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永楽陽子
大学院卒業後、予防医学に関する研究や環境分析に取り組む。元動物病院勤務。(ミックス/男の子)
「猫が水をあまり飲まないけど大丈夫かな?」と、心配になる飼い主さんもいらっしゃるでしょう。
猫はもともと砂漠で暮らしていた動物なので、少ない水分でも生きていける体のつくりをしています。
しかし、猫にとっても、水分不足は健康トラブルの大きな原因になります。
この記事では、猫が水を飲まない主な理由とそのリスクについて解説し、上手に水を飲ませるためのコツをご紹介します。
愛猫の健康を守るために、今できることから始めましょう。
猫が水を飲まない理由は、単に「のどが渇いていないから」だけではありません。
水の鮮度・容器の形状・設置場所・体調など、さまざまな要因が関係しています。
猫が水を飲まないと感じたら、まずはその理由を見極めましょう。
カルキ(塩素)臭のある水道水や古くなってぬるくなった水を敬遠する猫もいます。
また、ちょっとしたホコリ・猫の毛・食べカスなどが水に浮いているだけで、飲むのを嫌がることも。
飲み水が貴重な外の猫と違い、室内飼いの猫は水に対するこだわりが強いことも多いようです。
水は常に新鮮で清潔な状態を保つよう心がけ、できるだけ愛猫が安心して飲めるようにしてあげましょう。
たとえば、猫のひげは非常に敏感な器官なので、ひげが容器の縁に当たると不快に感じやすいようです。
また、ステンレスやガラスなどの素材の場合、光が反射して飲みにくさを感じることもあります。
さらに、容器の底が滑りやすいと、猫が飲もうとしたときに動いてしまい、それが原因で警戒心を持ってしまうケースも。
愛猫の好みに合った高さ・形状・素材の容器を選びましょう。
たとえば、トイレのすぐ近くやごはん皿の真横に水が置かれていると、飲みたがらないことがあります。
また、人の出入りが多く騒がしい玄関付近や他のペットと鉢合わせしやすい廊下も落ち着いて飲めないようです。
猫は、安心できる静かな場所でゆっくりと水を飲みたいという本能があります。
複数の場所に水を置いておき、自由に移動できるようにしておくと、自然と水を飲む機会が増えます。
たとえば、口内炎や歯周病などがあると、口の中に痛みを感じ、水を飲む行為そのものが苦痛になることがあるようです。
また、体調が悪く食欲が低下している場合や、腎臓や消化器系の不調がある場合も水分摂取を控える原因になるといわれています。
猫が急に水を飲まなくなった時は、病気のサインではないかを早めに動物病院で診てもらいましょう。
猫が十分に水を飲めていない状態が続くと、体にさまざまな不調が現れるようになります。
特に気をつけたいのが、脱水症状・腎臓への負担・便秘です。
いずれも早期発見することが大切なので、日頃から愛猫の様子をよく観察しましょう。
特に、夏場の暑い時期や空気が乾燥する季節には注意しましょう。
脱水症状のサインとしては、尿の回数や量が減る・尿の色が濃くなる・皮膚のハリがなくなる・食欲や元気がなくなるといった変化が見られます。
これらのサインを見逃してしまうと、症状が進行して重篤な状態になることもあるといわれています。
気になる体調の変化があれば、早めに動物病院を受診しましょう。
<関連記事>
夏は脱水症状に注意!猫に水分補給をさせるおすすめの方法を紹介します
水をあまり飲まないと尿が濃縮され、尿路結石ができやすくなって、膀胱炎などの病気を引き起こすこともあります。
腎臓の疾患は症状が進行するまで気づきにくく、治療も長期化するため、日頃から水分補給を意識しておくことが非常に重要です。
特に高齢の猫は定期的な尿検査や血液検査を受けて、腎臓の状態を把握しておくと安心です。
猫はもともと排便の頻度が少ない動物ですが、3日以上便が出ない場合は便秘の可能性が考えられます。
便秘が続くと、食欲不振・嘔吐・腹部の張りなど、さまざまな症状を引き起こす可能性があります。
長毛種の猫は毛づくろいでたくさんの毛を飲み込みやすく、毛玉が腸の動きを妨げると便秘になりやすいです。
また、運動には腸の動きを促進する働きがあるため、運動不足の猫は便の通過がスムーズにいかず便秘になりやすい傾向があります。
水分補給だけでなく、ブラッシングや遊びの時間も増やしましょう。
愛猫に十分な水を飲んでもらうためには、単に水を用意するだけでは不十分です。
好みに合わせて容器を変える・設置場所を工夫する・水の種類を見直すなどの方法を試してみましょう。
猫に水分補給を促すための具体的なコツをいくつかご紹介します。
わが家でも、愛猫が水を飲んだ後には食べカスが浮いていることが多く、すぐに交換しています。
フィルター付きの循環式自動給水器を導入するのも、常に清潔な水を保つ良い方法です。
ただし、機械の音が苦手な猫もいるため、静音タイプを選ぶことや併用で通常の器も設置するなどの配慮も必要です。
フィルターの定期交換や掃除を怠らず、清潔な状態を保つことも忘れないようにしましょう。
猫のひげが当たりにくい広口タイプの器や飲みやすい高さに設計された器など、猫の体に負担がかからないデザインのものを選ぶと飲みやすくなります。
また、素材選びも重要です。陶器・ステンレス・ガラス・プラスチックなど、さまざまな素材を試してみて、愛猫の好みを探りましょう。
毎日しっかり洗浄して清潔を保つことで、水に対する不快感を減らすことができます。
ごはんのすぐ隣に水を置いている場合、水を飲まないことがあります。
猫の本能的には、食事と水は別々の場所にあるほうが自然で、安心して飲むことができるといわれています。
また、トイレの近くや騒がしい場所は避け、静かで落ち着ける場所に水を設置するようにしましょう。
複数の場所に水を置き、ペットドアで自由に移動できれば、猫が水を飲む機会を増やすことができます。
水を飲む量が少ない場合は、食事からの水分摂取を増やす工夫も有効です。
ドライフードのみの食生活では、猫が自分から水を飲まないと水分不足に陥りやすくなります。
一方、ウェットフードは約75〜80%が水分でできており、自然なかたちで水分を摂取することができます。
ドライフードを少量のぬるま湯でふやかしたり、液体オヤツを水で薄めたりするなどの工夫も効果的です。
わが家の愛猫は、冬になるとお風呂場に入って来て、お湯をのぞきこんで飲みたがります。
寒い季節には体を温め、暑い季節には体を冷やすものを求めるのかもしれません。
真夏には氷を浮かべると、遊んでいるうちに飲むこともあるようです。
常温だけでなく、ぬるま湯や冷たい水など季節や体調に合わせて好みを探ってみましょう。
猫が水を飲まない理由としては、水の質・器の形状・設置場所・体調不良などが考えられます。
水分不足は、脱水症状や腎臓への負担、便秘などのリスクを高めるため、水を飲みやすい環境づくりが欠かせません。
器や場所の工夫、食習慣など、猫の性格や好みに合った方法で水分補給をサポートしていきましょう。
また、水を飲まない状態が続く時には、必要に応じて動物病院での診察を受けることが重要です。
愛猫の健康を守るため、毎日の観察と小さな工夫の積み重ねを大切にしましょう。
猫はもともと砂漠で暮らしていた動物なので、少ない水分でも生きていける体のつくりをしています。
しかし、猫にとっても、水分不足は健康トラブルの大きな原因になります。
この記事では、猫が水を飲まない主な理由とそのリスクについて解説し、上手に水を飲ませるためのコツをご紹介します。
愛猫の健康を守るために、今できることから始めましょう。
猫が水を飲まない理由とは?

猫が水を飲まない理由は、単に「のどが渇いていないから」だけではありません。
水の鮮度・容器の形状・設置場所・体調など、さまざまな要因が関係しています。
猫が水を飲まないと感じたら、まずはその理由を見極めましょう。
水が気に入らないから
猫はとても繊細な動物で、水のわずかなニオイや味の違いに敏感に反応します。カルキ(塩素)臭のある水道水や古くなってぬるくなった水を敬遠する猫もいます。
また、ちょっとしたホコリ・猫の毛・食べカスなどが水に浮いているだけで、飲むのを嫌がることも。
飲み水が貴重な外の猫と違い、室内飼いの猫は水に対するこだわりが強いことも多いようです。
水は常に新鮮で清潔な状態を保つよう心がけ、できるだけ愛猫が安心して飲めるようにしてあげましょう。
容器が気に入らないから
水が入っている容器が気に入らないという理由で、水を飲まない場合もあります。たとえば、猫のひげは非常に敏感な器官なので、ひげが容器の縁に当たると不快に感じやすいようです。
また、ステンレスやガラスなどの素材の場合、光が反射して飲みにくさを感じることもあります。
さらに、容器の底が滑りやすいと、猫が飲もうとしたときに動いてしまい、それが原因で警戒心を持ってしまうケースも。
愛猫の好みに合った高さ・形状・素材の容器を選びましょう。
場所が気に入らないから
猫にとって、水飲み場の「場所」も重要なポイントです。たとえば、トイレのすぐ近くやごはん皿の真横に水が置かれていると、飲みたがらないことがあります。
また、人の出入りが多く騒がしい玄関付近や他のペットと鉢合わせしやすい廊下も落ち着いて飲めないようです。
猫は、安心できる静かな場所でゆっくりと水を飲みたいという本能があります。
複数の場所に水を置いておき、自由に移動できるようにしておくと、自然と水を飲む機会が増えます。
飲みたくないから
水を飲まない状況には、「飲めない」「飲みたくない」といった健康上の理由が隠れていることもあります。たとえば、口内炎や歯周病などがあると、口の中に痛みを感じ、水を飲む行為そのものが苦痛になることがあるようです。
また、体調が悪く食欲が低下している場合や、腎臓や消化器系の不調がある場合も水分摂取を控える原因になるといわれています。
猫が急に水を飲まなくなった時は、病気のサインではないかを早めに動物病院で診てもらいましょう。
水分不足で注意すべきリスクとは?

猫が十分に水を飲めていない状態が続くと、体にさまざまな不調が現れるようになります。
特に気をつけたいのが、脱水症状・腎臓への負担・便秘です。
いずれも早期発見することが大切なので、日頃から愛猫の様子をよく観察しましょう。
脱水症状|尿の変化や食欲低下に注意
猫が水を飲まない状態が続くと、最も起こりやすいのが脱水症状です。特に、夏場の暑い時期や空気が乾燥する季節には注意しましょう。
脱水症状のサインとしては、尿の回数や量が減る・尿の色が濃くなる・皮膚のハリがなくなる・食欲や元気がなくなるといった変化が見られます。
これらのサインを見逃してしまうと、症状が進行して重篤な状態になることもあるといわれています。
気になる体調の変化があれば、早めに動物病院を受診しましょう。
<関連記事>
夏は脱水症状に注意!猫に水分補給をさせるおすすめの方法を紹介します
腎臓への負担|濃い尿が病気の原因になることも
猫は腎臓の病気にかかりやすい動物であり、腎臓の健康を守ることが長生きにつながります。水をあまり飲まないと尿が濃縮され、尿路結石ができやすくなって、膀胱炎などの病気を引き起こすこともあります。
腎臓の疾患は症状が進行するまで気づきにくく、治療も長期化するため、日頃から水分補給を意識しておくことが非常に重要です。
特に高齢の猫は定期的な尿検査や血液検査を受けて、腎臓の状態を把握しておくと安心です。
便秘|水分不足で固くなりやすい
水分が不足すると、便が固くなり、排泄しづらくなります。猫はもともと排便の頻度が少ない動物ですが、3日以上便が出ない場合は便秘の可能性が考えられます。
便秘が続くと、食欲不振・嘔吐・腹部の張りなど、さまざまな症状を引き起こす可能性があります。
長毛種の猫は毛づくろいでたくさんの毛を飲み込みやすく、毛玉が腸の動きを妨げると便秘になりやすいです。
また、運動には腸の動きを促進する働きがあるため、運動不足の猫は便の通過がスムーズにいかず便秘になりやすい傾向があります。
水分補給だけでなく、ブラッシングや遊びの時間も増やしましょう。
猫に水分補給させるコツとは?

愛猫に十分な水を飲んでもらうためには、単に水を用意するだけでは不十分です。
好みに合わせて容器を変える・設置場所を工夫する・水の種類を見直すなどの方法を試してみましょう。
猫に水分補給を促すための具体的なコツをいくつかご紹介します。
水の鮮度を保つ
水は、毎日必ず替えましょう。水が悪くなりやすい夏場は、1日2〜3回替えるのがおすすめです。わが家でも、愛猫が水を飲んだ後には食べカスが浮いていることが多く、すぐに交換しています。
フィルター付きの循環式自動給水器を導入するのも、常に清潔な水を保つ良い方法です。
ただし、機械の音が苦手な猫もいるため、静音タイプを選ぶことや併用で通常の器も設置するなどの配慮も必要です。
フィルターの定期交換や掃除を怠らず、清潔な状態を保つことも忘れないようにしましょう。
容器を検討する
愛猫が水を飲まない時は、まず器を見直すことをおすすめします。猫のひげが当たりにくい広口タイプの器や飲みやすい高さに設計された器など、猫の体に負担がかからないデザインのものを選ぶと飲みやすくなります。
また、素材選びも重要です。陶器・ステンレス・ガラス・プラスチックなど、さまざまな素材を試してみて、愛猫の好みを探りましょう。
毎日しっかり洗浄して清潔を保つことで、水に対する不快感を減らすことができます。
場所を検討する
水の器の設置場所を見直すことも、猫の水分摂取を促すうえで効果的です。ごはんのすぐ隣に水を置いている場合、水を飲まないことがあります。
猫の本能的には、食事と水は別々の場所にあるほうが自然で、安心して飲むことができるといわれています。
また、トイレの近くや騒がしい場所は避け、静かで落ち着ける場所に水を設置するようにしましょう。
複数の場所に水を置き、ペットドアで自由に移動できれば、猫が水を飲む機会を増やすことができます。
水分の多い食事にする
ウェットフードやスープ、液体オヤツなどでも水分補給ができます。水を飲む量が少ない場合は、食事からの水分摂取を増やす工夫も有効です。
ドライフードのみの食生活では、猫が自分から水を飲まないと水分不足に陥りやすくなります。
一方、ウェットフードは約75〜80%が水分でできており、自然なかたちで水分を摂取することができます。
ドライフードを少量のぬるま湯でふやかしたり、液体オヤツを水で薄めたりするなどの工夫も効果的です。
水の温度を検討する
猫によって好みの水の温度は違うようです。常温を好む子もいれば、ぬるま湯や冷たい水を好む子もいます。わが家の愛猫は、冬になるとお風呂場に入って来て、お湯をのぞきこんで飲みたがります。
寒い季節には体を温め、暑い季節には体を冷やすものを求めるのかもしれません。
真夏には氷を浮かべると、遊んでいるうちに飲むこともあるようです。
常温だけでなく、ぬるま湯や冷たい水など季節や体調に合わせて好みを探ってみましょう。
【まとめ】猫が水を飲まない時は工夫が必要!

猫が水を飲まない理由としては、水の質・器の形状・設置場所・体調不良などが考えられます。
水分不足は、脱水症状や腎臓への負担、便秘などのリスクを高めるため、水を飲みやすい環境づくりが欠かせません。
器や場所の工夫、食習慣など、猫の性格や好みに合った方法で水分補給をサポートしていきましょう。
また、水を飲まない状態が続く時には、必要に応じて動物病院での診察を受けることが重要です。
愛猫の健康を守るため、毎日の観察と小さな工夫の積み重ねを大切にしましょう。
この記事を書いたペットとの暮らしの専門家

永楽陽子
大学院卒業後、予防医学に関する研究や環境分析に取り組む。元動物病院勤務。(ミックス/男の子)