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猫と床暖房は相性抜群!メリットやデメリット、安全に使用するための注意点を解説

目次

    寒い季節の到来です。

    体の内側から暖めてくれる「床暖房」は、寒がりな猫にとってまさに理想ともいえる場所です。

    ただし、使い方を間違えると脱水症状や低温やけどを負う危険があります。

    本記事では、床暖房の基本情報や、猫が床暖房を安全に使用するためのポイントについてお伝えします。

    これから床暖房を導入しようと検討されている方はもちろん、現在ご自宅で床暖房を使用されている方も、ぜひ参考にしてみてくださいね!

    床暖房の特徴とメリット・デメリット

    床暖房とは、床下に設置された温水配管や電気ヒーターを使用した暖房システムです。

    加熱された床から放射される輻射(ふくしゃ)熱によって、部屋全体がムラなく均等に暖まります。

    電気式と温水式の2種類がある

    床暖房は、一般的には「電気式」と「温水式」の2種類に分けられます。

    それぞれの特徴を、下の表にまとめました。
    床暖房の種類 特徴
    電気式 ・初期費用が比較的安価
    ・ランニングコストが高い傾向
    ・部分的なスペースへの設置が可能
    温水式 ・初期費用が高額
    ・ランニングコストは比較的安い
    ・複数の部屋を一つの熱源で暖められる
    ・不凍液を使用するタイプは、定期的な交換が必要

    電気式の床暖房は、床下の電熱線や蓄熱材、PTCなどの発熱体に通電して暖めます。

    一方、温水式の床暖房は、床下に配置した温水パイプに温水を循環させて暖めるシステムです。

    ガス温水床暖房に関する内容は、下記の記事をご覧ください。
    <関連記事>
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    床暖房のメリット

    床暖房は、エアコンなどのように風が発生しないので、ホコリが舞いにくく、空気が乾燥しにくい特長があります。

    そして、床暖房のもっとも大きなメリットは、温度ムラが少なく、部屋全体を均一に暖めてくれることです。

    その理由は「輻射(ふくしゃ)熱」にあります。

    輻射(ふくしゃ)熱とは、赤外線を通じて放射される熱のことです。
    空気を暖めるのではなく、物体や人に直接熱を与えます。

    床暖房の場合、床全体が大きな放射面になり、部屋全体に熱を放射します。
    床から発生した輻射(ふくしゃ)熱は、壁や天井、家具などに当たり、表面をじわじわ暖めることで、効率的に室内全体の温度を上げるのです。
    これは、サウナと同じ原理です。

    足元から頭上までの温度差が少なく、快適な環境をつくれます。

    また、輻射(ふくしゃ)熱により、人体や猫に直接熱を伝えるため、室温が比較的低くても暖かく感じられる点もメリットです。

    暖房器具自体が床下に隠れており、設備が露出していないことで、掃除がしやすく、部屋のスペースを有効的に活用できます。

    ストーブやヒーターなどのように、熱源が露出しているタイプとは違い、床暖房は直接熱源に触れたり、電源コードに引っ掛かったりする心配がありません。

    好奇心旺盛な猫を飼われている飼い主さんにとっては、火事や事故のリスクが少ない床暖房は、安心できる暖房器具といえますね。

    床暖房のデメリット

    床暖房は、使用できる床材が限られています。
    なかでも無垢材のフローリングは、床暖房に適応していないケースが多いため、床材にこだわりがある方は、床暖房対応かどうかをまず確認しましょう。

    設置費用の高さも、床暖房のデメリットです。

    加えて、床暖房は、運転開始から室内全体が暖まるまでに時間がかかります。
    特に温水式よりも電気式の方が、立ち上がりが遅い傾向です。

    温水式の場合、室温15℃の部屋が27℃に達するまでの時間は、運転を開始してから約30分~1時間かかるとされています。

    <参照>Panasonic|よくある質問「スイッチを入れてからどれくらいで暖かくなりますか。(温水床暖房について)」

    猫と床暖房が相性抜群な理由

    床暖房は、猫にとって理想ともいえる暖房システムです。

    猫の先祖であるリビアヤマネコは、砂漠に生息しており、温暖な環境で進化しました。
    そのため、猫は寒い環境に対する耐性が低く、寒がりで暖かい場所を好みます。

    輻射(ふくしゃ)熱によって体の芯から温められる床暖房は、寒がりな猫にぴったり。
    急激な温度変化がないため、体への負担が少なく、特に体温調整が苦手な子猫やシニア猫に最適です。

    また、エアコンのように温風による乾燥の心配もなく、呼吸器系のトラブル予防につながります。
    人工的な風を嫌がる猫にもおすすめです。

    風が発生しないことのもう一つのメリットは「猫の毛が舞いにくいこと」です。
    毛やホコリが舞いにくいので、飼い主さんの掃除の負担も軽減されます。

    猫が床暖房を使うリスク

    寒がりな猫にとって理想ともいえる床暖房ですが、使い方を間違えると、健康を脅かす恐れがあります。

    主なリスクが「脱水症状」と「低温やけど」です。

    脱水症状

    砂漠という環境で進化した猫は、あまり水を飲まない生き物です。

    ただでさえ水分摂取量が少ない状態で、床暖房にあたり続けてしまうと、体内の水分が奪われて脱水症状を引き起こす恐れがあります。

    身動きが取りにくいシニア猫は、特に水分補給が不足しがちなので、若い猫よりも脱水状態に陥りやすく注意が必要です。

    床暖房を稼働させる際は、近くに新鮮な水を用意しておき、こまめに水が飲める環境をつくりましょう。

    低温やけど

    急激な温度変化が少ない点が床暖房のメリットではありますが、長時間同じ場所で接触しつづけると、低温やけどを負う危険があります。

    低温やけどとは、44~50℃程度の比較的低い温度の熱源に、長時間触れることで引き起こされるやけどを指します。

    低温やけどを引き起こす温度と、熱源に触れている時間の目安は、次のとおりです。
    熱源の温度 熱源に触れている時間
    44℃ 約3~4時間
    46℃ 約30分~1時間
    50℃ 約2~3分

    高温のものに触れば、反射的に手や足を引っ込めて熱さから逃れようとしますが、熱源が低温の場合は本人(本猫)の自覚症状がないまま皮膚が損傷し、低温やけどを発症してしまいます。

    特に猫は「熱さ」や「痛み」に鈍感な子が多いため、注意しましょう。

    <参照>
    消費者庁|ゆたんぽを安全に正しく使用しましょう! -低温やけど、過熱

    床暖房でも、温水式に比べ電気式の方が低温やけどになりやすい傾向があります。

    温水式の床暖房は、ボイラーやヒートポンプを利用して水を加熱し、温水を床下の配管を通して循環させるため、温度の変化が緩やかで過熱が少ないのが特徴です。

    一方、電気式の床暖房は発熱体のレイアウトによっては部分的に熱が集中してしまう可能性があり、低温やけどを負うリスクが高まります。
    温水式に比べて、短時間で高温になりやすいのも、低温やけどになりやすい理由として挙げられます。

    猫が床暖房を使うときに注意する6つのポイント

    猫が床暖房で安全かつ快適に過ごせるよう、次にご紹介する6つのポイントを押さえておきましょう。

    ①床暖房の設定温度は低めにする

    猫の低温やけどを防ぐために、床暖房の設定温度は32℃前後で調整しましょう。

    電気式の床暖房は、室温が20℃のとき、表面温度は35℃前後まで上がります。
    一方、温水式の床暖房は、熱源機器にもよりますが、30~32℃で設定されているのが一般的です。

    これから床暖房を導入される方は、電気式よりも温度上昇が緩やかな温水式を選ぶと安心でしょう。

    ただし、温水式の床暖房であっても、設定温度を最大近くまで引き上げるのはNGです。
    猫だけでなく、飼い主さんも低温やけどを負うリスクが高まります。

    ②逃げられる場所を用意する

    ホットカーペットなどとは違い、床暖房は部屋全体に設置されているのが一般的です。

    部屋を閉め切ってしまうと、猫が暑さを感じたときに逃げる場所を失ってしまいます。

    体調や気分に合わせ、猫が好きなタイミングで自由に床暖房を満喫できるよう
    「出入口の開放」
    「キャットタワーやキャットウォークなど避難できる場所の確保」
    といった工夫で、室内環境を整えてあげましょう。

    ちなみに、ホットカーペットについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
    <関連記事>
    猫の低温やけどに注意!ホットカーペットの正しい使い方と選び方

    ③長時間つけっぱなしにしない

    床暖房を長時間連続で使用すると、低温やけどはもちろん、脱水症状や熱中症を引き起こすリスクが高まります。

    床暖房は、長時間つけっぱなしにせず、適切なタイミングでOFFにすることも大切です。

    温水式の床暖房は、温水の持つ蓄熱効果で、電源をOFFにした後もしばらく暖かさが持続します。

    ある程度部屋が暖まったタイミングで、床暖房の稼働をストップさせれば、愛猫の健康リスクを軽減させるだけでなく、光熱費の節約も期待できます。

    <参照>大阪ガス|早切り可能お知らせ機能

    ④低温やけどや熱中症、脱水症状に注意する

    先述のとおり、床暖房を使っていると、低温やけどや脱水症状になる危険があります。
    熱中症にも注意が必要です。

    特に、皮膚の感覚が鈍くなっているシニア猫は、様子を注意深く観察してあげましょう。

    ⑤床暖房の上にラグやカーペットは敷かない

    床暖房の上にラグやカーペットを敷くと、敷物と床材の間に熱がこもり、床の表面が変色したり変形したりする恐れがあります。

    「愛猫が床で滑らないように」
    「カーペットで寝るのが好きだから」
    など、猫のためにどうしてもラグやカーペットを敷きたいときには「床暖房対応」のものを選びましょう。

    ⑥定期的に床暖房のメンテナンスを行う

    床暖房を使用する際は、定期的にメンテナンスを行いましょう。

    熱源設備の故障を放置すると、床暖房が使用できないだけでなく、火災を引き起こす恐れがあります。

    床暖房の耐用年数は約30年以上ですが、電気式か温水式かでメンテナンスの頻度や方法は異なります。

    電気式の場合は構造がシンプルであるうえ、温水式のように水を循環させる配管がないため、メンテナンスの手間は比較的少ないです。
    ただし、定期的な掃除と動作確認は行いましょう。

    一方、温水式の場合、10~15年ほどで不具合が生じやすくなるため、定期的なメンテナンスが欠かせません。
    ボイラーや給湯器といった熱源機器は、約10年で交換時期を迎えます。

    また、寒冷地では床暖房設備に「不凍液」を使用しているケースが多いです。
    こちらも約10年ごとに全部交換する必要があります。

    床暖房以外もある!輻射(ふくしゃ)熱を利用した冷暖房システム

    床暖房以外にも、輻射(ふくしゃ)熱を利用した「ユカリラ」という冷暖房システムがあります。

    エアコンの風を壁内のダクトを通して床下空間に送り、室内を自然な温度環境に調整するシステムです。

    床暖房と併せて、ぜひこちらの商品も検討してみてくださいね。

    まとめ:床暖房で快適な冬を過ごそう

    足元から体の芯までじんわり暖めてくれる床暖房。
    寒がりな猫はもちろん、飼い主さんにとっても快適な暖房システムです。

    床暖房は「電気式」と「温水式」によって特徴が異なります。
    メリット・デメリットを把握し、生活スタイルなどを考慮して検討することが大切ですが、猫のことを考えれば「温水式」をおすすめします。

    低温やけどや脱水症状などの健康リスクに注意しながら、床暖房で快適な冬を過ごしてくださいね!

    この記事を書いたペットとの暮らしの専門家

    安美 サヨリ

    猫2匹と暮らす二級建築士。
    (キジトラ/男の子)(キジシロ/女の子)

    エリア:東京都

    愛猫家住宅コーディネーター