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前頁で、夏が苦手な犬・猫のために日常生活でするべき対策が分かりました。では、住まいはどうすれば?ペット共生住宅の第一人者・前田敦さんに健在・設備の工夫を伺いました。
建築家・前田敦さん
一級建築士事務所・前田敦計画工房合同会社代表。1990年に建築設計事務所を開設。ペット共生住宅の設計監理に積極的に取り組み、メディアでの紹介も多数。
シックハウスやアレルギーの原因となるVOCを吸着・分解除去する自然素材の断熱材もある。
なお、マンションの窓は共有部にあたり、自分で交換することができません。その場合は、内側にペアガラスの内窓を取り付けましょう。複層ガラスや内窓を採用すれば、断熱材と同様に防音効果も得られて一石二鳥です。
内窓なら、今ある窓の内側に取り付けるだけ。マンションはもちろん戸建てにも。(写真上:LIXIL「インプラス」 写真下:YKK AP「マドリモ」)
塗り壁材だけでなく、タイル状で取り付け簡単な調湿壁も。(LIXIL「エコカラット」)
中に小さな気泡状の穴がたくさんあるので、抜群の調湿効果を発揮してくれます。
しかし、珪藻土は非常にやわらかく、猫の爪でボロボロになることも。猫がいる場合は腰壁をつけて、猫の手の届かない壁の上部や天井のみに塗り壁材を使いましょう。
どうしても塗り壁材を壁の下部まで使いたいなら、天然水硬性石灰を使用した「シリカライム(株式会社シリカライム)」がオススメ。猫の爪も勝てないほどの硬さがあり、調湿効果と消臭機能もあるのでオススメです。
昨今のサーキュレーターはデザイン性にも優れ、インテリアになじみやすい。
一般的に、温かい空気は上に、冷たい空気は下に行きます。その性質を活用して上下2ヵ所に窓を設けると自然に空気の対流が起きて、部屋全体が効率的に換気されます。
また、平面的にも2ヵ所の窓は距離を離した方が換気効率がアップしますので、部屋の対角に2ヵ所の窓を設けると良いでしょう。換気機能に優れた部屋は、特に夏の熱気が排出され、エアコンの効率が向上しますので省エネルギーが実現します。
給水用の踊り場を設けた例。小窓を付ければ外が眺められてお気に入りの場所になり、水をよく飲むように。(©前田敦計画工房)
窓の付いた仕切り壁でクローズドにしたキッチン。上の写真のようにアクセントカラーを入れる楽しみも。(©前田敦計画工房)
建築家・前田敦さん
一級建築士事務所・前田敦計画工房合同会社代表。1990年に建築設計事務所を開設。ペット共生住宅の設計監理に積極的に取り組み、メディアでの紹介も多数。
エアコンのエネルギーロスをなくす建材や設備を導入しよう
暑さ対策のすべてを建築ではまかなえないので、暑い日はエアコンを必ず常時ONに。そこで必要なのが、エアコンのエネルギーロスを減らす建材・設備です。ポイントは「断熱に隙間をつくらない」「空気の流れをつくる」の2点。電気代の節約にも。断熱材を施す
エアコンのエネルギーロスを少なくするためには、住宅の種別を問わず、床・壁・天井・床下の4面が断熱材で包まれている必要があります。戸建てなら屋根・壁・床下に、マンションで上下階があるなら壁のみに断熱材を施します。断熱材には種類があります。木造住宅のように柱の間に断熱材を入れる場合は、「高性能グラスウール」「ロックウール」「セルロースファイバー」「発泡ウレタン」を用います。これらは防音性能も高く、ペットの鳴き声が外に漏れるのも防ぎます。鉄筋コンクリート造のマンションには、「硬質発泡ウレタン」を吹き付けます。昔は20mm程度が標準でしたが、現在は40mm以上と集めにするのが主流です。古い家をリフォームする場合は、断熱材を充填し直すようにしましょう。シックハウスやアレルギーの原因となるVOCを吸着・分解除去する自然素材の断熱材もある。
複層ガラスの窓を採用する
住宅で一番熱損失が大きいのは窓なので、窓の断熱対策はマストです。シングルガラスの窓ではとても夏の猛暑や冬の寒さに対応できないので、断熱効果の高い「複層ガラス」の窓を採用しましょう。基本的にはペアガラス(2重ガラス)、暑さ寒さが厳しい地域や、可能な場合にはトリプルガラス(3重ガラス)を。北海道はトリプルガラスが標準です。特殊な金属膜で表面をコーティングした「Low−E複層ガラス」など、遮熱性能がより高い商品を使うとベストでしょう。なお、マンションの窓は共有部にあたり、自分で交換することができません。その場合は、内側にペアガラスの内窓を取り付けましょう。複層ガラスや内窓を採用すれば、断熱材と同様に防音効果も得られて一石二鳥です。
内窓なら、今ある窓の内側に取り付けるだけ。マンションはもちろん戸建てにも。(写真上:LIXIL「インプラス」 写真下:YKK AP「マドリモ」)
塗り壁材だけでなく、タイル状で取り付け簡単な調湿壁も。(LIXIL「エコカラット」)
湿気対策を考えた建材や設備を使おう
調湿効果のある 壁材を採用する
梅雨から夏のシーズンは、湿気対策も重要。調湿のカギを握るのは、家の面積の多くを占める「壁」と「天井」です。オススメは、珪藻土、ホタテ、牡蠣殻、漆喰など、多孔質の材料を使った塗り壁材。中に小さな気泡状の穴がたくさんあるので、抜群の調湿効果を発揮してくれます。
しかし、珪藻土は非常にやわらかく、猫の爪でボロボロになることも。猫がいる場合は腰壁をつけて、猫の手の届かない壁の上部や天井のみに塗り壁材を使いましょう。
どうしても塗り壁材を壁の下部まで使いたいなら、天然水硬性石灰を使用した「シリカライム(株式会社シリカライム)」がオススメ。猫の爪も勝てないほどの硬さがあり、調湿効果と消臭機能もあるのでオススメです。
サーキュレーターを使う
換気や空気の循環を助けるために「サーキュレーター」を活用しましょう。空気を渦巻き状に送ってくれるので、窓が1ヵ所しかないなど空気のよどみが起こる空間には特に有効。エアコン効率もアップします。夏はファンを下に向けて下に溜まった冷たい空気を上に流し、冬はファンを上に向けて上に溜まった温かい空気を下に流すと効果的です。昨今のサーキュレーターはデザイン性にも優れ、インテリアになじみやすい。
換気ができる・空気を循環させる窓の配置に
前述のとおり、夏の安全で快適に過ごすには、家の中に空気の流れをつくることが重要です。これから家づくりやリフォームをするなら、効果的に換気ができて、空気を循環させられる窓配置にしましょう。一般的に、温かい空気は上に、冷たい空気は下に行きます。その性質を活用して上下2ヵ所に窓を設けると自然に空気の対流が起きて、部屋全体が効率的に換気されます。
また、平面的にも2ヵ所の窓は距離を離した方が換気効率がアップしますので、部屋の対角に2ヵ所の窓を設けると良いでしょう。換気機能に優れた部屋は、特に夏の熱気が排出され、エアコンの効率が向上しますので省エネルギーが実現します。
キャットウォークやステップに給水用の「踊り場」を設置する
猫はとても腎臓が弱い動物なので、積極的に水を飲ませてオシッコをさせる必要があります。そのために、水飲み場を猫の生活動線上に数カ所配置しましょう。オススメは、キャットウォークやキャットステップに給水用の「踊り場」をつくること。猫の通行を妨げないように給水皿を置くぶん踏板を広く取り、こまめに水を交換できるように飼い主の手の届く高さに設置しましょう。給水用の踊り場を設けた例。小窓を付ければ外が眺められてお気に入りの場所になり、水をよく飲むように。(©前田敦計画工房)
食中毒を防ぐ!キッチンに仕切りを
キッチンは犬・猫にとって家の中で一番危険な場所。誤って傷んだ食品や有害なモノを食べないように、犬・猫をシャットアウトする仕切りを付けましょう。犬には腰壁程度の高さの扉を、猫には基本的にクローズできるキッチンを採用します。全て壁で囲うと疎外感があるので、ガラス窓を付けるのがオススメ。クローズできないなら、折れ戸の付いた背面収納を設けて食品とごみ箱を一式収めましょう。窓の付いた仕切り壁でクローズドにしたキッチン。上の写真のようにアクセントカラーを入れる楽しみも。(©前田敦計画工房)
夏の光熱費を抑え、環境にも配慮した設備を
夏の間、常時エアコンをつけておくとなると、気になるのが光熱費。でもご安心を。今は経済的な負担を抑えてくれるうえに、環境にも優しい設備がたくさんあるんです。エネファームでお湯と電気をわが家でつくる!
マンション用や寒冷地用、小型化タイプなど、導入の幅を広げるためのラインナップ拡充がはかられている。(画像提供:一般社団法人日本ガス協会)
エネファームは、都市ガスやLPガスから取り出した水素と空気中の酸素を化学反応させて発電する「家庭用燃料電池」システムです。自宅で発電するためロスが少ないうえ、発電の際に発生する熱を給湯などに利用するので省エネ・省CO2に大きく貢献します。近年頻発する風水害等の自然災害にともなう停電時にも燃料電池の運転を継続し、そのまま発電を続ける機種も取り揃えており、万が一のときにも電気とお湯が使えて安心です。
太陽光発電
太陽光を使って発電するシステム。電気を自分の家でつくるため電気代が安くなる上、余った電気は貯めたり売ったりできるのが特長。CO2の排出量が少なく、環境にも優しい。
設置に向かない家もあるので、シミュレーションした上で導入を。(画像提供:パナソニック)
蓄電池
蓄電池を太陽光発電と併用することで、大きな節電効果を発揮。昼間発電した電気を蓄電池に貯め、電気料金の高い時間帯に利用する。災害などの停電時にも電気が使えて安心。
蓄電容量、寿命、サイズ、停電時出力量を確認してから購入を。(画像提供:パナソニック)
この記事を書いたペットとの暮らしの専門家
AMILIE 愛犬・愛猫家とくらす住まいの専門家
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