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【一級建築士監修の愛犬との住まいの事例】リビングから愛犬たちに「行ってらっしゃい」と庭へ送り出せる家

目次
    今回は建築家・筒井紀博さんが手がけた、完成したばかりの愛犬家住宅をご紹介します。ゲートから庭、玄関、リビングルームまで愛犬たちを第一に考えた愛犬ファーストの家。犬たちにとって幸せな暮らしとは?のヒントがたくさん詰まった愛犬のための住まいです。

    施工会社・撮影協力・写真提供/株式会社An.d you(https://an-dyou.com/)
    取材・文/鈴木珠美 デザイン/袴田智


    建築家・筒井紀博さん
    一級建築士事務所・筒井紀博空間工房代表。愛犬とガレージ、愛犬第一主義の家など、数々の愛犬家のための家を手がけるだけでなく、賃貸物件、宿泊施設など活躍の幅は広い。ポリシーは「そこに存在する必然性がある空間」。時間とともに味わいたくなる美しい建築。自らも愛犬家で車好き。http://ktts.jp/


    鴨宮貴士さん・美幸さん・Demuroくん(左)・Rucoちゃん(右)
    「子どもたちにとって体にやさしく、過ごしやすく、楽しく生活することができ、わんこの家に私たちが同居するような家をつくりたいと思ったことがきっかけです」。また鴨宮ご夫妻は貸別荘も行っています。詳細はホームページにて。
    わんこと泊まれる貸別荘「ドッグヴィラハピネス」https://www.dogvilla-happiness.com/

    内外の一体感が犬と人の感性を心地よく刺激する



     「子どもたちに行ってらっしゃいと送り出せるような家にしたかった」と6頭のミニチュアダックスフンドに惜しみない愛情を注ぐ鴨宮ご夫妻の家造りのテーマは、わが子たちが安心して暮らせる愛犬ファーストの住まい。またブリーダーとしての仕事もされているので、犬舎としての機能を持たせた住まいということも今回のコンセプト。その要望をすべて余すことなく叶え、さらに新しいスパイスを注いだのが筒井さん。

     「愛犬ファーストを軸に、職場と住居が共存する建物にする必要がありましたので、動線をきちんと分けることを重視しました。玄関の扉を開けると土間が広がり、左がオフィス、右へ行くと住宅ゾーン、そして土間からは直接、庭に抜けられるというように、空間をきちんと分けています。そしてもうひとつ大切にしたキーワードは、鴨宮さんがおっしゃっていた“行ってらっしゃい”です」

     陽光が降り注ぐリビングルームは大きな窓からウッドデッキテラスにつながり、家の中にいても外を感じるような開放的な空間。窓を開けわが子たちに行ってらっしゃいと庭へ送り出せば、犬の足腰にやさしいスロープが庭へと導き、開放的な窓からはわが子たちがどこで遊んでいるのかも見渡すことができる、やさしさあふれる設計となっています。そのほか玄関から洗面。脱衣所まで続く土間やリビングの床材、造作ケージ、家の周囲の自然の地形を活かしたトレッキングコースを用意するなど、犬の性質や性格もくみ取り、筒井さんらしい仕掛けが内外の随所に盛り込まれています。

     愛犬第一を考えながらも人が心地よく住め、仕事場としても共存。内外の一体感は、犬と人の感性を心地よく刺激する空間となっています。

    洗面所・脱衣所



    洗面所に設置された流し台はキッチン用を加工して採用。愛犬たちのシャンプーができるよう、底板がなるべくフラットなものを選びシャンプー時の安定感を確保。犬たちのトイレは収納の下に設置。壁の下部には犬たちの出入り口も設けられています。

    オフィス


    玄関を開けるとコンクリートの土間が広がっています。この土間空間が居住空間と仕事場を明確に分ける役割を果たしています。左に行くとオフィス、右に行くと居住空間。土間から直接、庭にも出られるようになっています。

    犬用スロープ


    ミニチュアダックスフンドは段差が苦手な犬種。庭とリビングルームの行き来だけでなく、ガレージからポーチへ、ポーチから庭へなど、犬たちが歩く場所にある段差はスロープを設置。

    ウッドデッキテラス


    南側には広いウッドデッキテラスをつくり、内外の一体感を高めています。ウッドデッキテラスの材質は犬の足裏にもやさしい天然木を採用。犬たちの体長に合わせたなだらかなスロープも用意。愛犬たちはいつでも自由に安心して家の中と外を行き来できます。

    造作ケージ




    6頭がそれぞれのケージでおだやかに過ごせるように6つのケージを用意。飼い主のやさしさを感じる部分。寝室にも犬たちが行けるようにドアには出入り口があります。

    リビング



    リビングの床の材質は犬の肉球にもやさしい、滑りにくい木タイルを採用。南側の大きい窓から見える風景はリビングにいるときも外の開放感が味わえます。いつでも気軽に「行ってらっしゃい」とわが子たちを庭へ送り出すことができ、どこで遊んでいるのか見渡せる安心感もあります。

    トレッキングコース

    裏山にあるけもの道を利用してトレッキングコースを設定。「ミニチュアダックスフンドは足腰が弱い傾向。そこで自然の地形を活かしてショートトレーニングコースをつくり日々、歩けるような計画にしませんか?と提案しました」と筒井さん。段差を乗り越える丸太ゾーン、傾斜がついている地面、落ち葉を敷き詰めたふわふわの地面など、わんちゃんたちが楽しく体を鍛えられる遊び場になっています。
    斜めゾーン

    ふかふかゾーン

    丸太ゾーン



    トレッキングコースの終わりには土管をつかったトンネルを用意。これはミニチュアダックスフンドが地下での狩猟に適していた習性を鑑みて手を加えた遊び心。素敵な演出です。

    本記事はAMILIE MAGAZINE 3号で掲載されました。 詳しくは本誌でもご覧ください。
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    この記事を書いたペットとの暮らしの専門家

    AMILIE編集部

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