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愛犬の介護ゼロを目指すセミナーで シニア犬のカラダを体験

目次
    医療の進歩や住環境の改善により、動物の平均寿命はここ数十年で1.5倍にも延びています。とても喜ばしいことですが、同時にシニアペットならではの問題も増加傾向にあるよう。今回は高齢化にまつわる問題の解決法や愛犬の健康寿命を長くするために必要な知識を学べる、あにまるケアハウス主催セミナーに参加させていただきました。 取材・文/松永麗美


    清水佐知子さん
    ドッグケアスマイル代表。愛玩動物看護師、認定動物看護師をはじめ数々の資格を保有する愛犬のスペシャリスト。訪問介護、リハビリ、ドッグアナトミー整体、マッサージ、食育指導など愛犬との幸せな暮らしを作るお手伝いを多方面から行っている。

    インタビューはYoutubeでも見られます!

    シニア犬のカラダの状態を参加者が体験してみました!

    白内障


    白く曇った眼鏡を掛けて、お散歩を体験します。




    全然見えなくてこわい…!

    関節炎


    トゲトゲを膝の裏に付けて四つん這いになってみます。


    痛すぎてお座りができない!

    動きづらさ


    体に伸縮性のあるゴムを巻いて、動いてみます。


    ちょこっと動くのがやっと……



     愛犬に少しでも長く元気にいてもらうため、そしてシニア期に生じる愛犬のからだの変化や介助・介護が必要になった時のために知っておきたいことを学べる「楽笑‼愛犬の介護ZERO教室〜めざせ!きらきら楽笑(らくしょう)老犬ライフ〜」。

     今回は、シニア犬の見たり感じたりしている世界を体感することから始まりました。実際に体験することにより、シニア犬の置かれた環境への理解を深めることが目的です。

     まずは白内障の犬の見えている世界を知るために、すりガラス状の眼鏡を掛け、2人1組となってセミナールーム内をお散歩。目が見えない不便さは理解しているつもりでしたが、数センチ先もわからない状態は想像以上に不安な気持ちになります。一歩踏み出すのも恐ろしく、散歩中に動けなくなるのも納得しました。

     関節炎の体験ではトゲの付いたプラスチック板を体に付け、犬と同じ体勢を取ってみました。座り続けるだけでもつらく、特にお座りや伏せの姿勢をとろうとすると鋭い痛みが。しかし、犬は我慢強いうえ飼い主の望みに応えたい気持ちがあるため、つらくても頑張ってしまうことが多いのだそう。飼い主が愛犬の状態を正しく把握することの重要性を改めて認識しました。

     講師の清水先生によると、大切なのは「できることに対してはしっかりと褒め続けてあげること」だと言います。ホームケアで痛みの少ない状態を作りながら個々にあったお世話やトレーニングの方法を見つけ、愛犬のモチベーションを維持し続けることが健康寿命を伸ばすポイントだそうです。

    ペットの高齢化に備えて、元気なうちからできることはありますか?

    セミナー後半では清水先生への質問コーナーも。愛犬の高齢化に備えて今からできることについて、詳しく聞かせていただきました。

    Q.寝たきりを防ぐためにはどんなことをやっておくといい?

    A.寝たきり防止のために大切なのは、やはり筋力。若いうちから筋力を蓄えておくため散歩など日々のルーティンの中に、効率的に運動を取り入れましょう。日によってコースを変えてみたり、歩く速度を早め、ゆっくりと切り替えることにより動かす筋肉に変化を付けるなど、目的を持って歩くことも効果的です。

    Q.愛犬が歳をとってきた時、室内での注意点は?家の中はどう変えるとよい?

    A.室内で特に気をつけるべきなのは床。若いうちは体力や筋力でカバーできていたとしても、滑りやすい床に合わせた足の使い方は悪い癖として体に染みつき、筋力の衰えたシニアになってから大きく影響します。年齢に関わらず、滑りにくく正しい歩き方のできる環境を備えてあげましょう。

    Q.認知症にならないために今のうちからやっておくべきことは?

    A.犬は五感で生きる生き物です。シニアになると何かと免除されることが増え、生活するうえでの刺激も少なくなりがち。だからこそ、飼い主が意識して日々に刺激を与えることが大切です。日替わりのお散歩コースや新しいおもちゃ、そして何よりも太陽の光や風にあたること。何かできた時には大袈裟に褒めてあげてくださいね。

    Q.一度歪んでしまった骨格やバランスが崩れた筋肉を改善するために、できることはありますか?

    A.犬の理想的な立ち姿であるゼロポジション(※)に近づけるため、体をほぐして筋緊張を取ってあげることが重要です。例えば、負荷がかかりやすい前半身をほぐし、衰えやすい後ろ脚を鍛えること。お座りと立つことを繰り返すだけでも効果があります。関節の痛みが無いことを確認したうえで、無理のない運動をさせてあげてください。おやつなどで気を惹き、ゼロポジションの姿勢を取ることも有効です。

    ※ゼロポジションとは:一部の関節や筋肉に過剰な負荷がかかることなく、肩、腕、肩甲骨などの関節位置が正しい位置に置かれており、四肢にバランス良く体重が乗せられる安定した状態のこと。正しい姿勢を維持することで健康寿命を延ばせます。

    取材協力


    あにまるケアハウス

    1泊から10歳以上の終身まで、愛犬・愛猫のお預かりを行うケア施設。3つの犬舎と1つの猫舎を備えており、340坪のドッグランなど伸び伸びと生活できるスペースを確保しています。
    住所:埼玉県加須市久下5-316-1     TEL:0120-57-8102

    この記事を書いたペットとの暮らしの専門家

    AMILIEライター

    エリア:東京都

    愛犬家住宅コーディネーター