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目次
(パピヨン/男の子)
愛猫が毛布や服を舐めたり噛んだり...やめてほしいのにやめてくれない。もしかして何かの病気?
そんな、愛猫の困った行動に悩みや不安を抱えている飼い主さんへ。
それは「ウールサッキング」という行為で、愛猫のクセになってしまっているかもしれません。
ストレス・退屈や運動不足・行動学的な異常・遺伝・病気など原因はさまざま。原因が分かれば対策や改善をしていけます。
この記事では、認定動物看護師の資格をもつ筆者が「猫のウールサッキングの原因・対策」「危険性」「おすすめ対策アイテム」などについてまとめました。
猫の「ウールサッキング」とは?

「ウールサッキング」とは、文字通り「Wool(毛織物)Suck(しゃぶる・吸う・舐める)」という意味の言葉です。
毛織物に限らず、綿や合成繊維などさまざまな種類の織物やプラスチック素材のものなどを、吸ったり噛んだりするのもウールサッキングに当てはまります。
甘噛み程度の軽いものや、歯の生え変わり時期のかゆさによるものという場合もありますが、大半は行動学的にいう「常同行動」のひとつです。
とくに目的も無くある特定の行動を繰り返すことを「常同行動」といい、日常に支障をきたす「常同障害」に発展してしまう場合もあります。
猫のウールサッキング5大原因

ここでは猫のウールサッキングの5大原因をまとめました。
ストレスや不安からくる心理的な原因
猫は環境の変化に敏感な動物。ちょっとした変化でも心が落ち着かないことがあります。
そうしたストレス下で、ストレスのはけ口や自分を落ち着かせるためにウールサッキングをしていることも多いです。
以下のようなストレスが愛猫にかかっていないか?チェックしておきましょう。
【猫のストレスの原因になりやすいこと】
- 運動不足
- 飼い主さんとのコミュニケーション不足
- 引っ越し・旅行など急な環境の変化
- 部屋の模様替え
- 雷や台風など天候による騒音
- 知らない人がいきなり家に来る
- 過剰なスキンシップ
- 掃除機や大きな話し声などの騒音
- 芳香剤・消臭剤など不快なニオイ
また、“飼い主さんに対する過剰な愛着”によって「関心を持ってほしい・かまってほしい」という欲求がウールサッキングにつながる場合もあります。
退屈・運動不足など身体的・生活環境の原因
十分に遊べていない・刺激が少ない・運動量が足りないなど、“退屈さ”がウールサッキングの引き金になるケースも多いです。
これは前の項で解説した「心理的な原因」にも関連しています。
上下運動がしづらい環境や、おもちゃがマンネリ化しているなど、欲求不満を発散できず布を噛んだり吸ったりする行動に向かいやすくなります。
また、猫は本来“狩猟本能”がありますが、室内だけで生活しているとその狩猟本能を使う場面が少なくなりがちです。
そんな時、身近にある毛布やクッションが“手軽な刺激”となり、ウールサッキングへつながってしまう場合もあります。
常同行動・常同障害といった行動学的な原因
心理的な原因や身体的・生活環境の原因などが、飼い主さんの気付かないうちにどんどん積み重なっていく...。
すると、目的も無く“クセ”のように、何かに取り憑かれたようにウールサッキングをすることもあるでしょう。
この場合は「常同行動」という異常行動に発展しているかもしれません。
常同行動を放置すると、日常生活にまで支障を来すレベルの「常同障害」になってしまう可能性もあります。
血縁関係や特定の猫種など遺伝的な原因
血縁関係上に常同行動をする猫がいる場合、ウールサッキングが遺伝することもあります。
また、オリエンタル種の猫はウールサッキングをしやすい猫種といわれています。
例えば、シャム、バーミーズ、バリニーズなど。スレンダーでスリムな体つきとムチのようなしっぽが特徴の猫です。
遺伝的な原因が関連する場合は、1歳未満のうちにウールサッキングのような常同行動が発症しやすいといわれています。
胃腸障害や歯科疾患など病的な原因
お腹や歯の調子が悪いと、猫はつい口に何かを入れたり噛んだりしたくなる子が多いです。
これがウールサッキングにつながっている場合もあります。
胃腸障害や歯科疾患を患っている場合は、病気や体の異常を治すことが最優先です。
ウールサッキングのほかに以下のような症状や異変が見られたら、早めに動物病院で診てもらいましょう。
【猫に胃腸障害が疑われる場合のサイン】
- 排泄物に異常がある(下痢・便秘・排便困難など)
- 嘔吐・吐出
- 身体を丸め、お腹を痛そうにしている
- 元気がない
- 食欲がない
- 食べているのに痩せていく
- 触れようとすると怒る
【猫に歯科疾患が疑われる場合のサイン】
- 口臭がキツい
- 口内出血が起きている
- カリカリのドライフードを食べたがらない
- 食欲がない
- ごはんを食べにくそうにする
- 触れようとすると怒る
猫のウールサッキング対策

ここでは猫のウールサッキング対策を6つまとめました。
対象物を隠す
物理的に対象物から猫を遠ざける方法です。
対象の物がなくなるため、猫はウールサッキングを“しなくなる”というより“できなくなる”という状態になります。
しかし、何かをかじっていたい・口に入れたり舐めたりしていないと落ち着かない...という状態になり、また別のものにウールサッキングをし出すリスクも。
そのため、対象物を隠すと同時に「かじってもいい代替物」を与えてあげるといいでしょう。
愛猫がかじってもいい代替物を用意する
前の項の内容と続きますが、かじらせても問題のない代替物を与えてあげるのも効果的です。

例えばこのようなロープ状のおもちゃ。
噛む力にも強くて壊れにくく、また遊び方によっては“不規則な動き”もするおもちゃです。
綿のロープおもちゃなので、カミカミしているうちに歯の汚れを落とす歯磨き効果も期待できます。
忌避剤を使う
猫の身体に害のない忌避剤を使う方法もあります。

例えば、PETLINKMOREの「しつけスプレー」は、獣医師が監修している商品で、猫への身体への刺激が少なく、国内生産であるという面でも安心して使えます。
ただし、こういったしつけスプレーは猫のストレスを悪化させてしまう場合もあるため注意が必要です。
遊ぶ時間やスキンシップの時間を増やす
ストレスや愛情不足などの心理的な原因がある場合、飼い主さんと触れ合う時間が増えると改善につながります。
愛猫が甘えてきたときや長い時間留守にさせていた帰宅後などは、たくさん触れ合ってあげるといいでしょう。
ただし、愛猫が嫌がらない程度に。様子を見ながら関わってあげましょう。
食事内容を見直してみる
食事に飽きたり空腹時間が長かったりすることもウールサッキングの原因になる場合があります。
いつものごはんに新しいテイストのごはんを混ぜてみたり、トッピングをしてみたりなど、食事に変化をつけてあげるのもいいでしょう。
また、1日の食事回数をさらに細かく分けて空腹時間を短くするのも対策になります。
食事内容を見直す際は、栄養バランスや摂取カロリーなどに偏りがないよう注意しましょう。
愛猫の生活環境を整えてストレス対策をする
愛猫の生活環境を整えてあげることでウールサッキングが改善される場合もよくあります。
ニオイ・音・光などに着目し、愛猫にとってストレスになる刺激を極力減らしてあげましょう。
しかし、私たち人間の生活上どうしても避けられない刺激もあります。
そのため、愛猫が自分のタイミングで逃げ込める猫ちぐら・ベッド・ケージなどを家の中に数か所用意してあげるのがおすすめです。
また、日ごろから運動ができる場所を取り入れてあげることもウールサッキング対策になります。
次の項では、猫の運動不足解消におすすめの「キャットステップ3選」を紹介します。
猫のウールサッキング対策に|おすすめキャットステップ3選

上下運動を好む猫にはおうちの中でも適度に運動できる場所が欠かせません。
ここでは筆者おすすめのキャットステップ3選を紹介します。
【animacolle】キャットステップ

animacolle(アニマコレ)は、日本製の猫用品を販売する専門店です。
透明のステップや長さの異なるステップ、そしてミニハンモックまで。好きな組み合わせでおうちの壁に簡単にキャットステップを取り付けられます。
取り付けも大がかりなものではなく、石膏ボードの壁にピンを差し込むだけ。
取り外しも簡単なため、模様替えのようにステップの設置場所をいつでも変えられます。
【MYZOO】六角ハウス

キャットウォークにもキャットハウスにも、さらに飼い主さん用のスツールとしても使える「六角ハウス」。
六角形の4側面に穴が開いており、複雑な動線になるようにつなげれば愛猫の好奇心を満たすキャットウォークになります。
ブラック・ホワイト・ウッド調の3種類のデザインがあるため、どんなお部屋にも馴染みやすいのも魅力です。
【LIXIL】猫壁(にゃんぺき)

壁に穴を開けないキャットウォーク「猫壁(にゃんぺき)」。
壁にパネルを取り付け、マグネットがついたパーツをペタッとくっつける“マグネット脱着式”のキャットステップです。
マグネットでくっつけているため、パーツの移動は自由自在。配置を変えることで愛猫を飽きさせません。
猫のウールサッキングを放置すると危険な理由

猫のウールサッキングは危険を及ぼす可能性も。
愛猫を危険から守るためにもどんな危険性があるのか知っておきましょう。
ケガにつながるリスクがある
固いものや尖ったものなどを口の中に入れると、口腔内や喉を傷つけてしまうリスクがあります。
誤って飲み込んでしまえば消化管の中でどこかに刺さる可能性もあるでしょう。
電源コードを噛むようなことがあれば感電してしまう危険性も。
愛猫を危険なケガから少しでも守るためにも、ウールサッキングの対策は早めにとりかかりましょう。
異食によって健康に害が及ぶ
ウールサッキングは植物や食べ物などが対象になることも。
人間には害がなくても猫にとっては有害な植物や食べ物は意外と多くあります。
以下のリストは「猫が食べると危険な植物や食べ物」の例です。愛猫の手が届くところに置いていないか、改めてチェックしておきましょう。
【猫が食べると危険な植物】
- チューリップ
- ユリ
- スイセン
- スズラン
- アイビー
- アロエ
- アジサイ
- ポインセチア
- ツツジ
- クリスマスローズ
- ポトス
【猫が食べると危険な食べ物】
- アボカド
- ブドウ
- ネギ類
- 生の甲殻類
- 生のイカ・タコ
- ナッツ類
- チョコレート
- キシリトール
- 緑茶やコーヒーなどカフェイン飲料
- ユリ根
- マンゴー
上記に挙げたもの以外にも猫が食べると危険な植物や食べ物は多数あります。
基本的に愛猫の生活圏内には植物を置かないようにし、食べ物も猫用のもの以外は与えないのがいちばんです。
命の危険につながる
ウールサッキング中に誤飲したものが原因で腸閉塞になれば、命の危険につながります。
腸に食べ物が流れないだけではなく、腸への血流が滞って壊死したり、誤飲した糸が腸に絡まって塞いでしまったり。
命を落とす可能性もあるため、日ごろからしっかり対策をし、愛猫の様子を観察することが大切です。
また、仮に肛門から糸や毛が出てきていた場合、無理に引っ張ると腸を引き裂いてしまうリスクがあります。見つけても無理に対処せず早急に動物病院で診てもらいましょう。
猫のウールサッキングは治らない?

猫のウールサッキングは、治らないことはありません。
ストレスや不安を取り除いてあげたり、うまく発散させてあげたりすることで改善される場合もあります。
しかし、脳神経の異常や栄養面での問題がある場合は治療が必要です。
行動や体の様子、食欲などに異常を感じたら早めに動物病院で相談をしましょう。
場合によっては「異常行動」と診断され、抗うつ薬など薬物療法が適用になる場合もあります。
原因をしっかり見極めて適切な対策をしてあげよう
猫のウールサッキングの原因は1つではありません。1つの原因が他の原因につながり発展していっている場合もあります。
愛猫に寄り添い、焦らずできることから対策を。
また、おかしいなと感じたら早めに動物病院を頼りましょう。
(パピヨン/男の子)






