• 公開日時:
  • 更新日時:

素敵な「愛犬と暮らす家」をつくる前の3つの心構えー理想の愛犬×住まいをつくる秘訣ー

家を建てるために最初に建築士に相談する際は、どのような心構えと準備をしておけば、スムーズな意思疎通を図ることができるのか。

愛犬家住宅コーディネーターの監修も務めている建築家の筒井さんに、そのコツを教えていただきました。

編集・文/鈴木珠美 デザイン/袴田智

建築家・筒井紀博さん


一級建築事務所・筒井紀博空間工房代表。
愛犬とガレージ、愛犬第一主義の家など数々の愛犬家のための家を手がけるだけでなく、賃貸物件、宿泊施設など活躍の幅は広い。
ポリシーは「そこに存在する必然性がある空間」。
時間とともに味わいたくなる美しい建築。自らも愛犬家であり車好き。
参考:http://ktts.jp/

愛犬の性格を知り、未来を想像する

打ち合わせをする際には犬も同席してもらうという筒井さん。

「よく気を遣われてゲージに入れてしまう方が多いですが、遠慮せず普段の様子を見させてもらいたいですね。僕の場合ですが可能なら散歩をさせてもらっています。というのも、犬種の性質だけで判断するのは失敗につながりやすいのです。

 例えばラブラドール(レトリーバー)は一般的に水遊びが好きと言われていますが、実際は水が嫌いなコもいます。一頭一頭、個性が違いますので、そのコをちゃんと見ることが大切です。

 次に重要なのが愛犬第一主義なのか、それともペットとして飼うのかということ。愛犬第一主義の家は相当な覚悟が必要です。現在、施主からのご要望があって愛犬第一主義の家を設計しているのですが、犬にとって理想はたたきの床だと思っています。たたきはメンテナンスに手間暇がかかります。果たしてそういう家でいいのか?ということですね。ですから飾らずに、何を優先したいかを率直に伝えることはとても重要です。

 最後に、想像されるのは難しいと思いますが、ぜひとも考えていただきたいのは将来のこと。
 今の我がコがいなくなったらもう飼わないのか、それとも新しいペットを迎えるのか……。それによっては造作ケージをつくるにしても簡単に取り外せるように設計したり、別の使い方ができるように考えたりと、家族構成が変わったときサスティナブルに対応できるよう考慮する必要があります。僕自身、ペットロスに苦しんだひとり。いなくなった後にペットのいた場所があるとつらくて暮らしにくくなる方もいますので、将来について考えることも家づくりには欠かせない要素だと考えています。今、犬を飼われていない方も含めて、ずっと先の未来を想像することも家づくりに大きく貢献します」。

 愛犬第一主義なのか否か。この筒井さんの言葉には“はっ”と胸をつかれました。

 愛犬家の方にとって犬は家族。ですからつい“愛犬ファースト”でと考えがちですが、情にほだされず、客観的に自身が望む家を冷静に考える目を持つことの大切さを教えていただきました。


可能であればいつもの散歩コースで散歩をさせてもらうという筒井さん。建築家自らが家に寄り添ってくれる姿勢がうれしい

【心構え1】打ち合わせには“愛犬”を同席!

愛犬のふだんの様子をみてもらおう
「以前、5頭の犬を飼っている住宅を設計したのですが、5頭のうち1頭がごはんを食べるのが遅く他のコに食べられてしまうという事実がわかり、1頭だけ専用の場所を用意しました」と筒井さん。

犬たちの個性や多頭飼いの場合はヒエラルキーまでも把握するという。
「吠えてもやんちゃしてもいいんです。それがそのコの個性ですので、遠慮せずに愛犬を同席させてもらいたいですね」。トイレが心配な方はマナーパンツを履かせておけば安心です。

【心構え2】言葉を飾らないコトがとても大切!

愛犬第一主義か、人が優先か?
愛犬第一主義の家は覚悟が必要と筒井さん。気持ちの上では愛犬第一であっても、本当に愛犬ファーストで良いのか?と自問自答することは大切な作業。犬も人も幸せな家というのは誰もが願うことですが、根底にある方向性をしっかり伝えることで、より理想の家に近づきます。

覚悟を問われると何を覚悟したらよいのか不安になりますが、筒井さんいわく「不安なことはすべて丁寧にご説明させていただきますので、率直に話していただければ問題ありません。ご安心ください(笑)」。

【心構え3】将来について考える

一生飼い続けるのか、それとも?
いつかペットを飼いたいという方を含めて、今の愛犬が亡くなったらどうするのか?を考えることが大切と筒井さん。

「つらい現実ですが避けられないお話です。ペットを飼い続けるのか、ペットが過ごした居場所を残すのか、それとも悲しみを引きずらないために跡形もなくなくしたいのか……。ライフスタイルの変化に対して不都合にならない家を考える必要があります」。

愛犬のための家づくりのポイントを解説!


愛犬家住宅コーディネーターの方々が手がけた愛犬家住宅をピックアップ!

愛犬視点で考えられたポイントを建築家・筒井さんに解説していただきました。

壁や天井は調湿・消臭効果が期待できる内装材がおすすめ

「湿度が高いとカビや菌が増殖しやすいため、湿度が高いときは湿気を吸収し、乾燥しているときは湿気を放出する、調湿性がある内装材がおすすめです。また調湿性がある内装材の中には消臭効果が期待できるものもあります。内装材の中には傷がつきやすいタイプもあるので、例えば腰壁は別の素材にするなど工夫を加えると傷がつきにくくなります」。

床には滑り止め剤を塗布して犬の足腰の負担を軽減

「犬の足に優しい床材は、小型犬ならコルクフロア、運動量の多い中・大型犬はウッドタイル、究極は“三和土(たたき)”ですが、どうしても床を張り直すことができない場合や、賃貸にお住まいの方に有効な手段が滑り止め剤を塗布することです」。




床コーティング剤の「AJパーフェクトコートセットプレミアム」。18〜20畳用500ml、29,800円(税別)
https://aikenka.official.ec/items/25432187

外に向けては防音、家の中の静粛性にも貢献!壁の中に質量の大きい断熱材をプラス

断熱性だけでなく質量の大きい断熱材を選べば防音性も高まると筒井さん。

「家の中の音が外に漏れないようにする対策はもちろん、例えば通りがにぎやかな場所に家を建てる場合や、病院の近くで救急車のサイレンに反応してしまいやすいコなどは、家の中の静粛性を高めるためにも効果的です」。

ウッドデッキは、熱くなりにくい無垢材を。愛犬の肉球を守ろう

「最近は熱くならない樹脂系もあるようですが、おすすめは無垢材ののウッドデッキです。日当たりの良い場所であっても天然木は表面温度が熱くなりにくいんです。表面温度が高くなりやすい素材は、犬の肉球を火傷させる危険があるので注意が必要です」。

屋上緑化で遮熱効果を高める。愛犬の遊び場にもおすすめ

「屋根の遮熱効果が期待できる屋上緑化は、夏は熱の進入を防ぐので室温上昇が抑えられ、冬は外に熱が逃げるのを防ぐ断熱効果が期待できます」と筒井さん。エアコン代が節約できるメリットはうれしいポイントです。「都市部に住んでいる場合は、なかなか日当たりの良い庭がとれないケースが多いので、そういう面でも屋上緑化は有効。また土が踏めるのでワンちゃんたちの遊び場としてもいいですね」。

キッチンは原則立ち入り禁止。リビングとの間に扉を設置

キッチンは犬にとって危険な場所なので、キッチンとリビングは扉を設置して立ち入ち禁止に。引き戸にすれば、安全が確認できたときは扉を収納してキッチンとリビングを自由に行き来できるようにすることも可能です。「きちんと造作でつくるとインテリア的に調和がとれた状態になり、ワンちゃんにとっても安全な家づくりができると思います」。

愛犬の居場所は階段下のデッドスペースを有効活用

「デッドスペースになりがちな階段下は、ワンちゃんの居場所にすると、スペース的に有効です。また360度視界が広がる場所よりも、天井は低く限られた空間のほうが快眠できる犬は多いですね」。

メンテナンスがしやすく愛犬の足に優しいスロープを

段差を解消するひとつの方法としてスロープを作るのは効果的。「犬種に合わせてワンちゃんが上り下りしやすい傾斜を検討することと、スロープの床は滑りにくいものがよいですね。また人が行けない場所にスロープを作ると掃除がしにくくなるので、メンテナンスしやすい場所に設置するとよいでしょう」。

スペースがあればドッグランを設置。庭の植栽には注意

「スペースがある場合はドッグランをつくってもよいですね。また家の中から外へ出るときもスロープがあるとよいでしょう。庭にドッグランをつくるときは、犬種に合わせてフェンスの高さを検討し、床材や植栽は犬に悪影響が出ないものを選ぶ必要があります」。植栽、観葉植物は犬が口にしたら危険なものがあるので選ぶ際には注意しましょう。


この記事を書いたペット愛好家の住まいの専門家

AMILIE編集部

ペットは大切な家族の一員として、私たちと同じ住環境で暮らしています。ほんの少しペットの目線になることで人もわんちゃん・ねこちゃんも、ともに安心・安全・快適に暮らせる新しい住まいが見えてくるかもしれません。私たちの心をいつも豊かにしてくれるペットのためにも、家族みんなの笑顔があふれる住まいについて考えていくこと。それが、「愛犬家住宅・愛猫家住宅」。

愛犬・愛猫と幸せに暮らす住まい工夫事例をお届けします。

>AMILIEのInstagram