いの場合メス犬が発情(ヒート)期に、去勢していないオス犬が同室していると、興奮して吠え続けることがあるようです。
痛み
犬の病気やけがなどの身体の痛みにより、吠えることがあります。
認知症
高齢にともない犬の認知症は最近増えてきているようです。
老化による脳の衰退で認知症が発症すると、吠えてしまうことがあるようです。
縄張り意識
犬のテリトリーに家族や仲間以外が入ろうとしたとき、または窓から知らない人の姿が見えたとき、吠えることがあります。
社会的促進
社会的促進とは、作業や行動を起こしているときに、そばに他者がいることで、その作業や行動が高まる現象を指します。
犬に置き換えた場合、他の犬の吠えた声につられて別の犬が吠えはじめてしまうことです。
犬が吠えるタイミング・シチュエーション
上記と重複しますが、犬が吠えるタイミングとシチュエーションは、
「家族不在で愛犬が留守番しているとき」
「来客時のチャイム音や聞き慣れない音や声がしたとき」
「シニア犬が病気(認知症)になり夜中に吠える」
が考えられます。
飼い主さんの愛犬は、どのタイミングやシチュエーションで吠えるのか、把握しておくことで対策にも活かせるでしょう。
犬が無駄に吠えないように飼い主さんにできる対策
上記のように犬にとって吠えは、いろいろな原因や側面があることがわかりました。
飼い主さんは愛犬が吠える場合があることを理解したうえで、自宅内外で無駄に吠えることのないように日ごろからしつける必要があるのです。
動物愛護法を補う形で定められている、環境省告示『家庭動物等の飼養及び保管に関する基準』では、次のように述べられています。
第4 犬の飼養及び保管に関する基準
「3 犬の所有者等は、頻繁な鳴き声等の騒音又はふん尿の放置等により周辺地域の住民の日常生活に著しい支障を及ぼすことのないように努めること」(引用)
簡単にいえば、「家や外で犬の鳴き声やふん尿の放置はせず、地域住民に迷惑をかけないでね」ということです。
犬が吠えたときの防音対策をしてご近所トラブルを防ごう!
この記事では飼い主さんが不在時の、愛犬の吠えの防音対策についてお伝えしました。
また、犬が吠える意味や原因についても説明しました。
愛犬が無駄に吠えないよう、しつけに向き合い飼い主さん自身で対応できない場合は専門機関やプロのトレーナーに相談してみるのもひとつの方法です。
同時に自宅でできる防音対策も考え、ご近所トラブルを防いでいけるよう、この記事が参考になれば幸いです。
この記事を書いたペットとの暮らしの専門家