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犬の車酔い3大原因|症状・サイン・対策や車酔いした時の対処法

目次

    愛犬とのお出かけが増える季節、飼い主さんの中には愛犬の「車酔い」を心配する方も多いでしょう。

    犬も人間と同じく車酔いをすることがあります。せっかくのお出かけなので、愛犬に辛い思いをさせることなく一緒に楽しみたいですよね。

    この記事では、認定動物看護師の資格を持つ筆者が、犬の車酔いの3大原因・症状・サイン実践しやすい車酔い対策を紹介します。

    犬の車酔い3大原因


    犬が車酔いをする原因は主に以下の3つです。

    ①車の揺れ
    ②車内のニオイ
    ③車に対する不安や恐怖、ストレス

    ①車の揺れ

    車の揺れを感じると、犬の身体はバランスを保とうとして自律神経平衡感覚がはたらきます。

    しかし、揺れが激しかったり犬自身が揺れに弱い体質だったりすると自律神経や平衡感覚が乱れやすくなり、その結果車酔いの症状が出てしまうのです。

    とくに子犬は、平衡感覚を司る内耳の機能が未熟なため車の揺れに弱い傾向があります。

    ②車内のニオイ

    犬は嗅覚が強く、人間の1億倍あるとも言われているほどです。車内の独特なニオイや、芳香剤・消臭剤などのニオイガソリンのニオイなどが車酔いを促すこともあります。

    人間にとってはいいニオイだと感じていても、犬にとってはいいニオイとは限りません。芳香剤や消臭剤は撤去するのが最適ですが、使いたい場合は無臭のものを選ぶのがおすすめです。

    また、香水やボディミストなどを付けた飼い主さんのニオイに対して、犬が敏感になることもあるため注意しましょう。

    ③車に対する不安や恐怖、ストレス

    恐怖やストレスなどの心理的要因も、車酔いを引き起こす原因の一つです。

    車に慣れていなかったり、お出かけに嫌な記憶があったりすると、精神的に負担がかかり車酔いの症状が出ることがあります。

    例えば、車でお出かけした先が「動物病院で辛い処置をされた」「苦手な人が居た」などという記憶などが当てはまるでしょう。

    繊細な性格の子ほど不安・恐怖・ストレスなどが原因で車酔いをすることが多いです。

    犬の車酔いの症状やサイン


    犬の車酔いには段階があり、初期の症状・中度の症状・重度症状に分けられます。ここでは各段階ごとの代表的な症状をまとめました。

    【初期の症状】

    • 何度もあくびをする
    • ソワソワする
    • か弱く鳴き始める
    • 吠える
    初期の症状が出た段階で気づけば、車を止めてしばらく休憩させてあげられます。初期症状の段階で休憩すれば、車酔いがひどくなるのを防げるでしょう。愛犬の様子をよく観察し、不調を感じたら早めに気付いて休憩させて回復するまで待ってあげましょう。

    【中度の症状】

    • よだれが過剰に出る
    • ハアハアとした呼吸
    • 吐き気
    • 身体が震える
    • 元気がなくなる
    中度の症状はすでに車酔いが進んでいる状態です。苦しくなってぐったりし始める場合もあります。さらに進むと回復に時間がかかるため、早めの対処をしてあげましょう。

    【重度症状】

    • 嘔吐
    • 下痢
    • けいれん
    • 口から泡をふく
    上記のような状態になると重度の車酔いです。健康に支障を来たし、回復までにかなり時間がかかります。

    重度症状になる前に気づけるよう、ドライブ中も愛犬の様子をよく見てあげましょう。

    車酔いしやすい犬の特徴


    小柄な体格手足の細い犬は、揺れる車内でバランスがとりにくいため車酔いしやすいです。

    また、性格も車酔いのしやすさに影響します。犬にもそれぞれ性格があり、ポジティブに物事を捉えられる子もいれば、基本的にネガティブな性格の子もいるなどさまざまです。

    おおらかでストレス耐性のある子の場合、飼い主さんとのお出かけ先が大好きな公園だったり、可愛がってくれる人のところだったりすると「お出かけ=楽しい」と捉えやすいです。

    しかし、繊細な性格の子だと同じシチュエーションでも話が変わります。例えお出かけ先が大好きな場所だったとしても、過去に苦手な場所にたどり着いた記憶が強く残っているとお出かけがストレスになることもあるのです。

    ストレスは車酔いにも影響を及ぼします。

    飼い主さんは愛犬の性格をよく把握し、お出かけ時のストレスや車酔いを未然に防いであげましょう。

    犬の車酔い対策【乗車する前】


    ここでは、乗車前の車酔い対策を5つまとめました。
    • 食事のタイミングに注意する
    • 犬用の酔い止めを使う
    • 車で眠れるように工夫する
    • 空気の入れ替えを行なう
    • 車移動に徐々に慣れさせる

    食事のタイミングに注意する

    乗車中、過度に空腹だったり満腹だったりすると車酔いをしやすいと言われています。

    そのため、車に乗る2〜3時間前までに食事を済ませるようにし、空腹や満腹を避けられるようにしてあげましょう。

    犬用の酔い止めを使う


    (引用:★犬の「酔い止め薬」セレニアと「車酔い対策」★ | 武内どうぶつ病院 埼玉県/さいたま市の動物病院

    動物病院では、犬用の酔い止め薬として「セレニア」がよく処方されています。普段は「制吐薬」として治療に用いられますが、正式に「酔い止め薬」としても認可されている薬です。

    セレニアは動物病院での処方が必要なため、犬用の酔い止め薬が欲しい場合は獣医師に相談しましょう。

    車で眠れるように工夫する

    犬は乗車中に眠っていれば車酔いにもなりにくいと言われています。

    乗車前に運動をして少し疲れさせてあげるのが良いでしょう。運動によってエネルギーが消費されると、身体がリラックス状態になり眠りにも入りやすいです。

    ただし、全速力で走らせる・プールで泳がせる・ジャンプをたくさんさせるなどの激しい運動はNGです。散歩やおもちゃ遊びなど、軽めの運動で適度に疲労を感じる程度にしてあげてください。

    空気の入れ替えを行なう

    ニオイやこもった空気は、犬の車酔いを引き起こす原因になります。芳香剤のニオイや車内の独特なニオイに敏感になり、車酔いの原因になることも多いです。

    芳香剤はなるべく撤去するか、無臭のものを選んであげましょう。また、乗車前に車内の空気を新鮮な空気へと入れ替えておいてあげましょう。

    車移動に徐々に慣れさせる

    車移動に慣れさせることも車酔い対策になります。ほとんど車移動の経験がない場合は、停車させた状態で車内で過ごす練習をしてみましょう。

    慣れてきたと思ったら、まずは数分の短い距離・時間の車移動から。徐々に車移動の距離を伸ばして行き、少しずつ慣れさせてあげてください。短い距離の移動でも小休憩は取り入れてあげるようにしましょう。

    車移動に慣れさせる時には、愛犬に「車のお出かけ=楽しい・ワクワク」の記憶を覚えさせてあげるのも大切です。到着した先で思いっきり公園で遊んだり、何かご褒美がもらえたりなど、愛犬にとって嬉しい記憶が残るようにするのも工夫の一つです。

    犬の車酔い対策【乗車中】


    続いて、乗車中の車酔い対策を5つまとめました。
    • 優しい運転を心がける
    • 窓を開ける
    • 適度に休憩を取りながらドライブをする
    • 愛犬の様子をこまめにチェック
    • 愛犬が快適に座っていられる場所を作る

    優しい運転を心がける

    車の揺れは犬の車酔いで一番多い原因です。

    なるべく車の揺れがないよう、安全で優しい運転を心がけましょう。

    窓を開ける

    外の空気を吸うことで、気分転換やニオイ対策になり車酔いのリスクを減らせます。乗車中は車の窓を開け、適度に換気しながらドライブするのがおすすめです。

    ただし、窓の開けすぎには注意しましょう。愛犬が身を乗り出せるくらい窓を開けてしまうと、ふとした瞬間に飛び降りたり落ちてしまう危険性も否めません。

    安全面には十分注意して窓を開けてあげてください。

    適度に休憩を取りながらドライブする

    愛犬とのドライブの際には、途中で適度に休憩を取りましょう。最低2時間置きくらいで休憩を入れてあげてください。

    休憩では車内で過ごすのではなく、一度外に出て外の空気に触れるのがおすすめです。外に出て一緒に空気を吸いに行ったり、トイレをさせてあげたりしましょう。

    トイレを我慢することも車酔いや車移動でのストレスにつながります。地面を歩かせてニオイをかがせ排泄を促すなど、工夫してあげてください。

    関連記事:愛犬とのお出かけでトイレトラブルを防ぐには?トイレの失敗や我慢をさせない工夫と便利なアイテムをご紹介

    愛犬の様子をこまめにチェック

    犬は、落ち着いて見えても実は緊張していることがあります。

    ドライブ中は、愛犬がリラックスできているか?様子がおかしいところがないか?少なくとも30分おきには様子を見てあげましょう。

    愛犬が快適に座っていられる場所を作る

    車内ではクレートドライブボックスを使うのもおすすめです。安定して座っていられる場所があると、犬も安心して快適に過ごせます。

    しかし、クレートに入るのが苦手な子もいるでしょう。クレートだと嫌がったり怖がったりする子には、ベッドシートベルトドッグシートなどの使用を検討してみてください。


    中でもおすすめなのがリバーシブルドッグシートです。
    シートベルトとヘッドレストに固定して使う”車用のドッグシート”で、シートから愛犬が飛び出すのを防止する「飛び出し防止リード」まで付いています。ポリエステル生地とボア生地のリバーシブルクッションになっているため、1年中使えて便利です。

    ちなみに、筆者の愛犬は繊細な性格で、少しでも環境が変わるとソワソワが止まらない子です。車移動の際、ベッドやクッションなど寝床が変わると落ち着かなかったため、家で使っているクッションを車に持ち込んだところ、落ち着いていました。

    グッズを使うときも、愛犬の様子や性格を見ながら色々試して使っていきましょう。

    愛犬とのドライブにおすすめのアイテムについては、以下の関連記事もぜひご覧ください。

    関連記事:愛犬と楽しくドライブするには?車移動でのストレス対策やおすすめドライブグッズをご紹介

    関連記事:愛犬とのお出かけに持って行くと便利なグッズは?おすすめアイテムとお出かけの注意点を紹介

    犬が酔いにくい車の種類や特徴


    車酔いの原因となる「揺れ」は、角を曲がるときの車体の傾きや、ブレーキ時の前後の揺れなどによって引き起こされるものです。そのため、”足元がしっかりしている車””車高が低めの車”が車酔いしにくいと言われています。


    身近なところで「車酔い対策ができる車」と言えば、Hondaのステップワゴンです。ステップワゴンは”乗り物酔いしにくい独自設計”になっており、車酔いの大きな原因となる「揺れ」を軽減してくれます。
    (参照:徹底解剖!乗り物酔いしにくいSTEP WGN|ステップ ワゴン|Honda公式サイト

    また、ドイツ産の車・スバル車・マツダ車も足元強めの車が多いようです。
    もし車の買い替えを考えているなら「乗り物酔いしにくい車」を自動車販売会社に相談してみてください。

    愛犬が車酔いしてしまったときの対処法


    どれだけ気を配っていても、愛犬が車酔いしてしまうことはあるでしょう。車酔いのサインが見られたら早めに対処することが大切です。

    まずは車を停め、外の空気を吸わせてリフレッシュさせてあげること。そして、急がず愛犬の様子が落ち着くまで休ませてあげることが第一です。

    愛犬の調子が悪いと、飼い主さんが焦ってしまうこともあるでしょう。しかし、犬は飼い主の感情の変化に敏感なため、愛犬に焦りが伝わりストレスを感じさせてしまうこともあります。

    愛犬も飼い主さんもお互いに落ち着けるよう、冷静な対処を心がけましょう。優しい声かけをすれば、愛犬も飼い主さん自身も落ち着いた気持ちになれるはずです。

    また、吐いてしまったりおしっこやウンチを漏らしてしまったりした時のために、ペットシーツやおそうじグッズ、ビニール袋などは常備しておきましょう。ペットシーツは、愛犬とのドライブ時には常に車内に敷いておくのもおすすめです。

    休憩しても症状が落ち着かず元気がない場合は、近くの動物病院で受診しましょう。

    愛犬のことをよく理解してあげることが、車酔いを防ぐ大事な1ステップ

    車でのお出かけ時には、飼い主さんのちょっとの配慮で愛犬の車酔いのリスクも減らせます。

    犬は私たちが思っている以上に環境やシチュエーションの変化に敏感です。車の揺れ対策はもちろん、それ以上に「愛犬の様子をよく観察すること」「愛犬の性格をよく把握すること」を大切にしてあげましょう。愛犬のことをよく知り理解することで、車酔い対策の方向性も変わってきます。

    愛犬とのドライブがいつも楽しくワクワクするものになるよう、この記事が参考になれば幸いです。
     

    この記事を書いたペットとの暮らしの専門家

    舘 明奈

    動物看護師統一認定機構認定 動物看護師・ペットケアアドバイザー等多数資格保有
    (パピヨン/男の子)

    エリア:東京都