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老猫がトイレ以外で排泄してしまう原因と対策

目次

    愛猫が年を重ねるにつれて、今まで出来ていたことが出来なくなったりと行動の変化が見られるようになるのは飼い主として心配にはなりますよね。
    その行動のひとつとして、トイレ以外で排泄をしてしまうことが挙げられます。
    若くて元気な時はトイレ以外で排泄するといった行動は、あまり想像つきませんよね。
    今回は高齢の猫がトイレ以外で排泄する時に考えられる原因や、おうちで工夫できる対策について解説します。

    【トイレ以外で排泄してしまう理由】 

    老猫が、トイレ以外で排泄を失敗してしまう理由として考えられるのは以下の通りです。

    筋力や体力の低下

    老猫になると、加齢による筋力低下や活動性も少なくなるため体力も衰えてきます。
    普成猫の頃であれば越えられた猫トイレの出入り口の段差も、筋力が低下していることでその段差を越えることができずトイレ以外の場所で排泄してしまったり、トイレの設置場所が遠いことで諦めてしまうケースもあります。
    また、排泄する際に使う筋力の低下がみられると、お漏らしや排泄の失敗につながることもあります。

    関節炎によるもの

    関節炎とは、関節内に炎症が生じてその部分が腫れたり痛みが出ることで歩行時に障害がでることもあります。猫は人と違い、四肢歩行ですので後肢だけでなく前肢や肩、手首にも関節炎の症状がみられることもあります。
    関節炎の原因は、加齢によるものが多いのでトイレがスムーズにできずに排泄を失敗してしまうことがあります。
    また、生まれつきや遺伝的な関節の形成異常なども関節炎の原因のひとつにはなります。

    病気によるもの

    高齢になると、体の不調や病気が発症することが多くみられます。
    トイレを失敗することが多くなってきたり、いつもと比べて尿量が多い等といった排泄にまつわることでの変化は病気が隠れているケースもありますので、早めに病院を受診してましょう。

    認知機能の低下や老化によるもの

    年を重ねると認知機能障害が生じて、トイレを失敗することがあります。
    認知機能障害とは、加齢によって脳が萎縮し変化することで認知能力が低下し、様々な行動障害を引き起こします。
    症状として、見当識障害(けんとうしきしょうがい:家の中で迷ってしまったり、部屋の角で行きつまる等)や睡眠のサイクルが乱れて昼夜逆転生活になってしまう、活動性の低下、よく鳴く、トイレを失敗してしまう等があげられます。
    また、老化により視力が低下することでトイレを失敗してしまうこともあります。

    猫の認知機能低下は気づくことが難しい場合もあります。
    自宅で簡単にできるチェックをまとめましたので、活用してみてください。

    〜自宅でできる認知機能低下チェック〜
    □活動性の変化(徘徊行動、日常生活に刺激に対して無反応、遊びに対する関心の低下等) 
    □過剰に鳴く(夜鳴きや大きな声で鳴く等)
    □覚えたことを忘れてしまう(トイレの失敗が増えてきた等)
    □睡眠サイクルの変化(昼夜逆転の生活になってきてしまった)
    □見当識障害(部屋の角や裏などに入り込んだまま、一点をぼーっとみつめる等)
    □飼い主に対する接し方の変化(攻撃になったり、甘えてくるようになった等)
    □不安が増す(今まで平気だった状況に不安がる様子や日常生活の刺激に対して過敏になる)

    トイレの環境によるもの

    トイレの環境をガラッと変えてしまったり、いつも過ごしている場所から遠い場所に設置してあると、老猫の場合は失敗してしまうことがあります。
    普段から慣れている場所やトイレトレー、猫砂を使用することで失敗を軽減できることもあります。それでも失敗してしまう場合は、他に理由がある可能性が高いので、上記に書いてある項目をチェックしてあげてください

    【おうちで出来るトイレを失敗させない対策とは】

    わたしたち人間でも高齢になると足腰が不自由になり生活環境を変える必要性が出てきますよね。
    老猫も同様で、トイレの環境はとても大事になってきますので、失敗させないようにできることを解説します。

    トイレの高さや大きさ、形状をチェック

    老猫になると、足腰の筋力低下や関節炎が生じて段差を嫌がることがあります。
    できる限りトイレの出入り口は段差がなくフラットにしてあげることをおすすめします。
    また、トイレの中で移動しながらタイミングをみて排泄することもありますので、愛猫の体長より一回り大きいトイレを準備してあげるといいでしょう。

    トイレの場所や数を見直し

    トイレの場所は、愛猫がいつも過ごしている場所の近くに設置し、他のトイレも猫にとってストレスをなるべく感じないよう静かな環境に置いてあげましょう。
    トイレまでの動線に滑り止めマットを敷いてあげることで足元が滑りにくくスムーズにトイレまで辿りつくことができるので、足腰の筋力低下や関節炎がある愛猫にはおすすめです。

    トイレの数は、「猫1頭に対して、1つ以上のトイレ」になります。
    愛猫が1つのトイレに排泄しても、他に清潔なトイレ環境があることにより、留守番時でも排泄を我慢したりトイレの失敗を軽減できます。

    トイレの掃除回数を増やす

    元来猫はキレイ好きです。トイレを清潔にすることはとても大切なので、こまめに掃除をしてあげましょう。
    トイレ環境を清潔にしてあげることで、トイレを我慢することなく排泄してくれる可能性が高まります。掃除回数を見直ししてみましょう。

    【トイレを失敗した時の飼い主さんの対処法】

    愛猫がトイレを失敗した際の飼い主さんの対応をお伝えします。

    絶対に叱らない

    愛猫がトイレを失敗してしまう場合、絶対に叱らないでください。
    猫は、叱られている理由が理解できません。
    叱る行動により、猫は自分がとった行動に対して反応してくれると勘違いし同じ行動を繰り返したり、ストレスが溜まり排泄を我慢してしまうことがあります。
    なぜトイレを失敗してしまったかの原因を探してあげましょう。

    トイレの失敗が続いたり、排泄の様子が違うなら病院受診を

    上記の対策をしても、何度もトイレを失敗する、排泄時に痛そうに鳴く、ポタポタしかおしっこがでていない、血尿、うんちが数日出ていない等の様子があれば病院受診をしましょう。
    病気が隠れている可能性が考えられます。

    【まとめ】

    今回は、老猫がトイレ以外で排泄してしまう原因と対策について解説しました。
    猫にとって、トイレの環境はとても大事な場所になります。
    日々の愛猫の様子をしっかりと観てみてあげることがトイレの失敗の軽減につながります。
    この記事が少しでも、お役に立てたら幸いです。
     

    この記事を書いたペットとの暮らしの専門家

    佐藤 綾香

    愛玩動物看護師・ペット栄養管理士・臨床栄養指導 認定動物看護師1級
    (オーストラリアン・シェパード/女の子)

    エリア:東京都